算数教育の新しい体系と課題7
数学的な考え方を育てる「式」の指導

算数教育の新しい体系と課題7数学的な考え方を育てる「式」の指導

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1章 指導内容の変遷/2章 「式表示」の内容/3章 式のよさと式に表すことの指導/4章 式をよむよさとその指導/5章 興味ある問題


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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-555708-6
ジャンル:
算数・数学
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 158頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

はじめに
第1章 指導内容の変遷
§1 領域名の変遷
§2 昭和23年の学習指導要領
§3 昭和26年の学習指導要領
§4 昭和33年の学習指導要領
§5 昭和43年の学習指導要領
§6 昭和52年と平成元年の学習指導要領
第2章 「式表示」の内容
§1 「式表示」の指導内容
1 問題の所在
2 解説
1) ことがらや関係を式に表す
2) 式をよむ
3) 形式的に式変形をする
§2 「式表示」の対象
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
1) ことがらを表す式
2) 関係を表す式
3) 等号・不等号の意味
4 指導の留意点
1) 立式について
2) “=”の2つの意味の使い分け
§3 記号の意味
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
1) formalな記号の種類
2) informalな記号の使用
4 指導の留意点
1) formalな記号による立式指導
2) informalな記号による立式指導
5 発展
1) 記号の分類
2) 文字の意味
3) 記号の種類からみた式の指導
第3章 式のよさと式に表すことの指導
§1 よさ
1 問題の所在
2 解説
1) ことがらや関係を簡潔・明確に表せる
2) ことがらや関係を一般化しやすい
3) 思考の過程を簡潔・明確に表せる
4) ことがらや関係を形式的に処理しやすい
§2 簡潔・明確というよさを味わわせる指導(1)
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
1) 式に表した方が,簡潔・明確であることを味わわせる揚
2) より簡潔・明確にするために,よりよい式を考えた方がよいことを味わわせる揚
4 指導の留意点
1) たし算の最初の場の指導の留意点
2) 0の乗法の指導の重点
3) 式のよさを分かりにくくするヒント
§3 簡潔・明確というよさを味わわせる指導(2)
1 問題の所在
2 解説
1) 分解式のよさと立式の仕方
2) 総合式のよさと立式の要点
3 詳しい考察
1) 総合式のよさの指導のポイント
2) 総合式指導の場
4 指導の留意点
1) かっこの必要を理解させる指導と使い方
2) 代入の考え
§4 一般化のよさを味わわせる指導
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
1) ことがらや関係を一般化していくことについて
2) 一般的な関係やことがらを簡潔・明確に表すことについて
§5 思考過程を式に表す指導
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
1) 問題に対する総合式を立てるとき
2) 式から結果を得るとき
3) 問題に対する式を立てたとき
§6 式の形式的変形
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
第4章 式をよむよさとその指導
§1 式をよむとは
1 問題の所在
2 解説
1) 具体的な場によむ
2) モデルによむ
3) 一般的によむ
4) 式変形の過程をよむ
5) 依存関係や関数関係をよむ
6) 式の形をよむ
§2 具体的な場によむことの指導
1 問題の所在
2 解説
1) 具体的な問題を解決するのに,一般的な関係を表す式を適用する場合
2) 式があるとき,その式が用いられる問題を作る場合
3 詳しい考察
1) 具体的な問題を解決するのに,一般的な関係を表す式を適用する場合
2) 理解を一般化していくために,式から作問する場合
3) 分解式の不十分さを知るための作問
4) 適切でない立式に気付かせるための作問
5) 誤った立式を意識させ,生かすための作問
§3 モデルによむことの指導
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
1) 加減の式をモデルによむ
2) 乗除の式をモデルによむ
3) 問題の一部の条件を表す式をモデルによむ
§4 一般的によむ
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
1) 具体的な場合を表す式を,一般的によむ
2) いくつかの式から一般的なルールをよむ
3) 一般化された式をよむ
§5 計算法則のよみ方と一般化
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
1) たし算の交換法則をよむ
2) かけ算の交換法則
3) たし算の結合法則
4) かけ算の結合法則
5) 分配法則
§6 式変形の過程をよむ
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
§7 関数関係をよむことの指導
1 問題の所在
2 解説
1) 依存関係をよむ
2) 関数関係をよむ
3 詳しい考察
1) 依存関係をよむ
2) 関数関係をよむ
§8 式の形をよむ
1 問題の所在
2 解説
第5章 興味ある問題
はじめに
§1 点字ボード
1 指導の時期
2 目標
3 準備
4 問題
5 展開
6 発展的考察
§2 「碁石を正方形に並べる」の発展(第4章より)
1 指導の時期
2 目標
3 問題
4 展開
5 発展的考察
§3 パターンの証明
1 指導の時期
2 目標
3 問題の位置づけと問題
4 展開
5 発展的考察

はじめに

 算数教育に限らず,きちんと筋道立てて数学教育の研究をしようという者から,「どの本をまず読んだらよいか」ということをきかれたとき,すすめられるものが全くありません。また,算数教育を研究している人や,ベテランの教師から,これまでの自分の研究を振り返り,自分の算数教育,数学教育に対する考えを整理し,より確実なものにしていきたいが,どの書物を頼りにしたらよいだろうときかれても,紹介できる適当なものがありません。

 指導事例集とか,算数教育のあるテーマについて深い研究を著した書物,啓蒙的な書物はいろいろでています。しかし,これらはいずれも算数教育の一部を取り上げたものであって,算数教育全体の中での位置づけが明確なものではありません。算数教育の講座もありますが,これとても,内容を詳しく体系的に説いてはいません。これが算数教育界で現在最も欠けている点であります。

 算数教育で,確実な足場の上に立って学問的な研究をしていきたいというときには,この分野全体について,体系的にしかも詳しく示した書物が必要なのです。

 さらに,系統的に各内容を深く掘り下げた研究をしていきたいというときには,確実な体系の上に立った,各内容やその扱い方の深め方を示した書物が頼りになるはずなのです。

 そこで,算数教育の目標,内容,指導と評価の留意点,数学的な考え方・態度をのばす興味ある問題について体系的に詳細に考察した,この

 『算数教育の新しい体系と課題 全10巻』

を著すことにしたのです。

 算数教育の全内容を覆う,体系的なものにし,これからの人にとっても,ベテランの人にとっても,研究者にとっても,必ずこれを通らなくてはならないというものを著そうと努めました。

 しかしこれまでに,このような書物は全く著されていないために,参考にするものがありませんでした。だからこの講座は,もっぱら,何十年かにわたって著者の頭の中に蓄えてきたものを,文字に著すということで書き上げたものです。

 したがって,著者の考え,主張が強く現れているところもあります。

 この講座の各巻を書き上げるに当たって,長谷川雅枝さんに大変協力していただきました。長谷川さんは,はじめは算数教育を勉強し直したいという動機から,この原稿を見始めたのですが,結局,この各巻をすべて読み,長年の算数指導の経験をふまえて,実際的なものにするための改善の意見を詳しく寄せて下さいました。これによって,一層指導の実際に応えるものになったと思います。ご自分のための時間のほとんどをこれに使われたのではないかと思います。改めてお礼を申し上げます。

 最後になりましたが,この講座を出版するに当たって,明治図書の間瀬季夫氏・石塚嘉典氏をはじめ,編集部の方には,算数教育のためということで無理なお願いを受け入れてもらい,この企画から編集まで非常な苦労をかけてしまいました。ご苦労に対して,心から感謝いたします。


  1995年3月   /片桐 重男

著者紹介

片桐 重男(かたぎり しげお)著書を検索»

1925年,東京都に生まれる。東京教育大学(現筑波大学)大学院教育学研究科修士課程修了。都立教育研究所指導主事,文部省初中局小学校課教科調査官,横浜国立大学教育学部教授,文教大学教育学部教授。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書

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