- まえがき
- 序章 学級全員で考える楽しさを味わう算数授業を
- 第1章 全員参加の算数授業のために
- [T] 全員参加の算数授業を可能にする学級
- 1 何でも言い合える学級
- 2 友だちの考えがわかってあげられる学級
- [U] 全員参加のために教師が心がけること
- 1 子どもの思考を見極める
- 2 子どもの話を最後まで心で聞く
- 3 子どものしぐさをよく見る・つぶやきをよく聞く
- 4 手を挙げるまでちょっと待つ
- 5 発表したい子に発表させる
- 6 間違えてしまった子どもの気持ちを考える
- 7 「ここまでしかわからない」を大切にする
- 8 授業はしつけから始まるのではない
- [V] 授業の導入で子どもをひきつける
- 1 教科書の絵を少しだけ変える(1年「たし算」)
- 2 パッと見せ,パッと伏せる(4年「式と計算」)
- 3 授業にゲームを取り入れる(5年「分数と小数・整数」)
- 4 文章問題に□を使う
- 5 条件不足の問題文を提示する
- [W] 全員が考えられるようにする
- 1 隣の友だちと相談させる
- 2 ヒントを言わせる
- [X] 友だちの話を聞けるようにする
- 1 「どういうこと?」と聞き返す
- 2 途中で止める
- [Y] どの子も説明できるようにする
- 1 友だちの説明をまねして復唱する
- 2 隣の人に説明してみる
- [Z] 図をかけるようにする
- 1 5年「割合」
- 2 6年「単位量あたりの大きさ」
- 第2章 全員参加の算数授業
- [T] 子どもが飛びつく教材提示と授業
- 1 5年「分数と小数・整数」
- 2 4年「二等辺三角形」
- [U] 子どものつぶやきで創る授業
- 1 6年「最小公倍数」
- 2 5年「小数のかけ算」
- [V] 友だちの考えの続きを考える授業
- 1 式から図を考える 4年「式と計算」
- 2 図から式を考える 5年「平行四辺形・三角形・台形の面積」
- 3 図・式・言葉を考える 6年「立体」
- [W] みんなと一緒に創っていく算数授業
- 1 式変形に焦点をあてる
- 2 いろいろな図で考えさせる
- 3 分数÷分数を考えよう
- [X] 学級全員で作る直方体の展開図
- 1 第1時 立方体の展開図を作ろう
- 2 第2時 直方体の展開図を作ろう
- 3 第3時 直方体の展開図は何種類できるの?
まえがき
小数の学習をした時のことである。
「小数点の右側の位を小数第一位と言います。」
と言うと,ある子どもが聞いてきた。
「じゃあ,次の位は,小数第十位と言うの?」
「残念。次の位は,小数第二位と言うのですよ。」
「へえ,運動会みたいだね。」
この言葉を聞いた時,子どもというのは,本当に素直な考え方をするのだなと感じた。整数は,一の位,十の位となっているのだから小数第十位と考えるのは自然なことである。ましてやそれを運動会にたとえるなんて,なんてかわいいのだろう。私は,子どもの素直な考えをもっと聞きたいと思った。
「子どもがあまり発表してくれない。」「高学年だから発表しなくなって当たり前。」本当にそうだろうか。そう感じたら,教師は,まずは自分の授業を振り返ってみるべきであろう。教え込みの授業になっていなかったか。自分の思う通りに進めようとして,都合のよい考えだけを取り上げていなかったか。さらに,教材の提示の仕方はどうだったかなど。
公立小学校に勤めて15年。公立小学校の子ども達もいろいろな考え方を教えてくれた,間違いなく力のある子ども達だった。よく,「優秀な研究校の授業をまねても仕方がない。」と言う方がいらっしゃる。確かに,自分のクラスの子どもに合わせて授業をすることは大切である。だが,その学校の子ども達は,算数を学ぶこと,算数を考えることをを心から楽しんでいる。それは,先生方が子ども達のために授業を真剣に考え,子ども達の気持ちや考えを大切にしながら授業を進めているからである。そのような学校や研究会から学ぶことは大きい。教師が学ぶ姿勢をもたなければ子ども達はいっこうに変わらない。私は,これからも学び続け,子ども達と算数を考えることを楽しみたい。最後に,微力な私に執筆の機会を与えて下さった筑波大学附属小学校の田中博史先生,明治図書の樋口雅子編集長にお礼を申し述べたい。
/永田 美奈子
-
- 明治図書
- 学級全員が生き生きと算数授業に臨むことができるようにするためには、どうしたらよいのでしょうか。そのための手だてをわかりやすく解説しています。授業実践をもとに、教師であればもっていなければならない指導技術、子どもを大切にする考え方などについて述べられています。教師であれば、是非、読んでおきたい一冊です。2008/9/27シロクマ