- はじめに
- 第1章 算数を活用した総合的な学習
- はじめに――算数と総合的な学習
- 1 「総合的な学習の時間」設置の趣旨
- 2 算数を活用する総合的な学習
- 3 経験単元と総合的な学習
- 第2章 算数を生かす総合的な学習の展開
- 3・4年対象
- 展開例1 自動車の交通量を調べよう!
- 1 学習の流れ/ 2 目標/ 3 準備するもの/ 4 活動の場/ 5 指導時間/ 6 学習形態/ 7 FAX教材/ 8 展開/ 9 このプランの発展
- 3年対象
- 展開例2 学区域マップを作ろう!
- 3・4年対象
- 展開例3 数字で表す,ぼくの学校! わたしの学校!
- 3年対象
- 展開例4 チーム対抗・障害物リレー大会を開こう!
- 3年対象
- 展開例5 オリジナル名刺を作ろう!
- 3・4年対象
- 展開例6 宝物のありかは?
- 4年対象
- 展開例7 郵便番号の秘密を見つけよう!
- 4年対象
- 展開例8 点字の世界
- 3・4年対象
- 展開例9 給食の残菜の量から見えるものは?
- 4年対象
- 展開例10 みんなで 楽しく お店やさん
- 4年対象
- 展開例11 遠足に行こう!
- 4年対象
- 展開例12 およその数を探せ!
- 4年対象
- 展開例13 グラフを使ってくらしを探検しよう!
- 4年対象
- 展開例14 学校の大きさを調べてみよう!
- 4年対象
- 展開例15 四季(春・夏・秋・冬)を考える
はじめに
今回の教育課程の改訂で,最も話題を呼んだものが,2つあります。その1つは授業時数の減少による各教科の指導内容の削減ということです。もう1つは,新しく総合的な学習の時間が設けられたことです。
各教科の指導内容が削減されたために,新しく指導する内容が増えたわけではないので,この改訂によって今まで以上に研究を行い,授業の仕方を工夫しようという意欲はほとんど生まれてきていないようです。そのため,各教科についての新教育課程に向けての研究は,さっぱり盛り上がっていません。
これに対し,総合的な学習についての研究は,非常に盛んに行われ始めているようです。これは言うまでもなく,総合的な学習については,今までまったく行った経験がないので,何をどのようにやっていいのかが明らかでないからでしょう。
多くの学校で,すでに総合的な学習についての指導の試みを行っているようです。その指導の様子を見ますと,今までに学習してきている各教科の内容には,ほとんど関係のない事柄を取り上げているというものが,多く見られます。しかし,このような教科に関係のない内容についての総合的な学習だけでは,何のためにこれまで各教科でいろいろなことを学習してきたのかということの,意味がまったくわかりません。
もう1つの総合的な学習のタイプには,理科か社会科についての内容を取り上げ,これを活用するようなものが見られます。このような総合的な学習は,これまでの授業で学習した理科や社会科の内容を生かすので,その点では望ましいものであると考えられます。
しかし言うまでもないことですが,国語と算数は基礎的教科であるといわれています。そして,基礎的な教科ということの意味は,どの教科を学習するときでも,この2つがその基礎として重要な働きをなすということでしょう。それからもう1つの意義は,生活上の問題を解決していくときに,国語や算数の力は欠せないという意味でしょう。したがって,生活上の問題を取り上げて,その解決を考えていく総合的な学習においては,この基礎的な教科である算数と国語が使われないというのは,おかしなことです。算数や国語がまったく使われないような生活的な問題の解決というのは,ある意味では不十分な解決だと考えてもよいのではないでしょうか。
このようなことから,総合的な学習の解決の過程で算数が生かされるような場面も,十分に考えていくことが必要だと思います。そして,そのような場面で算数を活用していくということは,算数のよさをわからせるとともに,よりよい生活上の問題の解決になるのではないかと思います。そこでこの事例集では,総合的な学習を実践し,その中で算数がどのように活用されるか,また活用されることが望ましいかということを示すことにしました。
総合的な学習のテーマは,数時間から10数時間かけてなされるものが多いようです。したがって,そのすべての時間に,算数が活用されていくというわけではありません。そこで総合的な学習の活動の中で,特に算数が生かされているようなところを,クローズアップして示すことにしました。もちろんここにあげた事例というのは,実際に執筆された先生方が,学校において実践された内容です。ですから実際に総合的な学習を展開していくときに,すぐに役に立つものであると考えます。
どうぞよりよい総合的な学習を展開するために,算数を生かしたこれらの事例を十分に活用されることを願っております。
2000年1月 編者 /片桐 重男
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- 明治図書