- まえがき
- 第一部 教材の分析観点と分析の方法
- T 実践理論としての教材分析論の自立
- 一 国語科教材分析論の自立
- 1 教材分析論の意義
- 2 「教材分析論」の到達点と課題
- 二 授業の構想に直結する教材分析
- 1 〈分析⇔総合〉過程の重視
- 2 〈教材の核〉を抽出する意義
- 三 〈教材の核〉に迫る分析視点
- U 教材の分析観点としての表現・修辞
- 一 表現方法
- 1 文章の〈表現方法〉に関する考察
- 2 〈表現方法〉分析の観点と実際
- (1)語り(「叙事」)を含む)/ (2)説明/ (3)描写/ (4)会話・内話
- 二 表現技法(修辞法)
- 1 比喩法
- (1)直喩/ (2)隠喩/ (3)活喩(擬人法)/ (4)声喩(擬声語・擬態語)
- 2 対比法
- 3 反復法(類比)
- 4 倒置法
- 5 省略法
- 6 設疑法
- 三 文末表現
- 1 現在形止めと過去形止め
- 2 断定形止め
- 3 推量形止め
- 4 否定形止め
- 四 語彙・語句
- 1 色彩語
- 2 象徴語
- 3 接続語
- 4 指示語
- 5 漢語・和語・外来語
- (1)漢語と和語/ (2)外来語
- 6 慣用句
- 7 方言・俗語
- 8 品詞――副詞・数詞・助詞――
- (1)副詞/ (2)数詞/ (3)助詞
- 五 句読法・表記法
- 1 句読法――句読点・ダッシュ・リーダー
- (1)句読点/ (2)ダッシュ(――)/ (3)リーダー(……)
- 2 表記法――漢字・ひらがな・カタカナ――
- 六 さし絵・写真・図表
- 1 さし絵
- 2 写真
- 3 図表
- V 教材の分析観点としての文章構造
- 一 文章の構成・配置
- 1 構成・筋(プロット)
- (1)構成/ (2)筋(プロット)
- 2 文章題
- 3 冒頭と末尾
- (1)冒頭/ (2)末尾
- 二 主要語句の連鎖
- 三 視点
- 1 視点の意味
- 2 書き手・語り手・作中人物・読み手
- 3 視点の設定―― 一人称(限定)視点、三人称(限定・全知・客観)視点――
- (1)一人称(限定)視点/ (2)三人称限定視点/ (3)三人称全知視点/ (4)三人称客観視点
- 4 視点の転換
- W 教材の分析観点としての発想・着想
- 一 文章制作の動機・意図
- 二 題材・素材の選び方、とらえ方
- 三 構成意識
- 四 表現態度
- 第二部 分析観点を生かした教材分析の実際
- 教材分析の手順
- T 「白いぼうし」の教材分析
- U 「生きている土」の教材分析
- V 「手ぶくろを買いに」の教材分析
- あとがき
まえがき
本書は、国語科教材研究の理論を実践理論として自立したものにしていきたいという問題意識から成立した。
最近、これまでの国語科教材研究論が授業の実際にはあまり役に立たないという不満の声を耳にすることが多い。確かに、従来の教材研究論は、文学作品を研究する方法論であったり、文章・文体を研究する方法論であったりすることが多かった。
もちろん、こうした手続き自体は否定されるべきではない。作品研究論、文章研究論と教材研究論とを明確に切り離さないで、あいまいなままにしている風潮が問題なのである。作品・文章研究論の限界を自覚することなくしては、〈授業の構想〉過程の研究に真に切り結ばれていく教材研究論の構築が困難なのである。
なぜ、こうした風潮が長く野放しになってきたのであろうか。
その原因として思いあたる節がいくつかある。その一つに、従来の教材研究論があまりにも関連諸学・諸理論にとらわれて、国語科教育の実践の事実、その集積に学んでいくという姿勢を欠いていたのではないかという点をあげたい。
関連諸学・諸理論に学ぶ姿勢は極めて大切である。しかし、これに従属してはなるまいと思う。関連諸学・諸理論は、それぞれ独自の体系と使命とを有している。そうした独自の体系的な理論がそのまま国語科教育の実践理論に結びつくことは難しい。
のみならず、国語科教材研究の関連諸学・諸理論への従属的傾向は、教材研究本来の最も重要な手続きを欠落させる場合が多い。作品・文章の徹底した研究という名目のもとで、学習者の問題意識や課題意識、つまり、子供たちが当該教材をどう読むかという考察を排除する傾向が強かったのである。
学習者不在の作品研究・文章研究からでは、やはり、〈授業の構想〉過程の研究に踏み込んでいくことが難しかったのであろう。両者の間の距離にあまりにも隔たりがあるからである。学習者を介在させた教材研究論としていかなければ、この距離はせばまらないのではないだろうか。
以上の問題意識が本書成立の最大の動機である。
さて、本書を貫いている基本的な姿勢は、次の六点に集約される。
@ 従来の広義の教材研究の全過程を再編成して、〈教材分析〉という一連の作業過程を教材研究の方法論として自立させる。
A 先行する「教材分析論」の到達点と課題とを踏まえて、実践理論としての教材分析論の自立を目指す。
B 〈授業の構想〉過程の研究に切り結んでいく教材分析論とする。そのために、教材分析の作業は、教材を構造的に把握していく方向で行われるように配慮していく。すなわち、教材を要素的な観点から分析するだけでなく、分析データの整理・総合化を重視していく。〈分析⇔総合〉というサイクルを重視するのである。
C 〈教材の分析〉の作業にあたっては、分析観点がそのままその教材の重要な切り口となり、そこを手がかりとして授業の中心課題の探求が可能となるように配慮する。
D 一連の〈教材分析〉の作業過程において、当該学年の学習者である子供たちの一般的な実態に照らして、当該教材がその子供たちにどのように読まれるか(興味・関心・疑問)を絶えず念頭において作業を進めていこうとする。
E 当然のことながら、分析観点を示す用語をはじめとして、各種の用語の概念規定を明確に提示する。
本書の構成は、第一部と第二部とに分かれている。
第一部「教材の分析観点と分析の方法」は、国語科教材分析論としての本書の〈理論編〉である。
このうち、T章は、第一部の序論にあたる。本書の立場を明らかにしたつもりである。従来の「教材分析論」の到達点と課題とを明らかにし、ここを土台として本書が目指す教材分析論の骨格を提示してある。
U、V、W章は、第一部の本論にあたる。三つの章は、それぞれ教材分析論の領域として設定されている。細分化された観点項目の相互の関連を図るためである。その順序は、微視的な観点領域から巨視的な観点領域へという形をとっている。これら三つの領域において、細分化された分析観点を可能な限り系統的に示し、これを小・中学校の多くの教科書教材に適用することで分析の方法を具体的に提示した。
第二部「分析観点を生かした教材分析の実際」は、教材分析の〈実際編〉である。
第一部のU、V、W章で示した〈教材の分析観点〉と〈分析の方法〉は、一連の教材分析の過程における第一段階、すなわち、〈教材の分析〉の作業だけである。そこで、第二部では、単一の教材を対象として、一連の教材分析の作業を全て行い、その結果をどのように〈授業の構想〉の作業につなげていくか、という段階までの実演を行ってみた。対象とした教材は分量の関係で三編のみとした。
なお、三編の教材分析の実演の中で、三番目の「手ぶくろを買いに」の場合だけは、教材分析の実演の他に、その成果を〈授業の構想〉に具体的にどう生かしていくかまでも提示してみた。実際に小・中学校の教育現場にいる人間でなくとも〈授業の構想〉の研究は、手続きの上から可能であることを主張したかったからである。
ささやかながら、本書を実践理論としての国語科教材分析論の自立のための一つの捨て石として投じたい。
読者各位の忌憚のないご批判・ご教示を賜りたいと願うものである。
一九八九年五月二十八日 /大内 善 一
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明治図書- 復刊を希望します。2015/12/8みと
















