国語科で育てる新しい学力3
表現のモラルリテラシーの育成

国語科で育てる新しい学力3表現のモラルリテラシーの育成

投票受付中

情報氾濫の時代に重要な「表現モラル」をどう教えるかを説く

第3巻は「表現のモラルリテラシーの育成」。情報化時代と言われる現代は、情報の氾濫時代でもある。玉石混交・善悪雑多な情報の飛び交う中で、「表現のモラル」の教育が極めて重要になってきた。新しく重い課題の授業構想と実践事例とを低・中・高別に示した。


復刊時予価: 2,332円(税込)

送料・代引手数料無料

電子書籍版: 未販売

電子化リクエスト受付中

電子書籍化リクエスト

ボタンを押すと電子化リクエストが送信できます。リクエストは弊社での電子化検討及び著者交渉の際に活用させていただきます。

ISBN:
978-4-18-322810-9
ジャンル:
国語
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 128頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

もくじの詳細表示

シリーズ「国語科で育てる新しい学力」(全五巻)刊行の弁 /野口 芳宏
T 表現のモラルリテラシー問題へのあるべき対応
1 五十二年版以降の国語教育は「表現力」を重視
2 「表現力」重視の皮肉な成果
3 「表現」のモラルリテラシー
4 「理解力」こそが、国語教育の重点領域
U 言語技術「育成」の三つのポイント
1 即時制・即興制の重視
2 モデルを見せる、示範の重視
3 「知識の安定的行為化」の重視
V 「表現のモラルリテラシー育成」の授業構想
一 「表現のモラルリテラシー」教育の必要性・社会的役割
1 「表現のモラルリテラシー」教育とは何か?
2 なぜ今「表現のモラルリテラシーの育成」か?(その必要性・社会的役割)
二 どのような学習が必要か?
1 考えられる「題材」
2 考えられる「指導内容」「学習内容」
3 「表現のモラルリテラシー」の習得までのステップ(習得的要件)
4 教えたい「内容」
5 考えられる「授業構成」
W 授業のポイントと実践事例
一 低学年@「状況に応じた適切なモノの言い方を教える」(題材:話す〈言葉づかい〉)
1 ねらい
2 本授業の解説
3 授業の流れ
二 低学年A「『あいさつ』について考える」(題材:話す〈あいさつ〉)
1 ねらい
2 本授業の解説
3 授業の流れ
三 中学年@「『あいさつ』について考える」(題材:話す〈あいさつ〉)
1 ねらい
2 本授業の解説
3 授業の流れ
四 中学年A「おかしい日常会話と活動主義授業の発言を正す」(題材:話す〈言葉づかい・発言〉)
1 質問すべき内容とお願いすべき内容
2 誤った言葉遣い(「今日プールがありました」)
3 形式主義では育たない(「皆さん、どうですか」「同じです」「いいと思います」パチパチパチ)
4 語尾まできちんと話す意識づけ(「思い」と「考え」の違い)
5 無責任な発言を正す(「帽子がなくなりました」「ガラスが割れました」)
6 正確に聞き取らせる態度の育成(指示・評価・指導の一体化)
五 中学年B「『はきはき発表』ができる子を育てる」(スピーチ指導)(題材:発表・話し合い)
1 「はきはき」とした発表とは
2 指導のアイデア
3 発表指導(自分の意見を発表させる)
4 スピーチ指導(まとまった内容を全員の前で発表する)
六 高学年@「『手紙』の表現モラルリテラシー」(題材:書く〈手紙・はがき〉)
1 手紙やはがきのルール(主に初対面の方や目上の方へ書く場合)
2 手紙の書き方を練習する
七 高学年A「『電子メール』の表現モラルリテラシー」(題材:書く〈メール等〉)
1 電子メールの危険性、何を教えるべきか
2 メールの基本マナー、あなたはどれほど知っていますか
3 読みやすいメールにしてみましょう(練習)
八 高学年B「『論文』の表現モラルリテラシー」(題材:書く〈論文・評論文等〉)
1 論文の表現モラルリテラシーとは
2 論文のルール
3 「分かる文章」を書く
九 中学校「『敬語』『面接』の授業」(題材:話す〈敬語〉〈面接〉)
1 「敬語」「面接」の授業についての解説
2 「敬語」の指導について
3 「面接」の指導について
4 終わりに
X 生活場面における日常育成
一 生徒指導で育てたい表現のモラルリテラシー(〈会話・言葉づかい〉)
1 短く端的な話し方
2 報告や連絡の仕方
二 いつでも、どこでも「ありがとう」を言える子を育てる(題材:話す〈会話・言葉づかい〉)
1 第一段階(ほめて気づかせる)
2 第二段階(決まりにする)
3 第三段階(広げる)
4 第四段階(徹底する)
三 家庭で育てたい表現のモラルリテラシー(題材:話す〈会話・言葉づかい〉)
1 物おじせずに言いたいことが言える力
2 自分の考えを整理する力
3 豊かな語彙力
後文 /徳田 洋広

シリーズ「国語科で育てる新しい学力」(全五巻)刊行の弁

   監修・編者 /野口 芳宏


 格言に「その国の若者を見れば、その国の将来がわかる」というものがある。この文言の意味は深長かつ重厚である。どんな若者であるか、ということは、つまりその若者がどんな教育を受けたか、ということに他ならない。まさに「人は、人によって人になる」からだ。その故にこそ「教育は国家一〇〇年の大計」とまで重視されるのである。

 我らが母国、我らが祖国のこの日本で、最も重要なるその教育が今大きく揺らぎ、荒れ、悩んでいる。會ての日本の子どもたちは、世界でも上位の成績をとり続けてきたというのに、最近の国際的な学力調査では、どの学年でも、どの教科でも学力の低下が明らかになり、大きな社会問題にさえなりつつある。加えて、不登校やひきこもり、いじめや自殺や、少年非行など、子どもをめぐる状況は一向に思わしくない。今、日本の教育事情、子ども事情は明らかに一つの危機に瀕している。天然資源に乏しい我が国の最大の有力資源は人材、人智、人間力であるというのに、である。

 このような状況に対して、文部科学省を中心とする関係諸機関は、何とか事態を好転させようと努力を続けている。それらの解決策の重要な二つとして「言語力の向上」が挙げられた。古今、東西を超えていわゆる基礎学力は「読み、書き、算盤」である。この三大基礎学力の内の実は二つが「言語力」である。「読み、書き」の力はすべての学習の基底になるもので、ここの弱体化はすべての学力の低下の元凶となる。今こそ「言語力の増強」が急務と心得るべき時だ。とりわけ、言語力増強の中核的教科である国語科教育の充電は焦眉の急、喫緊の要事である。折しも、学習指導要領の改訂期である。かかる事態の最中にあって本シリーズ全五巻を世に問う意義は大きく、責任もまた重い。我々は、第一線、第一級の教師仲間の全力を傾けて本書の執筆に当たったことを特記したい。

 全五巻のシリーズタイトルを「国語科で育てる新しい学力」とした。パソコンに代表される電子機器の発展と普及は、様々な言語環境となって我々の日常生活のありように変化を来している。爆発的な情報機器の発達は、これまでには存在しなかった新たな社会問題をさえ生み出しつつある。機器を活用し、善用し、我々の福祉の増進を図り、具視していくためには、「人間」の原点を常に見つめつつ、最大限度の「文化」である「言語」の健全活用力の育成を常に心がけなければならい。明治図書出版社の老練編集長江部満氏の思いもまた本シリーズに熱く注がれている。

 第一巻は『論理的な思考力の育成』である。論理的な思考の育成は、言語行動主体がとりわけ二一世紀の国際社会で求め続け、高め続けていかねばならない課題である。子どもの頃から、筋道立てて考える力を育成するための技法の解明が、この巻の主眼である。論理的な表現力の育成を期する第二巻の基礎を明らかにする巻でもある。

 第二巻は、『論理的な表現力の育成』である。自分の考えを筋道立てて、相手に快く受け入れられるように表現する言語技術は、人間関係の複雑化や国際化や高齢化の進むこれからの時代に必須の資質となる。それへの指針を示す。

 第三巻は、『表現のモラルリテラシーの育成』である。情報化時代と言われる現代は、情報の氾濫時代でもある。玉石混淆、善悪雑多な情報の飛び交う中で、「表現のモラル」の教育が極めて重要になってきた。新らしく重い課題だ。

 第四巻は『コミュニケーション能力の育成』である。人と人とのかかわり合いが貧困になり、人心の空虚化が問題になっている。物質文明が極度に発達した現代の人と人との通じ合い、伝え合いの力をどう育成するかを明示する。

 第五巻は『読書活用能力の育成』である。持てる知識の活用、応用の力に欠けると裁かれた我が国の子どもたちに、不足領域の新しい学力をどのように心して培ったらよいか。この新たな難問に正対した中学校教師の実践に注目あれ。

 本シリーズが、賢明、有望な読者諸質の手に渡り、混迷に喘ぐ我が国日本の教育の打開への一指針となり暗夜を照らす一灯となることを私は確信している。本書に対するご批判、叱正を戴ければ幸いである。

著者紹介

「鍛える国語教室」研究会/鹿児島ゼミ著書を検索»

既存の「教育サークル・モア」を母体として,3年前に「鹿児島ゼミ」を立ち上げる。野口芳宏先生をお呼びしてのイベントを8年前から開催していたものの,「野口先生からさらに深く学びたい」「さらに野口先生との付き合いを強いものにしたい」そういう願いから立ち上げた。

野口 芳宏(のぐち よしひろ)著書を検索»

1936年2月 千葉県君津市に生まれる。

公立小学校教諭,教頭,校長を歴任。

2001年3月 北海道教育大学教授(函館校)退官。

現在,植草学園大学教授。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
    • この商品は皆様からのご感想・ご意見を募集中です

      明治図書

ページトップへ