- 推薦のことば /木舩 憲幸
- まえがき
- 第1章 特別支援教育の概要
- 1 何が変わるのか
- 2 どのように変わるのか
- 3 意識の壁を取り払う
- 4 特別な教育的支援とは
- 5 特別な配慮とは
- 6 特別な指導とは
- 7 将来を見据えた指導とは
- 8 教師の力量とは
- 9 学校の力量とは
- 10 関係機関による支援とは
- 第2章 マネジメントの視点
- 1 新しいマネジメント
- 2 マネジメントの定義
- 3 未来予測
- 4 イノベーションのすすめ
- 5 企業と学校における変革
- 6 変革のアプローチ
- 7 変革の基本条件
- 8 リーダーシップ
- 9 モチベーション
- 10 校内の協働体制
- 11 コンサルタントとしての専門家
- 第3章 学校で特別支援教育を進めるヒント
- 1 変化に対応できる学校とは
- 2 いつ、どこを変えるのか
- 3 誰が、何を変えるのか
- 4 特別支援教育コーディネーターは語り部
- 5 なぜ、集団を意識して個を語るのか
- 6 集団を動かす教師の錯覚と落とし穴
- 7 教師の教育直感はなぜ鋭いのか
- 8 特別扱いしない特別支援教育
- 9 処方せんやレシピの大切さ
- 10 ジレンマ「わかっちゃいるけどやめられない」
- 第4章 学校を支える連携・協力のポイント
- 1 学校を支える真のネットワークとは
- 2 専門性を理解した上でつながる
- 3 すぐに、続けて、見通しを持ったサポートとは
- 4 アドバイスを学校で生かすために
- 5 記録から事実を読み解く
- 6 事例の中で具体的に語るトレーニング
- 7 保護者の愛情を受け止めるために
- 8 一連の悪循環を断ち切る
- 9 価値観の違いを受け止めてつながる
- 10 社会とつながる学校
- 第5章 個別の教育支援計画の立て方
- 1 作成上の留意点
- 2 対象児童生徒の発見 *スクリーニングシート*
- 3 対象児童生徒に関する基本情報 *フェースシート*
- 4 詳細な実態把握 *行動観察シート*
- 5 観察結果と所見 *プロフィールシート*
- 6 保護者のニーズ *家庭の情報シート*
- 7 学校の基本情報 *学校の情報シート*
- 8 個人における能力特性の把握 *個別の心理検査*
- 9 発達アセスメントを総合した支援方針 *支援者の考えと情報の共有化*
- 10 個別の教育支援計画の立案 *何が大切か*
- 参考資料
- 発達アセスメント&個別の教育支援計画
- *スクリーニングシート/*フェースシート/*行動観察シート/*プロフィールシート/*家庭の情報/*学校の情報/*個別の検査/*個別の教育支援計画
- あとがき
推薦のことば
今、まさに「変革」の時代です。教育もしかりです。平成15年3月の「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」では、「障害の程度等に応じ特別な場で指導を行う『特殊教育』から障害のある児童生徒一人一人の教育的ニーズに応じて適切な教育的支援を行う『特別支援教育』への転換を図る。」と述べられています。この記述は、特別支援教育への「理念的な変革」について述べたものであり、この特別支援教育の具体的内容に関しては、現在、中央教育審議会で「特別支援教育の制度的見直し」が進行中であり、近年中に学校教育法の改正も含めた「具体的、かつ、大きな変革」が予期される日々です。この様な時代的背景を考えると、森孝一先生と山田浩司先生の『図解 特別支援教育を進めるための 学校変革マネジメント』は、まことに時宜を得た内容の著書であると思います。
森先生と山田先生は、著書の中で「マネジメントとは人間に属するものではなく、『仕組みや役割そのもの』である」というドラッカー氏の考え方を紹介しています。この考えの中に、大きな理念的変革期にある特別支援教育の具体化の鍵があると私は考えました。特別支援教育という理念の実現には、第一に、『特別支援教育に関する仕組み・役割としての学校・教育制度の改変』が必要とされます。第二に、『特別支援教育に取り組む個々の教員の専門性の向上と日々の努力』が必要とされます。この2つの条件は、不可欠であると同時に不可分であると私は考えています。個々の教員がどんなに努力しても、仕組み・役割としての取り組みでなければ、成果には限界があるでしょう。仕組み・役割がどんなにすばらしくても、その構成員である教員の豊かな人間性と高い専門性と日々の努力がなければ、成果には限界があるでしょう。では、この2つの条件だけで十分でしょうか。個人と組織を統合させた高次の概念が必要だと思われます。マネジメントとは、まさにそのような概念であり、これからの特別支援教育を展開していく上での、「鍵概念」であると考えます。森先生と山田先生は、本書の中でこの「マネジメント」について理論的かつ具体的に論を展開されており、その内容はまことに示唆に富むものであり、特別支援教育に係わる多くの方々にとって参考になるものであると確信しております。
森先生は福岡市において通級による指導を担当され、現在は福岡市発達教育センター指導主事として勤務されています。山田先生は北九州市において、養護学校、通級による指導を経験され、現在は北九州市養護教育センター長期研修員として勤務されています。両先生ともに、特別支援教育の発展に尽力される多忙な日々の中で、本著をまとめあげられたことは、まことに喜びにたえません。本書が同じ道を歩いている仲間の大きな力になることを確信して、推薦いたします。
福岡教育大学障害児教育講座教授 /木舩 憲幸
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- 明治図書