心を育む国語科授業を創る 中学校編

心を育む国語科授業を創る 中学校編

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「言葉と心」一体として指導する授業実践

心を育む国語科授業を創るために言語形式と言語内容の一体化をめざした。実践例は、@話すこと・聞くこと、A書くこと、B読むこと、の各領域ごとに3〜5例の実践を「授業を創る」方法で示した。さらには心を育む授業の創出に期待する小・中の先輩の提言を収録した。


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ISBN:
978-4-18-320225-3
ジャンル:
国語
刊行:
対象:
中学校
仕様:
A5判 160頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

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まえがき
T 心を育む国語科授業を創るために言語形式と言語内容の一体化をめざす
一 心を育む言葉の教育に対する書評を読む
1 小森茂氏の書評を読む
2 笠井正信氏の書評を読む
3 保坂伸氏の書評を読む
ニ 言語形式と言語内容の一体化をめざす国語科授業を創る
1 形式主義か内容主義かの論争に学ぶ
2 言語形式と言語内容の一体化をめざす授業を創る
U 心を育む国語科授業を創る実践事例
一 心を育む「話すこと・聞くこと」の授業を創る
1 心を育む「友達のよさを伝えよう」(スピーチ・一年)の学習事例
2 心を育む「思いを伝える」(対話・二年)の学習事例
3 心を育む「恋愛か友情か」(討論・三年)の学習事例
二 心を育む「書くこと」の授業を創る
1 心を育む「コミュニケーション力」(手紙文・一年)の学習事例
2 心を育む「独創性と説得力」(意見文・二年)の学習事例
3 心を育む「私の名前」(報告文・三年)の学習事例
4 心を育む「相手意識と目的意識を」(提案文・三年)の学習事例
三 心を育む「読むこと」の授業を創る
1 心を育む「字のない葉書」(随筆・一年)の学習事例
2 心を育む「走れメロス」(小説・二年)の学習事例
3 心を育む「敦盛の最期」(古典・二年)の学習事例
4 心を育む「ホタルの里づくり」(説明文・二年)の学習事例
5 心を育む「故郷」(小説・三年)の学習事例
V 「心を育む国語科授業」の創出に期待する
一 学校管理職(校長・副校長・教頭)からの提言
1 豊かな心と温かい心を
2 表現することの楽しさが味わえる授業の創造を
3 問う心を耕す授業を
4 内なる思考の世界を
5 国語科授業改善の視点から
二 国語教師志望者(大学院生)からの提言
1 心ある言葉の使い手を
2 幸せに生きるための言葉と心の教育を
三 高校国語教師からの提言
1 命をめぐる声のプロジェクト
2 書くことを通して誠実さを
四 大学国語教師からの提言
1 心的体験を通じて私の言葉を
2 対話の学びを通して心のこもった言葉を
あとがき

まえがき

 国語科の教師は、学習者一人ひとりに、確かで、豊かな「言葉の力」を身につけるために日々実践を積み重ねている。そのために、一時間ごとに様々な工夫を凝らし、魅力的な授業を創り出そうと苦心している。「言葉の力」をつけることで、学習者の人間形成に寄与しているのである。

 ところで、近年、私は「国語科の授業は心を育む言葉の授業をしなければならないのではないか」という問題意識を抱くようになった。「言葉と心」を常に一体として指導することが大切ではないかと考えるようになった。言葉だけを取り出した国語科授業は、いわゆる形式的な知識偏重の教育に陥りやすい。知識や技術の習得も必要であり大切だが、偏ってはいけない。言葉で表現されたあるいは、表現しようとする内容も忘れてはいけない。言語形式と言語内容とが一体化されてこそ談話や文章も聞き手や読み手に明確に伝わるものである。

 右の私の考えを『心を育む言葉の教育―いま、国語教育に足りないこと―』(二〇〇六年七月・明治図書)という一冊にまとめて刊行した。拙著に対して、様々な反響が私の手元に届いた。その多くは、「国語教育で忘れかけられている問題だ」「言語形式だけの国語科授業では無味乾燥だ」「具体的な実践例や指導方法をもっと知りたい」などという意見や要望であった。現場の国語科教師が日々直面している切実な思いや願いが、私の問題意識と共鳴することを実感した。そんな折に、明治図書の江部満編集長から「花田先生のお考えを基底にして、小学校と中学校の実践編を二冊編んでください」というご依頼があった。江部氏にはこの三十年来、教育・国語教育の指導・助言を頂戴してきた。「お引き受けします」と返答をし、本書を刊行するに到ったのである。

 幸いにも「東京輪読会」の研究仲間である日辰人と細谷俊太郎の両氏が、編集協力者としてモデル原稿の執筆も担当してくれた。

 ところで、前書で、私は次のことを強調した。


  「心・言葉・体・命」を育む国語科授業(対話と共創)を創出しよう。そのためには、五つの「こ」(子ども・事柄・学ぶ心・言葉の運用能力・行動)を調和させた国語科授業を創出したい。


 そして、私自身の実践例を十四項目にわたって報告した。拙著を刊行後、三人の方から心のこもった書評をいただいた。本書の第T章で紹介することにした。

 本書の実践編は、小学校と中学校の現場で「心を育む国語科授業」に挑戦中の全国の先生方に執筆をお願いした。その際、特に「単元のねらい」(学習者に身につけるべき国語学力)を明確に提示し、次の二項目を設定してもらうことにした。


 1 内容価値的目標……言語内容(ものの見方や感じ方や考え方などの言語による認識法)を中心とした目標を設定する。

 2 言語能力的目標……言語形式(要点や構成や描写や説明などの言語技能や言語表現法)を中心とした目標を設定する。


 また、本書の提言編は、現場の校長や副校長・教頭・大学院生・高校教師・大学教師の方々に、それぞれのお立場から「心を育む国語科授業の創出に期待する」という視点で書いていただいた。

 本書が、全国の国語科教師とこれからの実践を共有し、共創できることを切に願っている。


  二〇〇七年五月十三日 母の日に   編著者 /花田 修一

著者紹介

花田 修一(はなだ しゅういち)著書を検索»

日本教育大学院大学学校教育研究科教授

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書

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