- まえがき
- 第1章 「言葉による見方・考え方」とは?
- 1 「言葉による見方・考え方」とは@
- 2 「言葉による見方・考え方」とはA
- 3 基本的な10の「考え方」
- 4 「言葉による見方・考え方」と思考ツール
- 5 「話すこと・聞くこと」と「言葉による見方・考え方」
- 6 「書くこと」と「言葉による見方・考え方」
- 7 「読むこと」(文学的文章)と「言葉による見方・考え方」
- 8 「読むこと」(説明的文章)と「言葉による見方・考え方」
- 9 「言葉による見方・考え方」を鍛える授業づくりの原則
- 10 1時間の授業での「言葉による見方・考え方」の共有
- 11 自己調整力を高める「言葉による見方・考え方」の計画的な育成
- 12 「広がり」を意識した「言葉による見方・考え方」の育成
- 第2章 「言葉による見方・考え方」を働かせる学習課題
- 話すこと・聞くこと
- 1 話の構成を工夫しよう 一枚の写真をもとにスピーチをする(1年・光村)
- 2 聞き上手になろう 質問で話を引き出す(1年・光村)
- 3 魅力的な提案をしよう 資料を示してプレゼンテーションをする(2年・光村)
- 4 リンクマップによる話し合い 話し合いで問題を検討しよう(2年・東書)
- 5 説得力のある構成を考えよう スピーチで心を動かす(3年・光村)
- 6 合意形成に向けて話し合おう 課題解決のために会議を開く(3年・光村)
- 書くこと
- 7 情報を整理して説明しよう 発見したことをわかりやすく書く(1年・光村)
- 8 構成や描写を工夫して書こう 体験を基に随筆を書く(1年・光村)
- 9 適切な根拠を選んで書こう 意見文を書く(2年・光村)
- 10 描写を工夫して書こう 心の動きが伝わるように物語を書く(2年・光村)
- 11 「広告」の批評文 観察・分析して論じよう(3年・東書)
- 12 三年間の歩みを振り返ろう 冊子にまとめて、発表会をする(3年・光村)
- 読むこと(説明文)
- 13 ちょっと立ち止まって(1年・光村)
- 14 オオカミを見る目(1年・東書)
- 15 「言葉」をもつ鳥、シジュウカラ(1年・光村)
- 16 「不便」の価値を見つめ直す(1年・光村)
- 17 ニュースの見方を考えよう(1年・東書)
- 18 クマゼミ増加の原因を探る(2年・光村)
- 19 ネコだって推理できる(2年・東書)
- 20 モアイは語る―地球の未来(2年・光村)
- 21 黄金の扇風機/サハラ砂漠の茶会(2年・東書)
- 22 君は「最後の晩餐」を知っているか/「最後の晩餐」の新しさ(2年・光村)
- 23 「正しい」言葉は信じられるか(2年・東書)
- 24 作られた「物語」を超えて(3年・光村)
- 25 絶滅の意味(3年・東書)
- 26 受け取る「利他」(3年・東書)
- 27 複数の意見を読んで、考えよう―正解が一つに決まらない課題と向き合う(3年・光村)
- 28 それでも、言葉を(3年・光村)
- 読むこと(物語・小説・随筆)
- 29 私たちの未来(1年・東書)
- 30 はじまりの風(1年・光村)
- 31 さんちき(1年・東書)
- 32 大人になれなかった弟たちに……(1年・光村)
- 33 星の花が降るころに(1年・光村)
- 34 少年の日の思い出(1年・光村ほか)
- 35 アイスプラネット(2年・光村)
- 36 足跡(2年・東書)
- 37 ヒューマノイド(2年・光村)
- 38 字のない葉書(2年・光村ほか)
- 39 走れメロス(2年・光村ほか)
- 40 世界への入り口(3年・東書)
- 41 握手(3年・光村ほか)
- 42 形(3年・東書)
- 43 故郷(3年・光村ほか)
- 読むこと(詩・短歌・俳句)
- 44 空の詩 三編(1年・光村)
- 45 ぼくが ここに(1年・光村)
- 46 短歌に親しむ/短歌の創作教室/短歌を味わう(2年・光村)
- 47 鍵(2年・光村)
- 48 俳句の可能性(3年・光村)
- 49 わたしを束ねないで(3年・光村)
- 50 初日(3年・光村)
- 読むこと(古典)
- 51 蓬莱の玉の枝―「竹取物語」から(1年・光村)
- 52 扇の的―「平家物語」から(2年・光村)
- 53 夏草―「おくのほそ道」から(3年・光村)
- 読書
- 54 本の中の中学生(1年・光村)
- 55 翻訳作品を読み比べよう(2年・光村)
- 56 読書を楽しむ(3年・光村)
まえがき
1時間の授業に参加した学習者が、授業での学びに手ごたえをもつとともに、次に同様の課題に直面した時にその課題を解決する力を身に付けてほしい、私たちはそのように思い、授業を設計し、展開します。
この願いに対する現状について2つ述べます。
「少年の日の思い出」(1年)の終末、闇の中、これまで集めてきたちょうを一つひとつ、指で粉々に押し潰してしまう「僕」の心情を解釈するという授業の際、「自己嫌悪」「悔恨」等と「僕」の気持ちは様々に想像されます。学習者の多様な意見が交わされ、解釈は深まり、豊かになっていきます。そして、チャイムが鳴り、授業は終了となります。この授業では、「僕」の心情はよく分かったのですが、「どう考えたら『僕』の心情を解釈できるのか」、もう少し一般化すると、「どう考えたら中心人物の心情を解釈できるのか」という課題解決のための方略の獲得については手付かずです。
このように、授業でのめあてを達成することへの手ごたえをもたせることは意識しても、次の課題を解決する力を身に付けさせるところまで授業設計の射程に入っていないというのが多くの授業の現状です。
もう1つの例を挙げます。学習者一人ひとりの個性を大切にするという考えのもと、それぞれが自分の取り組みたいやり方で課題解決に臨み、そのうえで全体で交流していくという、探究的な単元・授業の展開の仕方があります。子ども一人ひとりを大切にするという理念は必須のことですが、教室によっては、はやく進んでいく学習者がいる一方で、途方に暮れている、あるいは活動はしているのだけれども、なかなか進んでいかないといった状況があります。課題を解決するための方略をもち合わせている学習者とそうではない学習者がいるため、こういった状況が生まれてしまいます。
このようにめあては達成できたけれども、達成のための方略の自覚がないために次に同様の課題と直面した時に解決していくのは難しいという状況や、そもそも方略を使うための支援がなされない状況をどうにかして打開したい、そういった痛切な願いを共有する教師たちにより本書は紡がれました。
私たちが、「課題を解決する力」として着目したのが2017年度版学習指導要領で示された「言葉による見方・考え方」です。「見方・考え方」は、次期学習指導要領でも大切にされる「深い学び」の中核となるものですが、課題を解決するための視点・考え方、言い換えれば課題解決のための「思考方略」です。
国語科の場合には「言葉による見方・考え方」とされています。「言葉による見方・考え方」を見つけてそれを授業の中に当てはめていけば学習者に思考方略が身に付くのではないかと思いますが、実際は簡単なことではありません。「言葉による見方・考え方」は学習指導要領の中に具体的に示されてはいないのです。
具体的に示されてはいませんが、ヒントになることは指導事項に散在しています。また、国語教育の先人たちの実践からも見出すことができます。さらに、教材研究していく中、自分が学習者となって解を導いた時に、どこに着目し、どのように思考したのかを振り返ることによっても見出すことができます。
本書は、2025年4月から2026年3月まで雑誌『教育科学国語教育』に連載した「言葉による見方・考え方を働かせる学習課題」の内容に加筆修正を加えたものです。国語教育に関する論文・書籍は非常に多くあるのですが、小学校から中学校までの各領域の教材について「言葉による見方・考え方」が具体的に示された書籍等は多くはありません。そこで、学習者に国語の課題解決力をつけてほしいという強い願いをもち、先に挙げたような文献を参考にし、教材研究をがんばり、多くの教材について、具体的な学習課題を挙げ、その課題を解決するための「言葉による見方・考え方」を小学校版、中学校版、それぞれ1冊ずつの書籍の形で提案することができました。ただ、私たちが提案している「言葉による見方・考え方」は、一生懸命考えたものなのですが、あくまでも本書をお読みになる先生方の参考であり、たたき台です。ご自身の教室に適したものに直していただき、学習者の課題解決力の向上につなげていってほしいと思います。
2026年6月 /小林 康宏
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明治図書

















