子どもを動かす国語科授業の技術20+α

子どもを動かす国語科授業の技術20+α

好評4刷

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この技術で子どもが動く!ポイント技法20と授業の実際を紹介

授業が「子ども・教師・教材」の三つの要素から成立する原理は、いかに時代が変わろうとも動くことはない、と編者の野口氏は言明する。特に基本的なスタンスは、「教師によって子どもを変える」という一点を貫き、教師が「授業の腕を磨く」ことをすすめる。


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ISBN:
978-4-18-320923-8
ジャンル:
国語
刊行:
4刷
対象:
小学校
仕様:
A5判 212頁
状態:
在庫僅少
出荷:
2020年10月2日
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もくじ

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まえがき
T おもしろい授業が子どもを動かす
一 「おもしろさ」が人を動かす
二 授業にもっと「おもしろさ」を
三 授業の「おもしろさ」とは何か
1 よりよくなる、というおもしろさ──向上的変容の保障
2 のびのびと学ぶ、というおもしろさ──精神的解放の保障
3 やる気が出てくる、というおもしろさ──意欲的参加の保障
4 動く、というおもしろさ──行動的解決の保障
U 子どもたちはこんなに動く=原実践「うとてとこ」
1 「うとてとこ」の実践は、「言語感覚を育てる朗読指導のあり方」という研究主題の下に行われた
2 言語感覚を育てる場の一つとして「音読指導」をとりあげる
3 音読指導によって言語感覚を育てるのにふさわしい教材
4 「うとてとこ」の構成の特色を分析する
5 このように解釈し、このように味わう
6 授業をこのように構想し、プランする
7 授業はこのように進行した
8 授業を終えて
V この技術で子どもが動く=ポイント技法20
一 「おもしろそうだ!」と思わせる教材提示の工夫・五か条
プロローグ 魅力に乏しい授業始めの一〇分間
1 「あれ!」と思わせる
2 びっくりさせる
3 「よし!」と思わせる
4 すかっと本題に入る
5 「きょうこそ!」と思わせる
二 「おもしろい!」と思わせる追求過程の工夫・一〇か条
6 対立させる
7 じらす
8 ゆさぶる
9 困らせる
10 教える
11 励ます
12 ほめる
13 まとめる
14 作業させる
15 笑わせる
三 「おもしろかった!」と思わせるまとめの工夫・五か条
16 成果をはっきりさせる
17 成果を自覚させる
18 ともに喜ぶ
19 ねぎらう
20 次への期待をつくる
W 子どもが動く授業の実際
一 役割を決めた音読で、正しい内容理解に迫る
【一年「おおきなかぶ」】
二 場面を限定し、人物の心情を読みとる
【一年「お手がみ」】
三 書かれている内容を正確に分類する
【二年「たんぽぽのちえ」】
四 「書き出し」にこだわり、読みに必要感を持たせる
【三年「めだか」】
五 登場人物の心情を深くとらえさせる
【三年「ちいちゃんのかげおくり」】
六 意見の対立から読みを深める
【四年「ごんぎつね」】
七 対比に気づかせ、読みを深めさせる
【四年「春のうた」】
八 言葉にこだわらせ、思いこみを正す
【五年「大造じいさんとがん」】
九 文脈の規定性に気づかせ、読みを深める
【五年「つゆ」】
一〇 読み誤りを正して俳句の魅力にせまる
【六年「俳句」】
一一 文学作品で「なぜか」と問い、読みを深める
【六年「きつねの窓」】
一二 「対立法」に気づかせ、論を明快に読み解く
【六年「人類よ宇宙人になれ」】
一三 言葉にこだわり、読みを深める
【中学一年「少年の日の思い出」】
一四 比喩表現に着目させ、イメージを深める
【中学一年「河童と蛙」】
X 子どもを動かす授業のしつけ
――話し合いのしつけを中心に――
一 学習のしつけが目指すもの
二 学習のしつけの内容
1 楽しい話し合いの雰囲気に培うしつけ・「あいうえお」
2 学習効率を高めるためのしつけ・「かきくけこ」
3 言語人格の形成に培うしつけ・「さしすせそ」
三 学習のしつけの発達的配慮
あとがき

まえがき

 授業が、「子ども・教師・教材」の三つの要素から成立する原理は、いかに時代が変わろうとも動くことはない。いつの時代でも、すぐれた教材を使い、教師のすぐれた技術によって、子どもが存分に活動できるように導いていくことが授業の原理であり、原則である。

 本書は、子どもの活動を重視し、子どもの自発性や自主性を重んずる点においていささかの異論はないが、基本的なスタンスは、「教師の指導によって子どもを変える」という一点にある。よく「授業の主役は子どもだ」などという洒落た言葉を耳にするが、それはとんでもない世迷い言だ。もし、本当にそうなら、教師の指導法や、教え方の勉強はすべて無用となり、もっぱら子どもらが中心となり、子どもが授業の進め方を研究すればいいことになる。そうなってこそ、「授業の主役」としての、子どもの任を果たすことになる。だが、まさか、このような言い方に対して、「そうだ、そうだ」などという教師はあるまい。授業力の責任者であり、その主役は他ならぬ教師なのであり、こと授業に関しての全責任は教師の指導力、授業力にあると言うべきである。本書があえて「子どもを動かす」という他動詞を使い、書名にこだわるのもそのためである。

 教師はすべからく授業の腕を磨き、いつでも、どこでも存分に教師の「子どもを動かす」技術、力量を発揮できるように努めるべきなのだ。授業こそが、教師にとっても、子どもにとっても、学校生活の中核だからである。子どもは授業を受けるために毎日学校に来るのであり、教師の大方は授業を提供するためにこそ出勤するのである。すぐれた授業を提供できる教師は、有能、有益な国家的人材である。授業の仕方が稚拙で、授業の内容が貧しい教師はつまりは指導力不足教員なのである。

 本書、「子どもを動かす国語科授業の技術[20]+α」は、どの教室の教師であっても、このような授業技術を身につけ、それを発揮すれば必ず活発に学習指導を展開するようになるという基本的、根本的な技術を二〇項目に絞り込み、実践に生かすポイントを述べたものである。むろん、基本技術が二〇項目だけに限定されるというわけではない。これらの他にも、重要な技術はもちろん存在する。それらを十分に取り入れて授業を展開することが良策なのである。この思いを我々は『+α』という言葉に込めたのである。

 子どもを動かす授業の「技術」という用語について若干の解説をしておきたい。一体、「技術」の正体は何であろうか。技術とは、まず具体的な行為であり、行動であり、現象である。その行為、行動、現象が望ましいとき、我々はそれを「技術が高い」「高い技術だ」と言う。反対の場合には「技術が低い」「低い技術だ」と言う。だが、単に現象だけの評価であるならば「器用、不器用」という域を出ない。技術はその行為発現の背後に「確かな知識」を持たねばならない。高度な技術を発揮できる外科の名医を単に「器用」だとは言わない。名外科医は、その高度な外科技術を発揮するに足る豊富かつ確実な「専門知識」を必ず身につけている。それらの学術的知識に従って、名医は科学的、合理的に精密な行為化をしているのだ。このようなことから、私は「技術」を次のように定義する。


 技術とは、知識を安定的に行為化することである。


 「知識の安定的行為化」これこそが「技術」の正体であり、内実、実像である。授業の技術も、結局のところ「授業に対する豊かで確実な知識を安定的に行為化していくこと」に他ならない。たまたまある授業がうまく展開したというのであれば、それは「技術」ではなく、偶然の「まぐれ」であり、「もののはずみ」に過ぎない。いつでも、どこでも、技術は「安定的に行為化」されなければ価値がないのである。

 さて、子どもの読みとりの技術、作文の技術、話し方や聞き方の技術も同様である。子どもの「言語技術」も、その行為化を支える「知識」なくしては成立しない。言語技術を支える知識を我々は「学習用語」と名づけ、本書ではそれをゴシック体で明示した。算数や理科の「学習用語」は指導要領に明示されているが、国語科にはそれがない。その未踏の分野に挑んだ本書の提案を、読者諸賢には格別の注意を払って読んでほしいと願っている。

 近時ようやく指導における「技術」という問題が重視されるようになってきたことは喜ぶべき傾向である。授業における技術を学び、身につけ、発現し、実践できるためには、このような書物、文献によって学ぶということがその基礎になることは言うまでもないが、もう一つ大切なのは、やはり授業の実践を見せ合い、具体的な事実を吟味し、検討し合う機会を共有することだ。伝統的な「授業研究会」は授業の腕を磨く格好の場である。本書で学んだことを、実践の授業で具現し得ているか、それらはぜひとも授業研究会の場で確かめ合ってほしい。

 そういう機会に恵まれにくい場合は、同好の士を募ってサークルを作り、お互いに切磋琢磨し合うことが望ましい。私は若い頃からいくつかのサークルを作り、あるいは既成のサークルに属して学んできた。サークルで学び合う者は「私的な時間を使い、身銭を切って自ら学ぶ」のを喜びとする。この条件を実践し、継続する教師は残念なことに決して多くはない。子どもらに向けて「学べ」と「教える」教師はいくらでもいるが、その教える教師が「自ら学ぶ」ことをしない。本当に残念だが、それが一般的な教師の実情であり、実態である。

 木更津技法研は、昭和五九年(一九八四年)に発足し、すでに二三年の歳月を重ねて今日に至っている。そして今年七二歳の私が、誠実で熱心な若い教師と今も学び続けている現実は、私の大きな喜び、大きな誇りである。本書は、そういう仲間によって生み出された一冊である。我々は「必ず実践を潜らせ、そこから結論を導く」という態度を堅持してきた。したがって本書の提案はサークル仲間で極めて入念に吟味し合ってきたつもりだ。我々のそのような思いと試みが、実際の教室でどの程度役立ててもらえるのか楽しみでもあり、不安でもある。読後の諸賢の批判を心からお待ちしたい。我々はそれらを謙虚に受け止め、さらなる進展、向上を期したいと願っているからだ。

 『子どもを動かす授業の技術+α』の初版は、今から一八年前に明治図書出版から刊行された。当時は「教育技術の法則化運動」が向山洋一氏をリーダーとして大変な勢いで広まっていた。本書の旧版は、「教育技術の法則化双書」の中の一冊として出版され、幸いに好評を博して版を重ね、広く読まれることになった。授業技術一般について述べるという趣旨であった旧版は、国語、社会、算数、理科の四教科に渡る実践例を載せている。

 その後長く、旧版は絶版になったままであり、その間多くの方々から絶版を惜しみ、復刊を切望する有難い声を聞きながら、日々の忙しさに追われ、具体化しないまま過ぎた。しかし、木更津技法研の代表格を務めてきた私がたまたま教職五〇周年を迎えるときを迎えたので、サークル仲間からこれを機会に復刊を果たそうという話が持ち上がり、ようやくこの度その仕事が実を結ぶことになった。そして、復刊を機に、実践事例に関しては全面的に書き改めることにした。また、現在の木更津技法研のメンバーのおおかたが国語科教育を中心に学び合っているので、実践例も国語科一本に絞り込み、書名も明確に「子どもを動かす国語科授業の技術+α」と改めることにした。なお、実践事例以外の部分は現在でもそのまま通用する内容であり、改める必要性を感じなかったので、ほぼ当時のままとしてある。

 国語科の実践事例に絞りはしたが、ここに紹介されている「子どもを動かす技術」は、決して国語科だけで通用するというものではない。どの領域、どの教科の授業にも広く通用する普遍的な授業技術であることは間違いない。大いに活用され、教室の子どもらに喜ばれる指導が展開されることを心から祈っている。


  平成二一年三月   編著者 /野口 芳宏 記す

著者紹介

野口 芳宏(のぐち よしひろ)著書を検索»

1936年 千葉県君津市に生まれる

1958年 千葉大学教育学部(国語科専攻)卒業,公立小教諭

1963年 千葉大学教育学部附属小学校教諭

1983年 木更津市公立小教頭・校長

1996年 北海道教育大学教授(国語科教育)

2001年 退官,同大学・麗澤大学各講師を歴任

現 在 植草学園大学発達教育学部教授


〈研究分野〉

国語教育,道徳教育,家庭教育

〈所属学会等〉

日本教育技術学会理事・名誉会長,日本言語技術教育学会理事・副会長,?モラロジー研究所教育者講師,「鍛える国語教室」研究会国語人の会各主宰

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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