本当は大切だけど、誰も教えてくれない 授業デザイン 41のこと

本当は大切だけど、誰も教えてくれない 授業デザイン 41のこと

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好評4刷

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授業についてハウツーより深いことを知りたい人が読む本

「授業のゴールには、構造がある」「問題解決の力を高めるポイントは、方法のメタ認知を促すこと」「『わかっていると思い込んでいる世界』は、かなり広い」等、大学でも研修でも教わらないけれど、真のプロ教師に必須の授業づくりに関する41の知見を紹介。


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PDF
ISBN:
978-4-18-312229-2
ジャンル:
授業全般
刊行:
4刷
対象:
小・中・高
仕様:
四六判 272頁
状態:
在庫あり
出荷:
2024年10月7日

もくじ

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はじめに
第1章 本当は大切だけど、誰も教えてくれない[授業方法]7のこと
1 よい授業方法は、自明のものではない
2 ゴール次第で、望ましい授業方法は変わってくる
3 授業のゴールには、構造がある
4 隔たりが大きいほど、新しい手立てが見えてくる
5 授業の上手い下手は、3つの要素で決まる
6 第四の要素「システム・形態」によって、授業に差がつく
7 「臨機応変に授業を変化させる力」で、授業のレベルが一段上がる
第2章 本当は大切だけど、誰も教えてくれない[できる・楽しい授業づくり]7のこと
8 「できる」授業が、すべての学びの出発点になる
9 「できる」に至るには、4つの段階がある
10 「楽しい授業」には、子どもの認識の飛躍がある
11 「できる・楽しい」授業の段階で、「学び方」を身につけさせる必要がある
12 「深く学ぶ」と「学び方を学ぶ」が、「主体的な学習」を促す
13 授業の各段階には、相互的な因果関係がある
14 教師にとってのカギは、学びの過程で行うべき「指導方略」
第3章 本当は大切だけど、誰も教えてくれない[認識の飛躍を促す深い学び]8のこと
15 よい授業は、認識の飛躍を促している
16 教師が自身の「論理・考え方・見方」を、自覚する必要がある
17 子どもが間違えそうな状況が、認識の飛躍を促す
18 図や式をはじめに見せるのは、授業力の低い教師
19 習得、活用、探究の過程を通して、認識の飛躍が起こる
20 初学者には、価値ある問いの発想は難しい
21 知らないものは、見えてこない
22「獲得主義」と「参加主義」は、両立できる
第4章 本当は大切だけど、誰も教えてくれない[主体的な学習]7のこと
23 学習の「主体性」には、3つの意味がある
24 予想や仮説を検証するサイクルが、主体性の高まりを促す
25 発問の優先順位は3番目
26 内容知と区別し、方法知としての「学び方」を学ばせる
27 単元の学習中に、内容知と方法知をメタ認知させる
28 問題解決の力を高めるポイントは、方法のメタ認知を促すこと
29 主体性を高めるもう1つのカギは、「環境づくり」
第5章 本当は大切だけど、誰も教えてくれない[協同学習]6のこと
30 「協同学習=グループ学習」ではない
31 意欲を高めるカギは、成功体験と教師の語り
32 協同学習を成立させるには、3つの条件がある
33 自由な活動ほど、即時のフィードバックが必要
34 「システム・形態」は、課題の内容や解決のさせ方に応じて選ぶ
35 討論に導くカギは、意見の食い違いを意図的に生み出すこと
第6章 本当は大切だけど、誰も教えてくれない[授業展開]6のこと
36 ゴールと実態の隔たりから、望ましい授業展開が見えてくる
37 望ましい授業展開は、「学習者の認知の仕方」でも決まる
38 「わかった」の先の授業展開が、教師の腕の見せ所
39 「わかっていると思い込んでいる世界」は、かなり広い
40 「大きな知識」と「個別の知識」を区別する必要がある
41 話し合いが、かえって問題を見え難くすることがある
その他の引用・参考文献一覧
おわりに

はじめに

 「授業方法がよかったかどうか」

 それは、いったい何によって決まるのでしょうか。

 答えは簡単です。

 授業のねらいである「ゴール」を達成したかどうかで決まります。

 つまり、ゴールを達成できたらよい授業方法、達成できなければ悪い方法になるのです。

 では、授業のねらいであるゴールには、どんなものがあるのでしょうか。

 日本だけでなく、世界各国やOECDなどの国際機関で共通しているゴールがあります。


 @生きて働く「知識」を習得させる。

 A生きて働く「技能」を習得させる。

 B「思考力・判断力」を高める。

 C「よりよく生きる力・価値観」を涵養する。


 授業は、主にこの4つの資質・能力を育てることをゴールとする営みです。

 ひと言で言えば、「自立した人」を育てるためにこそ、授業はあるのです。

 授業のゴールは、社会や時代によって変わることがあります。かつての学校では、「読み・書き・計算」に代表される「基礎的な知識・技能の習得」がゴールとなっていました。

 それは、社会的要請として、「工場で能率よく働ける労働者を育てる」ことが学校に求められたからです。戦時中は、このゴールが「従順な兵士を育てる」ことにもなりました。

 しかし、今のゴールはそれではいけません。

 予測不可能な時代を生き抜ける資質・能力を育てたいのです。複雑で、答えのない問いにも対応できる資質・能力です。

 つまり、社会や世界に目を向け、仲間と力を合わせながら、自分の意思で自由に生きていける「自立した人」を育てたいのです。それこそが、授業のゴールになります。

 自立のためには、深い理解に到達させ、技能を使いこなせるようにしないとけません。また、思考力や科学的な考え方、問題解決の方法や協働して学習する方法、主体性や意欲なども高めていかなければなりません。つまり、授業というものを、「自立」をゴールとした、幅の広い「営み」として見るべきなのです。

 さて、「授業方法」の理論は、時代と共に進化します。

 例えば、かつての授業は、次のような考え方を基にして行われていました。

 「学問の内容は、『事実』と『手続き的な知識・技能』から成り立っていて、その事実と手続きを、上手に伝達することが授業である」

 最近になって、この考え方が、次のように変化しています。

 「学習者はもともと知識や技能をもち、ある程度の理解をしている状態であり、新しい知識・技能を獲得させるには、学習者のもつ知識・技能を利用して教える必要がある」

 「学習者は、仲間との協働によって問題を解決する中で、知識や技能、思考力・判断力、よりよく生きる力・価値観を高めていくものである」

 その結果、例えば次のような「授業方法」が取り入れられるようになりました。


 ・発展的な課題に挑戦させ、解決の手助けを教師が行うことで、学習者の認識を飛躍させ、深い理解に到達させる。

 ・発展的な課題に、チームで解決させるようにし、仲間との相互作用、協働を通して、知識を批判的・多面的に振り返らせ、新しい認識を構築させる。


 このように、時代と共に、授業方法の理論は進化します。それは、認知科学や学習心理学、発達心理学などの学問が進化しているからです。

 これまでの優れた授業に学び、新しい学問的知見を取り入れ、実践を行う中で、よりよい授業方法をつくり出す。これは、教育現場にいる全員に課せられた共通の仕事と言えます。

 本書は、先人の優れた授業に学びながらも、新しい学問的知見を加え、現場で磨き上げてきた「授業方法(=授業における教授方法)」を紹介していくものです。


※本書で示した研究成果の一部は、JSPS科研費 JP 20K03261の助成を受けたものです。


  2021年12月   /大前 暁政

著者紹介

大前 暁政(おおまえ あきまさ)著書を検索»

岡山大学大学院教育学研究科修了後,公立小学校教諭を経て,2013年4月京都文教大学准教授に就任。教員養成課程において,教育方法論や理科などの教職科目を担当。「どの子も可能性をもっており,その可能性を引き出し伸ばすことが教師の仕事」ととらえ,現場と連携し新しい教育を生み出す研究を行っている。文部科学省委託体力アッププロジェクト委員,教育委員会要請の理科教育課程編成委員などを歴任。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書
    • 非常に読みやすかった
      2023/7/3120代・中学校教員
    • 非常に勉強になりました。普段の実践を見つめ直す機会となりました。
      2023/4/14やまな
    • 子どもは、わかるもの以外はないことにする
      というのが衝撃的でした。ないものにしてしまうと、次の理解は難しいので、子どもが既に知っているものと、新しい知識と、うまく融合させて授業づくりをしたいと思いました。
      2023/2/1930代・小学校教員
    • 具体的な取り組み内容が多かった。
      2023/2/230代・小学校管理職
    • 電子書籍で購入しました。打ち出して、マーカ付けたり書き込んだりして、自分なりに授業デザインについて書かれていることを解釈しています。授業のねらいであるゴールについて、授業方法について、最終的には実態に合わせ臨機応変に対応することなどについて再確認しました。
      2023/1/3160代・再任用初任者担当
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