- まえがき
- T 「定石化」は何を目指すか
- 一 「定石化」は提起する
- 1 法則化運動の原点
- 2 「授業の腕をあげる法則」への道
- 3 授業の腕をあげる法則
- 4 「授業の腕をあげる法則」を越えて
- 二 すぐれた授業を「追試」する
- 1 子どもに力がつく
- 2 授業の腕があがる
- 3 追求過程に参加できる
- 三 子どもの事実に学ぶ
- 1 『分析批評の授業入門』への期待
- 2 『分析批評の授業入門』に失望
- 3 子どもに何が培われているのか
- U 文章の検討を促す授業
- 一 「ゆきのなかの こいぬ」(鈴木敏史)の授業
- 1 子どもの事実で語れ
- 2 「ゆきのなかの こいぬ」の授業
- 3 確かな読みを保障する
- 二 「かさこじぞう」(いわさき きょうこ)の授業
- 1 文芸研の授業
- 2 私の授業
- 3 読者の視点を保障する
- 三 「くまの子ウーフ」(神沢利子)の授業
- 1 「まねる」だけでも
- 2 「指導案」は授業仮説
- 3 向山洋一の発間
- 4 私の授業
- 四「はな」(新美南吉)の授業
- 1 子どもの力
- 2 教材分析
- 3 「はな」の授業
- 五 「虻」(嶋岡晨)の授業
- 1 指導案
- 2 「虻」の授業
- 六 子どもはこれぐらい書く
- 1 文章を検討する力
- 2 本多敦子の分析
- 3 主題は、子どもによって異なる
- 4 中谷基一の分析
- 5 斎藤勉の指摘
- V 「定石化」研究をどのように進めるか
- 一 文章の検討を促す発問による「定石化」
- 1 「発問定石化」の構想
- 2 「発問批判の観点」の批判
- 3 文章の検討を促す「発問」
- 4 法則化運動と「発問の定石化」
- 二 「定石化」研究のポイント
- 1 社会科における「定石化」研究
- 2 発問作りのポイソト
- 3 ポイントと子どもの事実
- 三 「定石化」研究と研究計画
- 1 61年度研究計画
- 2 59年度研究計画
- 四 「定石化」研究と指導案
- 1 蛭田正朝の主張
- 2 指導案の骨格
- 3 私の指導案
- 五 「定石化」研究と授業 その1
- 1 代案で指導する
- 2 森の「追試」報告
- 3 森学級の子どものノート
- 六 「定石化」研究と授業 その2
- 1 私の授業の検討
- 2 子どもの作文
- あとがき
まえがき
本書は前作『国語科発問の定石化』の続編である。
前作での主張は、ただ一つである。
国語科が、子どもにことばの力を培うことを目指しているのなら、子どもに文章を検討させるべきだ。
「分析批評」の手法は、文章を検討する方法を子どもに培う。方法が培われるから、子どもは一人で文章を検討できるようになる。
これは、すごいことである。
なぜなら、学年が進んだからといって、子どもは一人で文章を検討できるようには育っていないからである。
子どもが、文章を検討できるように育っていないのは、文章を検討する方法を子どもに培っていないからである。
子どもが、文章を検討できるように育っていないのは、子どもに文章の検討を促す発問がなかったからである。
文章の検討を促す発問を骨格とした授業をしていないからである。
文章の検討を促す発問は、向山洋一氏によって具体化された。
「分析批評」を小学校の国語教室に導入することによって具体化されたのである。
向山洋一氏は、文章の検討を促す発問を骨格とした授業を具現したといえる。
向山洋一氏の創った発問が、文章の検討を促す発問であったがゆえに「追試」を可能にしたのである。
ここから、「発問の定石化」が誕生した。
「国語科発問の定石化」は、文章の検討を促す発問の出現によって生まれた。生みの親は、向山洋一氏である。
本書は、示した。
・「発問の定石化」が、教育技術法則化運動の発展の過程で何を提起したかを示した。
・「発問の定石化」をどのようにして研究するのかについて、一つの方法を示した。
・文章の検討を促す発問を骨格とした授業が、小学校低学年でもできることを子どもの事実で示した。
本書が、前作同様、教育技術法則化運動に参加している教師の踏み台となることができれば幸いである。
『続国語科発問の定石化』をまとめあげることを筆者に勧めてくれた、明治図書の江部満、樋口雅子両氏に心から感謝申し上げる。
昭和六十一年十一月十五日 /大森 修
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- 明治図書
- 分析批評の授業がしたい。2013/10/31