- まえがき
- 第1章 小学1年の国語授業づくり 7つのポイント
- 小1国語が,すべての学習の土台になる!
- ポイント@ まずは子どもの実態を把握する
- ポイントA 目指す資質・能力が,子どもにもたらす幸せを考える
- ポイントB 「やりたい!」と思えるアイテムを探す
- ポイントC 「できた!」「もっとやりたい!」と思わせる
- ポイントD 一番伝わりにくい子に伝わるように伝える
- ポイントE 見るもの聞くもの全てが教材と心得る
- ポイントF 保護者に協力してもらう
- 第2章 「やりたい!」「できた!」を引き出す小学1年の国語授業アイテム
- 4月
- 1 目を見てきくぞう! 目を見てはなすぞう!
- 2 集中させる技
- 3 矢印カード
- 4 字を美しく書きたくなるお話
- 5 かくときは ただしく はやく うつくしく
- 6 したじきひっこし
- 7 ことばコーナー・ひらがなカード
- 8 ぐるぐるまるでおはながさいたよ
- 5月
- 9 チロのことばコーナー
- 10 音読カード・暗唱大会・暗唱シール
- 11 濁音・半濁音・促音・長音・拗音カード
- 6月
- 12 ラミネートノートシート
- 13 うまくいかないときの場面絵
- 14 「きくとき」「はなすとき」の作戦カード
- 7月
- 15 役名カード
- 16 あんしゃカード
- 17 (ハート)マーク作文
- 9月
- 18 きいてきいてタイム
- 10月
- 19 すごろく型学習計画図
- 20 漫画型ワークシート
- 21 「はっけんメモ」と作文のサンプル
- 11月
- 22 のりものミッケ
- 23 オリジナル説明文「いろいろなのりもの」
- 12月
- 24 「こどものともひろばのなかまたち」からの手紙
- 25 ブックリスト・「こどものともひろば」コーナー
- 26 ふりかえりカード
- 27 ロール式地図・黒板上部掲示システム
- 28 声の大きさを文字の大きさで表す板書
- 1・2月
- 29 ねこやまさんの花屋のカード
- 30 「怪盗どんぐり」の挑戦状・ことばカード
- 31 音読ブック
- 3月
- 32 思い出の作文の視写
- 第3章 授業アイテムを活用した小学1年の単元アイデア
- 1 話すこと・聞くこと じゃむのれしぴをきいてつたえよう
- [教材]「きいてつたえよう」(東京書籍)
- 2 書くこと はっけんしたことをくわしくかこう
- [教材]「わたしのはっけん」(東京書籍)
- 3 読むこと(物語文) おはなしをたのしんでよもう
- [教材]「サラダでげんき」(東京書籍)
- 4 読むこと(説明文) のりものミッケをつくろう
- [教材]「いろいろなふね」(東京書籍)
- 5 読むこと(物語文) いろいろなおはなしをよもう
- [教材]「おとうとねずみチロ」(東京書籍)
- 6 伝統的な言語文化 ことばをあつめよう
- [教材]「まとめてよぶことば」(東京書籍)
- あとがき
まえがき
日本一人口の少ない鳥取県の,西部にある米子市の,様々な店舗が並ぶ「けやき通り」と,新しい家が次々と建つ住宅地を擁する,鳥取県では比較的賑やかな地域に,米子市立福米西小学校があります。
私はこの学校に勤務して7年になります。この数年間,児童数が増え続け,今年度は600名を超えました。教室が足りなくて,増築工事の真っ最中です。
この7年間,連続して1年生を担任しています。7年間ずっと,1年1組にいるので,1年1組の教室はいつしか「温子の部屋」と呼ばれるようになりました。
他の学校での1年担任経験も入れると,15回目です。同じ学年を続けて担任させてもらうと,1年間の学習の流れがわかっているので,見通しがもて,教材研究に少しゆとりができます。その分,毎年いくつか新しい工夫をしようと思い,何かしら楽しい学習を考えました。1年間に2つ3つの工夫でも,7年も続ければ,それなりの量になります。この本では,その中から,国語で使ってきたアイテムをご紹介しています。
私は「米子こども劇場」という,子どもと大人がともに活動する鑑賞団体の運営委員長をしています。プロのマリンバ奏者グループによる演奏を聴く例会をしたときのことです。子ども相手だからとおもねることのない,質の高いクラシック音楽の演奏に,小さな子どもたちまでも心を奪われた様子でした。その中でマリンバ演奏体験コーナーがあり,6人の小学生が緊張した面持ちで進み出ました。短時間のうちにマレットの握り方から基本的な鳴らし方まで教わり,最後には伴奏もつけてもらって1曲見事に演奏することができました。演奏者たちは,「音を外しても大丈夫。」と声を掛けて安心させながらも,6人それぞれに対し,鳴らすところをさりげなく示すなど様々な手立てを駆使し,経験のない子どもたちでも楽しく演奏できるように細やかな支援を行っていたのです。拍手を浴びて家族のところへ帰って行く子どもたちは,さっきまでの硬い表情が嘘のように,自信に満ちた輝く笑顔になり,「音楽って楽しい。勇気を出して挑戦してよかった。またやってみたいな。」という言葉が頭の上に見えるようでした。まさにそれこそが,演奏者たちが子どもたちに伝えたかった熱いメッセージだったのです。
「私が国語でやりたいことも,これと同じだ!」と思いました。国語で教えたい内容はどれもすばらしい,価値あるものです。子どもたちの幸せを支える力となるものです。それをどの子も楽しく体験し,身につけ,「ああ,国語っていいな。もっと学びたいな。」と思える,そんな授業がやりたいのです。そして,そのための工夫は惜しまない,そんな国語の授業をめざして,伝えたい価値と1年生たちを橋渡しする手立てとして考えたのが,この本のアイテムです。1年生たちの笑顔のために使っていただければ幸いです。
2020年1月 /吉田 温子
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- 明治図書