文芸研の授業12
文芸教材編「故郷」の授業

文芸研の授業12文芸教材編「故郷」の授業

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ものの見方・考え方を育てる「故郷」の授業を提案。

文芸研の授業シリーズの中学校編。代表的な教科書教材を典型的な文芸研方式で実践し、西郷文芸学の象徴論によって優れた文芸作品の世界をみごとにとらえさせた。授業者の解釈を越えた発言を引き出し、〈歩く人が多くなれば、それが道になる〉をゆたかに意味づけている。


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ISBN:
4-18-533213-0
ジャンル:
国語
刊行:
対象:
中学校
仕様:
A5判 128頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

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まえがき
一 「故郷」の授業でどんな力を育てるか(中学三年)
1 文芸作品でどんな力を育てるのか
国語教育の目的/ 学級の状況/ 初めての文芸理論に基づく授業/ 作家と時代/ 作品の特質/ 作品の構造(筋・構成・場面)
2 虚構の美
3 授業で身につけさせたい内容(認識の方法・内容)
4 授業の構想(全八時間)
二 「故郷」の授業の実際
【第一時】《だんどり》
【第ニ時】一場面の《たしかめよみ》―情景描写とその意味
【第三時】ニ場面の《たしかめよみ》―呼称や文末表現から見えてくるもの
【第四時】三場面の《たしかめよみ》―前場面との対比・呼称の変化から人物の関係をおさえる
【第五時】四場面の《たしかめよみ》―〈ルントー〉の人物像を対比する/ 〈壁〉と〈溝〉
【第六時】五場面の《たしかめよみ》―〈ルントー〉の「盗み」をどう意味づけるか
【第七時】六場面の《たしかめよみ》―〈わたし〉の理想とする社会は
【第八時】《まとめよみ》―「象徴」をとらえる
《まとめ》―〈おわりの感想〉を書き、〈はじめの感想〉と比べる
三 「故郷」の授業をめぐって(座談会)
1 象徴とは
2 象徴の教育的意味
3 〈ルントー〉の「盗み」の解釈
4 魯迅の思想性
5 作者と語り手を同一視することの背景

まえがき

 最近の教育現場は、多くの教師たちが実感しているとおり、昏迷する文教政策によって、戦後、最低最悪の状態にあります。このままでは、子どもたちの花咲く可能性も芽生えのうちに枯渇せざるを得ない危機にあります。

 この現状を打開する唯一の道は、子どもたちに「真の学力」を育てる教育を確立する以外にありません。

 私ども文芸教育研究協議会(文芸研)は、創設以来、半世紀にわたる歴史のなかで、子どもたちを〈自己と自己をとりまく世界を変革する主体〉に育てあげるために〈のぞましい人間観・世界観の育成〉をめざして、ひたすら研究と実践を地道につみかさねてきました。

 〈ものの見方・考え方〉(認識方法)の関連・系統指導の原理に立って、文芸の授業、作文の指導、読書の指導においては、西郷文芸学の理論と方法をふまえ、また、説明文の指導においては、説得の論法をふまえて、〈ゆたかな、ふかい認識・表現の力〉を育ててきました。

 本シリーズ『文芸研の授業』は、私ども文芸研の過去半世紀の歴史の到達点を示す企画といえましょう。本シリーズの各巻とも、これまでの文芸研の全国大会に提出されたレポートを中心にまとめたもので、会内外のきびしい批判検討を経たものであります。

 全国大会のレポートは、すべて、各サークルの月例研究会において討議をかさねたものを、年二回の全国規模の二日間にわたる合宿研究会に提出し、厳正、綿密な検討を受けたものを大会分科会に提出します。勿論、分科会においては全国各地より参集された教師のみなさんによって、あらゆる角度から批判と助言を受けます。これらの成果をふまえ次の年度のレポートはさらに一層の研鑚をかさね、かくして一つの教材が多くの仲間たちによってすくなくとも十数年の長期の批判・検討を経たものになります。

 本シリーズの各巻の執筆を担当した者は、以上の成果を充分に踏まえて、まとめております。したがって、本シリーズのすべての巻は、執筆者一個人の業績というよりも集団的な所産というべきものであります。

 たとえ、すぐれたベテラン教師の教材研究・授業実践といえども個人の力量には限界があります。私どもは、仲間・集団の具体的な力の結集の上に一個人の限界をこえる成果を生み出すことをめざしています。

 その意味において、本巻を手にとられた読者諸氏にもぜひきびしい、かつあたたかいご批判とご助言をお寄せいただきたいと願っております。

 本シリーズは、文芸、説明文、作文、読書の領域はもちろん総合学習やその他の領域にもわたる実践がまとめられ刊行の予定です。

 なお、本シリーズのどの巻も、概念・用語はすべて統一されております。一つの基本的な思想・主張・理論に基づいた実践である以上当然のことでありますが、読者にとっては、どの巻から読みすすめられても、概念・用語などの不統一でとまどわれることはあり得ないと信じます。すべての巻が相互にひびき合い、それぞれの成果を相乗的にせりあげるものになるはずです。

 巻末には、執筆者とサークル員、監修の西郷との対談あるいは座談会の形式でいくつかの問題点をひきだし、解説を加えることにしました。参考になれば幸いです。

 本シリーズでも、これまでと同様、企画から刊行にいたるまで、編集担当の庄司進氏の献身的な協力をいただきました。紙面を借りて厚くお礼を申し上げます。


  二〇〇三年七月   文芸教育研究協議会会長 /西郷 竹彦

著者紹介

西郷 竹彦(さいごう たけひこ)著書を検索»

文芸学者・文芸教育研究協議会会長

石野 訓利(いしの くにとし)著書を検索»

高知県香美市立大栃中学校

高知文芸研高知サークル

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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