算数教育の新しい体系と課題4
数学的な考え方を育てる「乗法・除法」の指導

算数教育の新しい体系と課題4数学的な考え方を育てる「乗法・除法」の指導

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1章「計算」の指導内容と乗法・除法の内容/2章 乗法演算の意味/3章 除法演算の意味/4章 乗法・除法の性質/5章 乗法の計算方法他


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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-555406-0
ジャンル:
算数・数学
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 204頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

はじめに
第1章 「計算」の指導内容と乗法・除法の内容
§1 「計算」の内容
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
4 指導の留意点
§2 「計算」の各内容指導の意義
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
§3 乗除計算の指導の変遷と概要
1 昭和23年の学習指導要領
2 昭和26年の学習指導要領
3 昭和33年の学習指導要領
4 昭和43年の学習指導要領
5 昭和52年の学習指導要領
6 平成元年の学習指導要領
7 乗・除法の指導段階のまとめ
第2章 乗法演算の意味
§1 乗法の意味(乗数が整数のとき)
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
4 指導の留意点
1) 自主的な考えを育てること
2) 数の順序を考える問題と□を用いた式
§2 かけ算の意味の拡張(1)―0の乗法―
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
4 指導の留意点
§3 かけ算の意味の拡張(2)―小数,分数の乗法―
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
1) 割合の考えを使う
2) 数直線に表す
3) 比例の考えを使う
4) 整数に直して考える
5) ことばの式を用いる
6) 長方形の面積の公式から
7) 内包量と外延量による
8) 小数のかけ算の指導はどうするのがよいか
4 指導の留意点
1) 数直線は2本か,1本か
2) 乗数が1より小さいときの問題
3) 数直線一辺倒ではない
第3章 除法演算の意味
§1 除法の意味(除数が整数のとき)
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
1) 除法の基礎となる経験
2) 除法の第1の意味
3) 除法の意味の統合
4 指導の留意点
1) 支援について
2) 等分除と包含除のどちらが先か
3) 包含除,等分除の統合
§2 除法の意味の拡張(1)―余りのある除法―
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
1) 余りのあるわり算の意味
2) 余りのある除法の数学的考察
4 指導の留意点
1) 何が問題か
2) あまり<わる数の指導は正しいか
§3 余りの0と除法の意味の統合
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
§4 除法の意味の拡張(2)―除数が小数,分数のとき―
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
1) 割合の考えを使う
2) 数直線に表す
3) 乗法の逆算
4) 整数にして考える
5) 「ことばの式」を用いる
6) 長方形の面積と数直線の併用
7) 内包量と外延量による
8) 小数のわり算の指導はどうするのがよいか
4 指導の留意点
1) 問題の数の順序,大小と立式
2) 除法の第2の統合
第4章 乗法・除法の性質
§1 乗・除法の性質の内容
1 問題の所在
2 解説
§2 乗法計算の性質の下学年の扱い
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
1) 法則についての最初の経験
2) 法則Cなどについての経験
§3 乗・除法の性質の上学年の扱い
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
1) 整数の範囲での計算法則
2) 小数・分数の範囲での計算法則の説明
§4 計算法則などの性質の活用
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
1) 計算の仕方を考えたり,確かめたりするとき
2) 計算の工夫に役立てる
3) 問題解決に利用する
第5章 乗法の計算方法
§1 九九の作成
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
4 指導の留意点
1) 図や絵を与えることは慎重にすること
2) 九九の練習
3) 九九のよりよい理解
§2 2位数×1位数
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
1) 30×4
2) 2位数×1位数
3) 4×30のような「1位数×何十」の仕方
4) 4×36のような1位数×2位数の仕方
§3 「整数,小数×整数」の筆算
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
§4 小数,整数×小数
1 問題の所在
2 解説
1) 小数の計算の仕方
2) 積と被乗数との関係
3 詳しい考察
1) 小数乗法の計算の仕方
2) 積と被乗数との関係
4 指導の留意点
1) 見通しを立てること
2) 既習を生かすこと
3) 子供の考えつきやすい方法について
4) 積と被乗数との関係について
§5 分数の乗法計算
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
1) 分数×整数の計算の仕方
2) 分数(整数)×分数の計算の仕方
4 指導の留意点
1) 「乗数が分数の乗法」と「分数÷整数」の順序
2) 「小数をかける乗法」と「分数をかける乗法」の仕方の統一
3) モデルの統一
第6章 除法の計算方法
§1 除法の意味と概算を生かした除法計算
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
1) かけ算九九の逆のわり算
2) 除法の意味と概算による方法
§2 整数除法の筆算
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
4 指導の留意点
1) 「意味と概算」による方法の意義
2) 長除法と短除法
§3 小数の除法計算
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
1) 「わり進み」と「丸める」
2) 小数でわる計算
3) 余りのある除法
4) 商と被除数の関係
4 指導の留意点
§4 分数の除法計算
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
1) 「分数÷整数」の計算の仕方
2) 「分数÷分数」の計算の仕方
4 指導の留意点
1) 乗法からの類推
2) 小数と分数の同じ意味を用いるようにすること
第7章 整数,小数,分数の乗法・除法計算の統合
§1 乗法計算の統合
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
§2 乗除計算の統合
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
第8章 乗除計算の概算
§1 乗除計算で概数を用いる場合
1 問題の所在
2 解説
§2 概算を用いる場合(1)―概数であるものの計算―
1 問題の所在
2 詳しい考察
§3 概算を用いる場合(2)―計算の結果を概数に表した方がよいとき―
1 問題の所在
2 詳しい考察
§4 概算を用いる場合(3)―演算及び計算の方法や結果の見通しを立てるとき―
1 問題の所在
2 詳しい考察
1) 演算の見通しを立てるとき
2) 計算の結果の見通しを立てたり,確かめたりするとき
3) 概算と電卓
4) 計算の仕方を見い出すとき
§5 近似値の四則計算の方法
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
1) 近似値の和・差
2) 近似値の積・商
第9章 乗除に関する興味ある問題
はじめに
§1 興味あるゲーム:かけ算の3目並べ
1 指導の時期
2 目標
3 準備
4 ゲームの概要
5 展開
6 発展的考察
§2 興味ある問題:5角形の数あて
1 指導の時期
2 目標
3 準備
4 問題
5 展開
6 発展的考察
§3 興味ある問題:かけ算の新しい交換法則
1 指導の時期
2 目標
3 準備
4 問題
5 展開
6 発展的考察

はじめに

 算数教育に限らず,きちんと筋道立てて数学教育の研究をしようという者から,「どの本をまず読んだらよいか」ということをきかれたとき,すすめられるものが全くありません。また,算数教育を研究している人や,ベテランの教師から,これまでの自分の研究を振り返り,自分の算数教育,数学教育に対する考えを整理し,より確実なものにしていきたいが,どの書物を頼りにしたらよいだろうときかれても,紹介できる適当なものがありません。

 指導事例集とか,算数教育のあるテーマについて深い研究を著した書物,啓蒙的な書物はいろいろでています。しかし,これらはいずれも算数教育の一部を取り上げたものであって,算数教育全体の中での位置づけが明確なものではありません。算数教育の講座もありますが,これとても,内容を詳しく体系的に説いてはいません。これが算数教育界で現在最も欠けている点であります。

 算数教育で,確実な足場の上に立って学問的な研究をしていきたいというときには,この分野全体について,体系的にしかも詳しく示した書物が必要なのです。

 さらに,系統的に各内容を深く掘り下げた研究をしていきたいというときには,確実な体系の上に立った,各内容やその扱い方の深め方を示した書物が頼りになるはずなのです。

 そこで,算数教育の目標,内容,指導と評価の留意点,数学的な考え方・態度をのばす興味ある問題について体系的に詳細に考察した,この

 『算数教育の新しい体系と課題 全10巻』

を著すことにしたのです。

 算数教育の全内容を覆う,体系的なものにし,これからの人にとっても,ベテランの人にとっても,研究者にとっても,必ずこれを通らなくてはならないというものを著そうと努めました。

 しかしこれまでに,このような書物は全く著されていないために,参考にするものがありませんでした。だからこの講座は,もっぱら,何十年かにわたって著者の頭の中に蓄えてきたものを,文字に著すということで書き上げたものです。

 したがって,著者の考え,主張が強く現れているところもあります。

 この講座の各巻を書き上げるに当たって,長谷川雅枝さんに大変協力していただきました。長谷川さんは,はじめは算数教育を勉強し直したいという動機から,この原稿を見始めたのですが,結局,この各巻をすべて読み,長年の算数指導の経験をふまえて,実際的なものにするための改善の意見を詳しく寄せて下さいました。これによって,一層指導の実際に応えるものになったと思います。ご自分のための時間のほとんどをこれに使われたのではないかと思います。改めてお礼を申し上げます。

 また,小嶋隆夫さんにも検討をしていただき,貴重な意見を多数いただきました。本当にありがたいことと考えています。

 最後になりましたが,この講座を出版するに当たって,明治図書の間瀬季夫氏・石塚嘉典氏をはじめ,編集部の方には,算数教育のためということで無理なお願いを受け入れてもらい,この企画から編集まで非常な苦労をかけてしまいました。ご苦労に対して,心から感謝いたします。


  1995年3月   /片桐 重男

著者紹介

片桐 重男(かたぎり しげお)著書を検索»

1925年,東京都に生まれる。東京教育大学(現筑波大学)大学院教育学研究科修士課程修了。都立教育研究所指導主事,文部省初中局小学校課教科調査官,横浜国立大学教育学部教授を経て,現在,文教大学教育学部教授。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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