- 序章 生きて働く「要約スキル」の機能と指導法
- /瀬川 榮志
- まえがき
- T 「要約力」で情報化社会を生き抜く
- 一 要約力と国語学力の向上
- 二 要約力が定着する基礎・基本の系統化
- U 要約力の基礎スキルを錬磨する基礎学習
- 要約力を磨く一年生のワーク
- がっちりコース:「だれが どうした」をみつけよう
- チャレンジコース:「なに」についてのお話かまとめよう
- ワーク解答例
- 要約力を磨く二年生のワーク
- がっちりコース:「じゅんじょをあらわすことば」を見つけて文をまとめよう
- チャレンジコース:じゅんじょに気をつけてぜんたいをまとめよう
- ワーク解答例
- 要約力を磨く三年生のワーク
- がっちりコース:要点をつなぎ、全体をまとめよう
- チャレンジコース:要点をつなぎ、全体をまとめよう
- ワーク解答例
- 要約力を磨く四年生のワーク
- がっちりコース:段落のつながりに気をつけて全体をまとめよう
- チャレンジコース:段落のつながりに気をつけて全体をまとめよう
- ワーク解答例
- 要約力を磨く五年生のワーク
- がっちりコース:文章構成に気をつけて要約しよう
- チャレンジコース:文章構成に気をつけて要約しよう
- ワーク解答例
- 要約力を磨く六年生のワーク
- がっちりコース:事例から文章全体の要約を考えよう
- チャレンジコース:事例から文章全体の要約を考えよう
- ワーク解答例
- V 要約力を獲得する「説明文」の基本学習
- 一年「どうぶつの赤ちゃん」〜主語・述語の関係に気をつけて、大体を捉える〜
- 二年「たんぽぽのちえ」〜順序性に着目して要約する〜
- 三年「ありの行列」〜要点に着目して要約する〜
- 四年「体を守る仕組み」〜接続語の働きから、段落のつながりに着目して要約する〜
- 五年「ホタルのすむ水辺」〜文章構成に着目して要約する〜
- 六年「外来語と日本文化」〜事例の役割と文末表現に着目して要約する〜
- W 要約力を駆使して学力向上を図る統合学習
- 二年生活科「竹とんぼの作り方はぼくにまかせて」〜作り方の順序を分かりやすく伝える〜
- 三年理科「モンシロチョウの育ち方」〜キーワードで情報を読みまとめる〜
- 六年総合的な学習「海の救世主『カキ』」〜要約力を駆使して地域の方に情報発信〜
- あとがき
まえがき
「要約力」を身につけることは、氾濫する情報洪水の中で価値ある情報をつかみ自分の進むべき方向性を見失うことなく豊かな生活の創造に向けて突き進む力強い味方となる。「要約力」は、これからの情報化社会を生き抜き価値ある豊かな生活を創造するとき、きわめて重要な技能・能力である。
しかし、説明文学習で「要約」の場面になると「要約の仕方が分からない。面倒だ」と子供の声が聞こえ、学習への興味関心が低下したという体験をお持ちの方も多いと思う。これまでの要約指導は、単発的なスキル学習が中心で、学習者に学ぶ必要感や目的がはっきりしていなかった。その結果、学習者には難しく面倒で機械的な学習に映り、多くの戸惑いを残すことになった。故に、他教科等や実生活に生きて働く力までは高まっていないのが現状である。これは、教師にとっても同様なことが言える。これまでに、要約スキルの向上をねらった効果的な指導法の開発が十分に行われていないことに物語られている。
そこで、これからの要約指導は、子供の発達段階を考慮して「要約力を磨くための基礎・基本」の系統化を図り、「わかる・かわる・できる」のステップ学習で主体的に要約力を獲得できる学習材を開発したり、子供が要約力を必要だと感じる場や生きて働く場を仕組んだりするなどの方策を考えなければならない。
本書では、要約力が効果的に身に付く説明文教材を中心に、要約力を支える基礎・基本を厳選して系統化を図った。さらに、ステップ学習で一人一人が確実に要約力を獲得できるワークシートの開発を行った。子供が自ら意欲的に自信を持って分かる喜びを味わいながら「要約力」の練磨を図っていくことを目指している。要約力を獲得し、二十一世紀を逞しく生きる子供を育てる一助となれば幸いである。
/吉本 清久
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- 明治図書