算数教育の新しい体系と課題3
数学的な考え方を育てる「加法・減法」の指導

算数教育の新しい体系と課題3数学的な考え方を育てる「加法・減法」の指導

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1章「計算」の指導内容/2章 加減計算の内容の変遷/3章 加法演算の意味/4章 減法演算の意味/5章 加法・減法の性質指導/他


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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-555302-1
ジャンル:
算数・数学
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 164頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

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はじめに
第1章 「計算」の指導内容
§1 「計算」の内容
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
4 指導の留意点
1) いろいろな場面を用意する
2) 立式における数の順序
3) 演算の意味の明確化
4) 作問を取り入れるようにする
5) 計算練習の留意点
§2 「計算」の各内容指導の意義
1 問題の所在
2 解説
1) 計算の意味の理解,演算決定
2) 計算の性質の理解と活用
3) 計算方法の理解
4) 形式計算の習熟
3 詳しい考察
1) 演算の意味の理解,演算決定の指導
2) 計算の性質の理解と活用
3) 計算方法を発見させ,理解させること
4) 形式計算に習熟すること
第2章 加減計算の内容の変遷
§1 加法・減法の指導の変遷
1 昭和23年の学習指導要領
2 昭和26年の学習指導要領
3 昭和33年の学習指導要領
4 昭和43年の学習指導要領
5 昭和52年の学習指導要領
6 平成元年の学習指導要領
§2 加減法の基礎となる経験
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
4 指導の留意点
1) 数の合成・分解
2) 関数的な考え
第3章 加法演算の意味
§1 たし算の用いられる場合と意味
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
1) たし算の用いられる場合
2) たし算の意味への一般化
4 指導の留意点
1) 捨象の仕方と作問
2) 手の操作の代わりにキャラクターを使うこと
§2 たし算の意味の拡張(1) ――0のたし算――
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
4 指導の留意点
§3 たし算の用いられる場合と意味の拡張(2) ――逆思考や連続量の場合――
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
1) 意味の拡張
2) 逆思考の場合の理解
3) 小数,分数の加法の意味
4 指導の留意点
1) 拡張の仕方
2) 逆思考の問題とその扱い
§4 たし算の意味の拡張(3) ――3口以上のたし算――
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
第4章 減法演算の意味
§1 ひき算の用いられる場合とその意味
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
1) ひき算の用いられる場合
2) ひき算の意味への一般化
4 指導の留意点
1) 差を求めるひき算を,残りを求めるひき算と関係づける
§2 ひき算の意味の拡張(1) ――口のひき算――
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
§3 ひき算の用いられる場合と意味の拡張(2) ――逆思考や連続量の場合――
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
1) 意味の拡張
2) 逆思考の揚合の理解
3) 小数や分数の減法の意味
4 指導の留意点
1) 種々の場面を用意すること
2) 逆思考と□
§4 加減の相互関係
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
4 指導の留意点
1) 1年で相互関係を取り上げる
2) 具体的問題を読み替えて,相互関係を考える
3) テープ図や数直線を使って,相互関係を考える
4) 相互関係の利用の揚
§5 3□以上のたし算・ひき算
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
第5章 加法・減法の性質の指導
§1 加法・減法の性質
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
1) たし算の性質
2) ひき算の性質
§2 加法・減法の性質の指導
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
1) 加法の性質
2) 減法の性質
4 指導の留意点
1) 性質の扱いとその時期
2) 数の拡張との関係からみた扱い方
3) この性質の成り立つことをどのようにおさえていくか
§3 加法・減法の性質の活用
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
1) 計算の仕方を考えるとき
2) 計算の確かめに使う
3) 計算の工夫に使う
第6章 加減計算方法の理解と習熟
§1 加減法の基礎となる経験
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
§2 1位数のたし算とその逆のひき算の計算
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
1) 和が10以下のたし算と1位数同士のひき算
2) 和が10以上のたし算とその逆のひき算
4 指導の留意点
1) 和が10以上になるたし算と教具
2) ひき算の考え方と指導の方向
3) 減加法か,減減法か
4) ひき算と教具
5) 1位数の加法とその逆の減法の結果が,反射的にいえるようにすること
5 発展的考察
1) ピアジェの発達段階
2) 具体的な操作の意義
§3 整数・小数の筆算・暗算・そろばんの必要とその意味
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
1) 筆算,暗算,そろばんの程度
2) 筆算について
4 指導の留意点
1) 筆算の習熟
2) 小数の加減の筆算の仕方の類推
§4 分数の加減計算の仕方
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
第7章 加減に関する調査
§1 場面の分析
1 問題の所在
2 詳しい考察
§2 数の順序と大小
1 問題の所在
2 解説
3 詳しい考察
第8章 加減計算に関する興味ある問題
§1 ひき算・たし算双六
1 指導の時期
2 目標
3 準備
4 ゲームの概要
5 展開
6 発展
§2 2桁のひき算
1 指導の時期
2 目標
3 準備
4 展開の概要
5 展開
6 発展
§3 3桁のひき算
1 指導の時期
2 目標
3 準備
4 展開の概要
5 展開
§4 同分母分数加減の3目並べ
1 指導の時期
2 目標
3 準備
4 ゲームの概要
5 展開

はじめに

 算数教育に限らず,きちんと筋道立てて数学教育の研究をしようという者から,「どの本をまず読んだらよいか」ということをきかれたとき,すすめられるものが全くありません。また,算数教育を研究している人や,ベテランの教師から,これまでの自分の研究を振り返り,自分の算数教育,数学教育に対する考えを整理し,より確実なものにしていきたいが,どの書物を頼りにしたらよいだろうときかれても,紹介できる適当なものがありません。

 指導事例集とか,算数教育のあるテーマについて深い研究を著した書物,啓蒙的な書物はいろいろでています。しかし,これらはいずれも算数教育の一部を取り上げたものであって,算数教育全体の中での位置づけが明確なものではありません。算数教育の講座もありますが,これとても,内容を詳しく体系的に説いてはいません。これが算数教育界で現在最も欠けている点であります。

 算数教育で,確実な足場の上に立って学問的な研究をしていきたいというときには,この分野全体について,体系的にしかも詳しく示した書物が必要なのです。

 さらに,系統的に各内容を深く掘り下げた研究をしていきたいというときには,確実な体系の上に立った,各内容やその扱い方の深め方を示した書物が頼りになるはずなのです。

 そこで,算数教育の目標,内容,指導と評価の留意点,数学的な考え方・態度をのばす興味ある問題について体系的に詳細に考察した,この

 『算数教育の新しい体系と課題 全10巻』

を著すことにしたのです。

 算数教育の全内容を覆う,体系的なものにし,これからの人にとっても,ベテランの人にとっても,研究者にとっても,必ずこれを通らなくてはならないというものを著そうと努めました。

 しかしこれまでに,このような書物は全く著されていないために,参考にするものがありませんでした。だからこの講座は,もっぱら,何十年かにわたって著者の頭の中に蓄えてきたものを,文字に著すということで書き上げたものです。

 したがって,著者の考え,主張が強く現れているところもあります。

 この講座の各巻を書き上げるに当たって,長谷川雅枝さんに大変協力していただきました。長谷川さんは,はじめは算数教育を勉強し直したいという動機から,この原稿を見始めたのですが,結局,この各巻をすべて読み,長年の算数指導の経験をふまえて,実際的なものにするための改善の意見を詳しく寄せて下さいました。これによって,一層指導の実際に応えるものになったと思います。ご自分のための時間のほとんどをこれに使われたのではないかと思います。改めてお礼を申し上げます。

 また,萩原英子さんにも検討をしていただき,貴重な意見を多数いただきました。本当にありがたいことと考えています。

 最後になりましたが,この講座を出版するに当たって,明治図書の間瀬季夫氏・石塚嘉典氏をはじめ,編集部の方には,算数教育のためということで無理なお願いを受け入れてもらい,この企画から編集まで非常な苦労をかけてしまいました。ご苦労に対して,心から感謝いたします。


  1995年3月   /片桐 重男

著者紹介

片桐 重男(かたぎり しげお)著書を検索»

1925年,東京都に生まれる。東京教育大学(現筑波大学)大学院教育学研究科修士課程修了。都立教育研究所指導主事,文部省初中局小学校課教科調査官,横浜国立大学教育学部教授を経て,現在,文教大学教育学部教授。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書

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