国語力をつけるワークの開発8
イメージ力を高める俳句・川柳の指導

国語力をつけるワークの開発8イメージ力を高める俳句・川柳の指導

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表現力を鍛えるステップワーク

本書で主張する「イメージをことばにできる子ども」「イメージを表現できる子ども」をどう育てるか、低学年、中学年、高学年のステップワーク例を豊富に収めた。イメージ力を豊かにする過程で他人に対する思いやりを育み、価値ある言語行動が養われるのだ。


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ISBN:
978-4-18-374514-9
ジャンル:
国語
刊行:
対象:
小学校
仕様:
B5判 148頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

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序章 国語学力向上の具体策「行動学習法」を導入したステップワーク
/瀬川 榮志
はじめに
/増田 公代
第一章 イメージ力で価値ある言語行動を身につける
1 イメージ力と国語学力の向上
・イメージとは
・俳句・川柳でイメージ力を育む
・俳句・川柳で自分のよさを発見する
・俳句・川柳は美意識を育て、言語感覚を磨き、イメージ力を高める
2 イメージ力が定着する基礎的技能・基本的能力・統合発信力の分析と系統化
3 イメージ力を培う基礎・基本系統表
4 イメージ力が定着する学習スキルの開発
5 ステップ学習の系統表
第二章 低学年のステップワーク
1 イメージ力を高める一年生のワーク
★がっちりコース 「ことばって、おもしろい」
▲チャレンジコース 「ことばから、うかんでくることは?」
■統合発信力ワーク
2 イメージ力を高める二年生のワーク
★がっちりコース 「ことばってすてき」
▲チャレンジコース 「ことばからイメージ(そうぞう)しよう」
■統合発信力ワーク
第三章 中学年のステップワーク
1 イメージ力を高める三年生のワーク
★がっちりコース 「ことばのやわらかさってなあに?」
▲チャレンジコース 「ことばのイメージをひろげよう」
■統合発信力ワーク
2 イメージ力を高める四年生のワーク
★がっちりコース 「ことばの美しさってなあに?」
▲チャレンジコース 「情景をイメージしながら読もう」
■統合発信力ワーク
第四章 高学年のステップワーク
1 イメージ力を高める五年生のワーク
★がっちりコース 「文章の表現の柔らかさや美しさに気づこう」
▲チャレンジコース 「文章を人物の心情も考え読み味わおう」
■統合発信力ワーク
2 イメージ力を高める六年生のワーク
★がっちりコース 「文章の表現の柔らかさや美しさに気づこう」
▲チャレンジコース 「文章を人物の心情も考え読み味わおう」
■統合発信力ワーク
第五章 イメージ力が生きて働く統合学習
1 低学年 生活科「身近な生き物・草花、みつけた」
2 六年生 図工から統合へ「平和のメッセージポスター」づくり
ワーク解答例
あとがきにかえて
/増田 公代

序章 国語学力向上の具体策「行動学習法」を導入したステップワーク

   「国語学力をつけるワークの開発」の理論的根拠と各巻の内容構成
    中京女子大学名誉教授 /瀬川 榮志


 国語学力が向上しない最大の理由は、順序・要点・段落・中心・要約・要旨――粗筋・情景・場面・心情・主題――などの基本的能力が確実に身についていないことに起因する。例えば、小学校高学年や中学校の児童・生徒が、説明文を読んだり書いたりする活動を展開する際に「要点力」不足で内容を的確に理解したり表現したりすることができない事実がある。

 要点力は小学校中学年で定着しておかなくてはならない重要な基本的能力である。この能力は、教科書教材を中心に指導しているであろうが不徹底である。また、現在の教科書教材や、その指導法では「生きて働く要点力」等の基本的能力は十分に定着していないことが多い。その理由は、要点力や要約力を論理的な文章構成の中に的確に組み入れて、集中的にその能力を指導できる教材が少ないからである。

 話したり聞いたりする活動においても、順序を押さえる能力がないために、的確な音声活動ができない中学生や高校生・大学生もいる実情である。「順序力」は小学校低学年で完全に定着しておく基本的能力である。この能力は、中学年では論理的順序、高学年では心理的順序として発達する能力で、「話す・聞く」「書く・読む」活動において、表現・理解する内容を論理的に構成する重要な能力である。


 このような国語学力の核となる基本的能力を確実に身につける指導が、従来の国語科教育には欠落していたのである。実に驚くべき事実であり、憂慮すべき実態である。この能力の指導が徹底しない限り国語学力は向上しない。したがって、学習指導要領に示されている学年の発達段階に応じた基本的能力を確実に定着→習得→獲得する具体策を講じることが、国語学力向上の重要課題である。

 この課題の解決の具体策としては、順序・要点・要約・段落・要旨等の基本的能力を「単一技能」として取り上げて、「基礎的技能→基本的能力→統合発信力」の螺旋的系統に拠る国語科教育の体系化に基づいて指導することが効果的である。

 例えば、基礎的技能の指導においては、短い教材文やワークを使って、易から難へのステップを踏んで、確実に「要点力」を定着させる(基礎的技能定着の〈基礎学習〉)。基本的能力の指導においては、教科書教材の典型的なジャンルの文章で、「要点力」を重点にレベルアップしながら確実に習得させる(基本的能力習得の〈基本学習〉)。統合発信力の指導においては、価値ある言語文化を取り上げ、情報活用能力と人間関係力を総合的に駆使しながら、「要点力」を確実に獲得させる(統合発信力獲得の〈統合学習〉)。このような国語科教育の秩序化・体系化を意図的・計画的に改革し推進しなければ、国語学力の向上は期待できないのである。


 生きて働く「単一技能」を身につける学習の方法としては、「行動学習法」を適用することが最適である。「行動学習法」とは、単なるスキルや知識としてではなく、具体的な言語活動を通して「生きて働く言語行動力として定着→習得→獲得する」方法である。「行動学習法」とは「為すことによって学ぶ」ことである。「行動することによって技能・能力を身につける学習法を獲得する」ことでもある。

 国語学習が好きでない……という児童・生徒が多いという実態も、教師の説明・解説中心の授業が多いことが原因である。体育や図画工作・家庭科の授業に興味・関心を示し真剣に取り組むのは、身体的活動としての具体的行動が伴うからである。言語行動においても、ことばによる身体的表現が必要である。例えば、音読の学習で作品の内容に感動・共感し感情移入して、自然に瞳が輝き表情が豊かになり、リズムにのって身体を動かしたりする。この言語行動体験を積み重ねていくことによって、音読から朗読、そして暗唱に発展していくものである。

 身体的表現を重視した「行動学習法」には、文章の要点にサイドラインを引いたり(サイドライン法)、中心を囲んだり(中心法)、要約したことを余白に書き込んだり(脚注法)、登場人物の心情の推移を折れ線グラフにしたり(心情曲線法)、自分の思いや考えを吹き出しに書いたり(吹き出し法)、などの言語活動によって技能・能力が定着し、思考・創造力がフル回転するはずである。このような「行動学習法」は、定着する技能・能力や学習の目的、あるいは単元や教材によって多様に、また、数多く工夫してワークシートを作成することができる。

 基本的能力を獲得させるためには、ワークシートを作成し活用すると効果的である。その場合、理論的根拠が必要である。ただ単に読ませたり書かせたりするワークや市販のいろいろなワークシートを断片的に取り上げたり、つなぎ合わせたりしたワークでは「生きて働く国語力」は定着→習得→獲得できない。そこで、次のような条件を具備したワークシートを工夫することが大切である。


 ◎ワークシートによる学習は言語行動主体・学習者主体の学習法である

 ワークシートによる学習は、一人一人の児童・生徒が価値ある課題を自力で解決する自己実現の言語行動である――という教育理念と、国語科教育の確たる理論と学習の原理・原則が根拠にある。


 ◎生き生きとワークする過程で基礎・基本・統合発信力を定着→習得→獲得する

 充実した学習を行うためには、「活動あって学習事項なし」の状況から脱却しなければならない。よい学習には、「生き生きとワークするプロセスで国語力を定着→習得→獲得する」ということが絶対条件である。そのためには、次のような原理・原則に拠ることが大切である。

  *国語科の基礎・基本・統合発信力を明確にし、その完全獲得を目指したワークシートを作成する。

  *達成感・成就感を満喫し、言語行動主体の自己実現できるステップアップの過程を編成する。

  *「ワーク」と「技能・能力」が密接不離の関係で連動したワークシートを作成する。

  *自己評価や相互評価ができるように適切に工夫したワークシートを作成する。

  *国語力の発達段階や、一人一人の習熟度に応じてワーク量を調節する。


 ◎多種多様でユニークな楽しいワークシートを開発する

 ワンパターンのワークが繰り返し続くと子供は飽きてしまうし、学習の方法も固定してしまう。現在数多く使用されているワークシートが、このような傾向にあるということは否定できない。そこで、「行動学習法」を適用した「新ワークシート」の開発に挑戦することが必要である。


 ◎ワークシートは、発展学習や補充学習にも活用できる

 ワークシートは、発展学習や補充学習に活用すると効果的である。また、習熟度別指導にもその機能を発揮する。国語科指導においては教科書単元や教材を忠実に指導することが前提である。しかし、教科書には量的に制約がある。したがって、言語事項の教材も不足で系統的に配列していないことがある。説明文や文学文も読み方書き方が不徹底のまま調べ学習に発展させているため、典型的なジャンルの読解力や文章表現力が十分身についていない高校生や大学生もいるという、憂慮すべき実情である。

 加えて、文化審議会の答申で強調されている「言語力による情報操作能力」を獲得する的確な単元が設定されていない教科書もある。


 このような教科書の内容構成からも、国語科教育の体系化や指導法の組織化の観点から再検討・再構成の必要がある。また、今後も教科書による指導を中核に据えると共に、基礎・基本・統合発信力の螺旋的系統の体系化に基づく「行動学習法」で国語学力の向上を促進しなければならない。そうしないと国語学力は低下の一途を辿り学力の低下にも歯止めがきかなくなる。

 本企画「国語力をつけるワークの開発」〈「読解の基本的能力を磨く『行動学習法』ステップワーク」〉全一五巻は次のように内容を構成する。

 1 基本的能力指導の重要性――「要点力を磨く説明文の指導」の書名であれば、○要点力指導の重要性(意義・定義) ○要点力の学年の発達系統 ○効果的指導法 で構成する。

 2 基本的技能コースの「要点力を磨く」実践――○低学年の「基礎学習」の指導事例 ○中学年の「基礎学習」の指導事例 ○高学年の「基礎学習」の指導事例 で構成する。

 3 基本的能力コースの「要点力を磨く」実践――○低学年の「基本学習」の指導事例 ○中学年の「基本学習」の指導事例 ○高学年の「基本学習」の指導事例 で構成する。

 4 統合発信力コースの「要点力を磨く」の実践――○低学年の「統合学習」の指導事例 ○中学年の「統合学習」の指導事例 ○高学年の「統合学習」の指導事例 で構成する。

 以上四つのプロットで各巻共通に組み立てる。指導事例はもちろん、易から難へと学習活動をステップアップしたワークシートで構成する。ワークシートによる学習は、学習者の主体的行動・言語行動主体の国語科教育の原理原則に基づく「行動学習法」であることが基本条件である。

 なお、1の○要点力指導の重要性(意義・定義)の執筆に当たっては、『国語学力をつける「基礎・基本・統合発信力」ワーク』(明治図書出版 小学校1年〜6年〈六巻〉、中学校〈一巻〉、計七巻)を参考にする。ここに掲載されている「学習者主体・言語行動主体の国語教育〜スペシャルワークの理念・理論・実践」の「二 生きて働く国語力の螺旋的系統」の「国語科と総合的な学習の波及経路〈基礎・基本・統合発信力の精選と体系化〉」の構造図(九ぺージ)を挿入して原稿を作成する。この構造図には、「単一技能」の機能と役割が示されてある。また、基礎的技能としての「単一技能」が基本的能力に波及し、さらに統合発信力に応用されていくかを理論的に実証し「生きて働く国語力」波及経路が明示されている。


 この七巻は、全国小学校国語教育研究会と全国中学校国語教育研究会の役員、並びに研究同志が企画編集したシリーズである。二十一世紀の国語科教育を拓く理念・理論・方法を明確にしている。この考え方を原点・起点に、これからのわが国の国語科教育を充実発展したいという願いで描いた基本構想である。

 本シリーズに取り上げる基本的能力は、論理的思考力を練磨する説明的文章と情的感動を高める文学的文章に適用される読解能力を精選している。しかも、新世紀の国語科教育の道を開く国語科教育の体系化と指導法の組織化の実践理論に拠る、実用的国語学力を向上させることを目指している価値ある企画である。各巻の「理論と実践を統一」した充実した内容が期待される。

 この企画は、学力向上の具体策は国語学力を高めることが先決であることを重視して、全国的な規模で編著者をお願いした。国語科教育の現状を直視すると、改革しなければならない課題が山積していると言っても過言ではない。これからは、学力低下の原因を分析して、その対策に真剣に取り組む必要がある。国語学力を高めるために、指導法の改善に挑戦し多くの実績を重ねている実践者や、新しい視点から国語科教育の改革を提言し成果を上げている研究団体の指導者が協力連携していくことが極めて重要である。全国的な組織で、国語科教育の充実を意図的・計画的に促進し、「国語教育立国論」の理念を追究し、理論を確立し、効果的な指導法を開拓していく時代の到来である。

著者紹介

瀬川 榮志(せがわ えいし)著書を検索»

現在 中京女子大学名誉教授

   全国小学校国語教育研究会名誉顧問

   日本子ども文化学会名誉会長 全国創造国語教育研究会名誉会長

   21世紀の国語教育を創る会代表

   全国日本語教育学会名誉会長

1928年鹿児島に生まれる。東洋大学国文学科卒業。鹿児島県・埼玉県・東京都の公立学校教諭,東京都教育委員会指導主事,東京都墨田区立立花小学校・中野区立上鷺宮小学校・同鷺宮小学校長を歴任。その間,文部省教育課程教科等特別委員・教育課程調査研究協力者並びに副委員長。学習指導要領指導書作成委員,NHK学校放送教育番組企画委員。現在も全国的規模で授業実践理論の確立と「国語教育立国論」の提唱と展開に全国的に活躍中。

増田 公代(ますだ きみよ)著書を検索»

現在,東京都練馬区教育委員会 練馬区総合教育センター 教育相談員

1969年千葉大学教育学部卒業。東京都新宿区立落合第三小学校,板橋区立緑小学校,中野区立江原小学校にて教諭。

中野区立桃園第三小学校,同向台小学校,墨田区立立花小学校,葛飾区立西亀有小学校にて副校長を歴任,2005年4月より現在に至る。平成2年度,東京都教育研究員として,教育課題「子どもの個性・能力,可能性を生かす指導法」を実践。その後「全国小・中学生,一茶まつり」に小学校担任として,また副校長としても子どもの作品を応募,秀選,入選させている。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書

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