- はじめに
- 第1部 文章題
- 第1章 問題解決と文章題
- §1 問題解決の意味とその指導の意義
- 1 問題の所在
- 2 解説
- 3 詳しい考察
- 1) G.Polyaの問題解決の過程
- 2) J.Dewyの反省的思考
- 3) G.Wallasの創造的思考
- 4) F.Fehrの問題解決の過程
- §2 文章題
- 1 問題の所在
- 2 詳しい考察
- 1) 問題解決と文章題の意味
- 2) 文章題の意義
- 第2章 文章題の出し方,読みとり方
- 序
- §1 リアルに
- §2 自己の問題の把握
- §3 演算決定に焦点を当てた出題
- 1 同じ演算を使う問題のみを出さないこと
- 2 数値の順序と数値の大きさ
- §4 条件不足,過剰……オープンエンドの問題
- §5 キーワード
- §6 問題理解のための手だて
- 1 情景図,絵
- 2 条件と求めることの明確化
- §7 問題の型の多様性
- 第3章 文章題の解法
- §1 解法に用いられる方法
- 1 問題の所在
- 2 詳しい考察
- 1) 教具や絵を用いて
- 2) テープ図や線分図を用いて
- 3) 数直線を用いて
- 4) 表を用いて
- 5) 面積図を用いて
- 6) 単純化したり,特殊化して見当をつける
- 7) 類推する
- §2 種々の文章題
- 1 植木算
- 2 2人で分ける(1)
- 3 2人で分ける(2)
- 4 駅間の距離表
- 5 鶴亀算
- 6 エスカレーターの段数
- 7 分配する問題
- 第4章 文章題の発展的考察
- §1 植木算の問題の解の検討
- §2 植木算の発展
- §3 2人で分ける(2)の問題の発展
- §4 駅間の距離表の発展
- §5 鶴亀算の問題の発展と統合
- §6 エスカレーターの段数の問題の発展
- 第2部 興味ある問題
- ―電卓の活用―
- 第1章 算数科の目標と電卓の活用
- 序
- §1 算数科の目標について
- 1 問題の所在
- 2 詳しい考察
- 1) 自らの行動が決定できるようにする
- 2) 性質・法則等の推測・発見
- 3) 算数・数学の利用・応用
- 4) 一人一人の能力にあった学習を重視するようにする
- 5) 数学的な考え方の育成
- 6) 行動のアルゴリズム化
- §2 電卓活用の場とその活用の仕方について
- 1 問題の所在
- 2 詳しい考察
- 1) 形式計算の練習およびグラフの作成とそのたしかめに
- 2) 計算の意味の把握と演算決定能力の育成に
- 3) 計算方法(順序),計算法則の発見,たしかめに
- 4) 問題場面,資料を自然なものにするために
- 5) 求積の重要な面を強調
- 6) 行動をアルゴリズム化させるときに役立てる
- 7) 興味ある問題を取り上げる
- 8) 概算の能力そのものを育てるめに
- 9) 電卓活用と指導内容の検討
- 第2章 電卓を活用する興味ある問題
- はじめに
- 問題1 逆から見ると正しい電卓数字の計算式
- 1 問題/ 2 目標/ 3 展開/ 4 発展
- 問題2 電卓を用いたナンバーパターンの発見
- 1 目標/ 2 問題と展開/ 3 問題の発展
- 問題3 パリンドローム
- 1 問題/ 2 目標/ 3 展開/ 4 発展的考察
- 問題4 星形魔方陣
- 1 問題/ 2 目標/ 3 展開/ 4 発展
- 問題5 六角形の計算
- 1 問題/ 2 目標/ 3 準備/ 4 展開(1)/ 5 展開(2)/ 6 発展的考察
- 問題6 加減ゲーム
- 1 問題/ 2 目標/ 3 展開/ 4 発展
- 問題7 6桁の数の約数
- 1 問題/ 2 目標/ 3 展開/ 4 発展
はじめに
算数教育に限らず,きちんと筋道立てて数学教育の研究をしようという者から,「どの本をまず読んだらよいか」ということをきかれたとき,すすめられるものが全くありません。また,算数教育を研究している人や,ベテランの教師から,これまでの自分の研究を振り返り,自分の算数教育,数学教育に対する考えを整理し,より確実なものにしていきたいが,どの書物を頼りにしたらよいだろうときかれても,紹介できる適当なものがありません。
指導事例集とか,算数教育のあるテーマについて深い研究を著した書物,啓蒙的な書物はいろいろでています。しかし,これらはいずれも算数教育の一部を取り上げたものであって,算数教育全体の中での位置づけが明確なものではありません。算数教育の講座もありますが,これとても,内容を詳しく体系的に説いてはいません。これが算数教育界で現在最も欠けている点であります。
算数教育で,確実な足場の上に立って学問的な研究をしていきたいというときには,この分野全体について,体系的にしかも詳しく示した書物が必要なのです。
さらに,系統的に各内容を深く掘り下げた研究をしていきたいというときには,確実な体系の上に立った,各内容やその扱い方の深め方を示した書物が頼りになるはずなのです。
そこで,算数教育の目標,内容,指導と評価の留意点,数学的な考え方・態度をのばす興味ある問題について体系的に詳細に考察した,この
『算数教育の新しい体系と課題 全10巻』
を著すことにしたのです。
算数教育の全内容を覆う,体系的なものにし,これからの人にとっても,ベテランの人にとっても,研究者にとっても,必ずこれを通らなくてはならないというものを著そうと努めました。
しかしこれまでに,このような書物は全く著されていないために,参考にするものがありませんでした。だからこの講座は,もっぱら,何十年かにわたって著者の頭の中に蓄えてきたものを,文字に著すということで書き上げたものです。
したがって,著者の考え,主張が強く現れているところもあります。
この第9巻を書き上げるに当たって,廣田敬一さん,長谷川雅枝さんに大変協力していただきました。お二人とも指導主事という非常にお忙しい仕事に就かれているにも拘わらず,貴重な時間を割いて,問題を詳しく検討して下さいました。そして,長年の算数指導の経験をふまえて,実際的なものにするための改善の意見を詳しく寄せて下さいました。これによって,一層指導の実際に応えるものになったと思います。ご自分のための時間のほとんどをこれに使われたのではないかと思います。改めてお礼を申し上げます。
最後になりましたが,この講座を出版するに当たって,明治図書の間瀬季夫氏・石塚嘉典氏をはじめ,編集部の方には,算数教育のためということで無理なお願いを受け入れてもらい,この企画から編集まで非常な苦労をかけてしまいました。ご苦労に対して,心から感謝いたします。
1996年1月 /片桐 重男
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- 明治図書