- はじめに
- 低学年の国語でどんな力を育てるか
- 1 関連・系統指導でどんな力を育てるか
- 2 国語科で育てる力
- 3 本講座のテキストについて
- 4 自主編成の立場で
- 5 低学年で育てる力
- 1年の国語で何を教えるか
- 1 入門期の指導
- あそびに きてね/ どうぞ よろしく/ うたに あわせて あいうえお/ たんけんしたよ、みつけたよ/ こんな ほんを みつけたよ/ ことばで あそぼう/ はなの みち/ ともだち/ あいうえおの うた/ ことばを いれて、ぶんを つくろう/ だれだか わかるかな/ 「は・へ・を」を つかって かこう/ おむすび ころりん/ てがみを かこう
- 2 「大きな かぶ」(さいごう たけひこ)
- 3 じどう車 くらべ
- 4 「くじらぐも」(なかがわ りえこ)
- 5 「ずうっと、ずっと、大すきだよ」(ハンス・ウイルヘルムさく /ひさやま たいちやく)
- 6 おみせやさんごっこを しよう
- 7 「どうぶつの 赤ちゃん」(ますい みつこ)
- 8 「たぬきの 糸車」(きし なみ)
- 2年の国語で何を教えるか
- 1 「ふきのとう」(くどう なおこ)
- 2 かん字かるた
- 3 「たんぽぽの ちえ」(うえむら としお)
- 4 主語と じゅつ語
- 5 ともこさんは どこかな
- 6 同じ 部分を もつ かん字
- 7 「スイミー」(レオ=レオニ作 /たにかわ しゅんたろう訳)
- 8 丸、点、かぎ
- 9 生きものかんさつカード
- 10 あったらいいな、こんなもの
- 11 かん字クイズ
- 12 サンゴの海の生きものたち(もとかわ たつお)
- 13 「お手紙」(アーノルド=ローベル作・絵 /みき たく訳)
- 14 かん字の読み方
- 15 見たこと、かんじたこと
- 16 「三まいのおふだ」(まつたに みよこ)
- 17 「うごくおもちゃを作る」(とだ もりかず)
- 18 かたかなで書くことば
- 19 「いるか」(たにかわ しゅんたろう)
- 20 楽しかったよ、二年生
- 21 「スーホの白い馬」(おおつか ゆうぞう)
はじめに
――教科書教材による「ものの見方・考え方」を育てる国語の授業
書いてある中身、つまり文章表現の内容がわかる力を読解力といい、国語科教育といえば読解力を育てることだと考えられています。したがって国語の授業といえば「教材をわからせる授業」ということで国語の試験問題も文章がどれだけ読みとれるかという読解力のテストということになるわけです。『学習指導要領』の国語科の「目標」にも、〈国語を適切に表現し正確に理解する能力を育てる――〉と述べられています。
私ども文芸教育研究協議会は、読解力(と表現力)を育てることだけを目標とする今日の国語教育のあり方を批判し、読解を超えて、人間そのもの、人間にとっての言語・文化やものごとの本質・法則・真実・価値・意味などをわかる力――認識力――を育てることが国語科教育の目的であると主張してきました。
この主張にもとづいて、「ものの見方・考え方」(認識の方法)を1年から6年まで順序を追って教え育てる関連・系統指導の理論と方法をつくりだしてきました。
たとえば読解指導が人物のようすときもちの読みとりに終始しているのに対して、私ども文芸研は人間そのものの本質や真実をわからせること、そして、そのわかり方(認識の方法)を身につけさせることをめざしています。
『学習指導要領』が、言語事項を軸にして系統化を考えているのに対して、私どもは認識の方法を軸にして系統化を考えています。つまり、説明文教材も文芸教材も、作文・読書・言語・文法などの領域もすべて認識の方法を軸にして、互いに関連づけて指導するわけです。
このような関連・系統指導の考え方に立って、どのような国語の授業を展開するかを試みました。
もちろん現行の教科書は『学習指導要領』にもとづいて編集されておりますから、私どもの主張とのあいだに、あれこれの食いちがいやずれのあるのは当然であります。
しかし、できるだけ子どものものの見方・考え方(認識の方法)を関連・系統的に教え育てていく立場で、それぞれの教材をどのように教材研究し、授業を展開すればいいかを解説しています。
なお、国語を「ものの見方・考え方」を軸にして系統指導するということは、さらにそのことを土台として総合学習へむけて連関・発展させていくことになります。
そもそも、国語科そのものがいわば「ミニ総合科」という構造をもっていますが、国語科で学んださまざまな「ものの見方・考え方」を総合学習では、それらを組み合わせるということになります。
総合学習は、各教科を横断・総合するということもありますが、むしろ、国語科などで学びとったいろいろな「ものの見方・考え方」を対象にあわせて組み合わせるところにこそ、ほんとうの意味での「総合」があるのです。「ミニ総合科」としての国語科は、いわば、そのようなあり方のモデルでもあると考えていただけたらと思います。
教科書をかたわらに置いて本書をお読みくだされば、「ものの見方・考え方」を育てる関連・系統指導ということを具体的に理解していただけるものと確信しております。
二〇〇二年一月 文芸教育研究協議会会長 /西郷 竹彦
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- 明治図書