算数教育の新しい体系と課題6
数学的な考え方を育てる「図形」の指導

算数教育の新しい体系と課題6数学的な考え方を育てる「図形」の指導

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1章「図形」の概念の概観/2章 指導の変遷/3・4章 平面図形/5章 平面図形の関係・操作・表現/6章 立体図形/7章 空間概念/他


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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-555604-7
ジャンル:
算数・数学
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 204頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

はじめに
第1章 「図形」の概念の概観
§1 概念の獲得
§2 概念の種類
§3 定義と性質と条件
第2章 「図形」指導の変遷
§1 昭和23年の学習指導要領
§2 昭和26年の学習指導要領
§3 昭和33年の学習指導要領
§4 昭和43年の学習指導要領
§5 昭和52年の学習指導要領
§6 平成元年の学習指導要領
第3章 平面図形(1)
§1 基礎的な経験
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
1) 基礎的な経験
2) 図形の直観的な見方
4 指導の留意点
1) 基礎的な経験と形の名称
2) 直観の指導法
§2 三角形・四角形
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
1) 三角形,四角形の意味(定義)
2) 三角形,四角形のより数学的な定義
3) 三角形,四角形の性質
4) 三角形や四角形の構成
4 指導の留意点
1) 三角形の辺の関係
2) 三角形・四角形の内角の和の求め方
§3 二等辺三角形・正三角形
1 問題の所在
2 解説
1) 意味(定義)
2) 性質
3 詳しい考察
1) 意味,性質について
2) 図形の判別
3) 二等辺三角形や正三角形の乍り方
4) 相互関係と包摂関係
4 指導の留意点
1) 論理的に扱うことの必要
§4 長方形・正方形
1 問題の所在
2 解説
1) 長方形,正方形,直角の意味(定義)
2) 性質
3 詳しい考察
1) 意味
2) 性質と調べ方
3) 構成
4) 相互関係と包摂関係
4 指導の留意点
1) 概念の導入について
§5 平行四辺形・ひし形・台形
1 問題の所在
2 解説
1) 平行四辺形の意味(定義)と性質
2) 台形,ひし形の意味と性質
3 詳しい考察
1) 平行四辺形などの意味と性質
2) 調べ方
3) 作り方
4) 相互関係と包摂関係
4 指導の留意点
1) 性質と集合
2) 説明の根拠としての操作
第4章 平面図形(2)
§1 多角形
1 問題の所在
2 解説
1) 意味(定義)
2) 性質
3) かき方
3 詳しい考察
1) 意味(定義)
2) 性質
4 指導の留意点
1) 多角形の内角の和の求め方
2) 特殊の考え方を生かす
§2 円・おうぎ形
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
1) 円の意味と性質
2) 数学的な定義
3) かき方
4) 調べ方
§3 角
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
1) 2つの直線でできる形
2) 回転の角に関して
4 指導の留意点
§4 対称
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
1) 図形のまとめ
2) 「線対称」「点対称」の意味
3) 対称性の判断と対称図形をかくこと
4) 対応する点,対応する辺,対応する角
4 指導の留意点
1) 類推的な考え方を生かす
2) 関数的な考えを生かす
第5章 平面図形の関係・操作・表現
はじめに
§1 平行・垂直
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
1) 垂直
2) 平行
3) 平行線の性質と垂直,平行の判断
4) 操作を判断の根拠とすること
§2 合同
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
1) 合同の意味
2) 合同の性質
3) 対応する点,対応する辺,対応する角の意味
4) 三角形の合同条件
4 指導の留意点
1) 対応の考えを使って辺や角の相等を調べる
2) 重ねる操作を論理的に
§3 拡大図・縮図
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
1) 「拡大図・縮図」の意味
2) 「拡大図・縮図」と「相似」
§4 作図
1 問題の所在
2 解説
1) 道具とその使い方
2) 作図の対象
3 詳しい考察
1) 二等辺三角形ABC,正三角形ABCの作図
2) 三角形ABCの作図(三角形の決定条件)
3) 正方形,長方形の作図
4) 平行四辺形,ひし形の作図
5) 正多角形の作図
4 発展的考察
§5 拡大図・縮図のかき方と縮尺の利用
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
1) 拡大図・縮図のかき方と縮尺の利用
2) 縮尺・縮図の利用
§6 移動
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
4 発展的考察
第6章 立体図形
§1 直方体・立方体
1 問題の所在
2 解説
1) 立体についての基礎的経験
2) 直方体・立方体の意味(定義)と性質
3) 構成・表現
3 詳しい考察
1) 基礎的経験
2) 意味と性質
3) 関係:平行・垂直
4) 構成・表現
4 指導の留意点
1) 展開図について
5 発展的考察
1) 見取り図
2) 立方体の展開図
§2 柱体
1 問題の所在
2 解説
1) 意味(定義)
2) 性質
3 詳しい考察
1) 角柱の意味と性質
2) 円柱の意味と性質
3) n角形の頂点,辺,面の個数とその関係
4) 表現
4 発展的考察
1) 柱体の数学的な定義(1)
2) 柱体の数学的な定義(2)
3) 角柱・円柱と直角柱・正角柱・直円柱
§3 錐体
1 問題の所在
2 解説
1) 意味(定義)
2) 性質
3 詳しい考察
1) 角錐,円錐の意味と性質
2) 表現
3) 角錐の性質(2)(頂点の数とオイラーの定理)
4 発展的考察
1) 角錐の数学的な定義
2) 円錐の数学的な定義
3) 錐体の頂点は1つだけ?
§4 球
1 問題の所在
2 解説
第7章 空間概念
§1 空間概念
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
1) 3次元,2次元,1次元
2) 空間概念獲得のためにとらえさせたい特徴
§2 具体的場面
1 問題の所在
2 詳しい考察
§3 点の位置
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
1) 直線上の点の位置の表し方
2) 平面上の点の位置の表し方
3) 空間における点の位置の表し方
§4 敷き詰め
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
1) 学習活動
2) 空間概念の理解
3) 図形の性質
4 発展的考察
1) 新しい敷き詰めの発見
2) 敷き詰めの基礎としての平行四辺形
3) 具体的操作
4) テッセレーション
第8章 図形の見方・考え方
1 問題の所在
2 解説
§1 全体的にみることと直観
1 全体的に見る
2 図形の直観的な見方
§2 構成要素とその関係に着目する
§3 概形によって見通しを立てようとする
§4 正確な図にかき,これを基に判断しようとする
§5 図形間の関係に着目する
§6 意味や性質に基づいて,論理的に考えようとする
第9章 図形の見方・考え方を育てる興味ある問題
§1 定規,コンパスを使おう〔錯視図形〕
1 指導の時期
2 目標
3 問題
1) 定規を使う必要のある問題
2) 2枚の定規を必要とする問題
3) 長さの比較にコンパスを使う問題
4) 重ねてみよう
§2 円形折り紙で多角形を折る
1 指導の時期
2 目標
3 問題
4 準備
5 各図形の折り方
1) 二等辺三角形
2) 正三角形
3) 長方形
4) 正方形
5) 正六角形
6) 正八角形
7) 正十二角形,正十六角形
§3 都道府県のマーク
1 指導の時期
2 目標
3 問題
4 発展的問題
§4 図形の二等分
1 指導の時期
2 目標
3 問題
4 準備
5 展開
6 発展的考察

はじめに

 算数教育に限らず,きちんと筋道立てて数学教育の研究をしようという者から,「どの本をまず読んだらよいか」ということをきかれたとき,すすめられるものが全くありません。また,算数教育を研究している人や,ベテランの教師から,これまでの自分の研究を振り返り,自分の算数教育,数学教育に対する考えを整理し,より確実なものにしていきたいが,どの書物を頼りにしたらよいだろうときかれても,紹介できる適当なものがありません。

 指導事例集とか,算数教育のあるテーマについて深い研究を著した書物,啓蒙的な書物はいろいろでています。しかし,これらはいずれも算数教育の一部を取り上げたものであって,算数教育全体の中での位置づけが明確なものではありません。算数教育の講座もありますが,これとても,内容を詳しく体系的に説いてはいません。これが算数教育界で現在最も欠けている点であります。

 算数教育で,確実な足場の上に立って学問的な研究をしていきたいというときには,この分野全体について,体系的にしかも詳しく示した書物が必要なのです。

 さらに,系統的に各内容を深く掘り下げた研究をしていきたいというときには,確実な体系の上に立った,各内容やその扱い方の深め方を示した書物が頼りになるはずなのです。

 そこで,算数教育の目標,内容,指導と評価の留意点,数学的な考え方・態度をのばす興味ある問題について体系的に詳細に考察した,この

 『算数教育の新しい体系と課題 全10巻』

を著すことにしたのです。

 算数教育の全内容を覆う,体系的なものにし,これからの人にとっても,ベテランの人にとっても,研究者にとっても,必ずこれを通らなくてはならないというものを著そうと努めました。

 しかしこれまでに,このような書物は全く著されていないために,参考にするものがありませんでした。だからこの講座は,もっぱら,何十年かにわたって著者の頭の中に蓄えてきたものを,文字に著すということで書き上げたものです。

 したがって,著者の考え,主張が強く現れているところもあります。

 この講座の各巻を書き上げるに当たって,長谷川雅枝さんに大変協力していただきました。長谷川さんは,はじめは算数教育を勉強し直したいという動機から,この原稿を見始めたのですが,結局,この各巻をすべて読み,長年の算数指導の経験をふまえて,実際的なものにするための改善の意見を詳しく寄せて下さいました。これによって,一層指導の実際に応えるものになったと思います。ご自分のための時間のほとんどをこれに使われたのではないかと思います。改めてお礼を申し上げます。

 また,本巻は長野南さんにも検討をしていただき,貴重な意見を多数いただきました。本当にありがたいことと考えています。

 最後になりましたが,この講座を出版するに当たって,明治図書の間瀬季夫氏・石塚嘉典氏をはじめ,編集部の方には,算数教育のためということで無理なお願いを受け入れてもらい,この企画から編集まで非常な苦労をかけてしまいました。ご苦労に対して,心から感謝いたします。


  1995年3月   /片桐 重男

著者紹介

片桐 重男(かたぎり しげお)著書を検索»

1925年,東京都に生まれる。東京教育大学(現筑波大学)大学院教育学研究科修士課程修了。都立教育研究所指導主事,文部省初中局小学校課教科調査官,横浜国立大学教育学部教授,文教大学教育学部教授。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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