鍛える国語教室シリーズ14
子どもの話す技術を鍛える[増補新版]

鍛える国語教室シリーズ14子どもの話す技術を鍛える[増補新版]

好評8刷

書評掲載中

名著「話し言葉で鍛える」に一層の内容充実を図った改訂新版。

授業の値を左右する最も大きな要因は教師と子どもとの間に交わされる話し言葉のありようである。しかし子どもたちの「話し方聞き方」の実態には問題点が多い。話し言葉の教育が目先のコミュニケーションテクニックの形成のみに終わってはならぬとさまざまな提案をする。


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ISBN:
4-18-307613-7
ジャンル:
国語
刊行:
8刷
対象:
小・中
仕様:
A5判 264頁
状態:
在庫僅少
出荷:
2019年11月15日
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目次

もくじの詳細表示

まえがき
序の章 話し方指導の基礎・基本
――講演記録――
1 話し言葉指導の原則
@国語学力の基底/ A話す・聞くの力をつける指導原理/ B教師の聞き耳が大切/ C向上的変容の保障可能
2 話す力不振の三大要因
@話すことがない/ A心理的不安/ B話し方がわからない
3 表現内容を持たせる
@立場を決める/ A「なぜか」に強くする/ Bノートに短くずばりと書かせる
4 不安心理の解放の支援
@自己変革への意欲を持たせる/ Aやる気をほめる/ B発言の四相
5 話し方の指導
@短く話す/ A問われていることだけに答える/ Bモデルを見せる/ C復唱させる
T 話し言葉の現実
一 話し言葉に見られる問題点
1 伸びを見せた対話能力
2 子どもの対話能力の問題点
@感覚的で論理性に乏しい/ A消費的で生産性に乏しい/ B形式的で内容に乏しい/ C主張に勝り、自省に乏しい
3 本物の対話能力を高める指導
@技術の前に、まず態度の指導を/ A話し合いのすばらしさの体感を/ B話し方の巧拙の意識づけを/ Cどんなときでも沈着さを
二 授業の発言の問題点
1 講師の目と自分の目
2 フィルターを通して見る
3 総合フィルターとしての「向上的変容」
4 子どもの発言のどこを見るか
@正解志向に偏っていないか/ A誤答が大切にされているか/ B短くずばりと答えているか/ C問いに対して答えているか/ D相手の考えをえぐっているか/ E発言の独占者や放棄者はいないか/ F聞く耳が育てられているか
5 子どもの動きのどこを見るか
@全員が授業に参加しているか/ A話し手を見つめているか/ B表情は生きているか/ C知的正義感が身についているか
U 話し言葉指導の再興
一 今こそ話し言葉指導の再興を
1 電話の受け方の変化
2 女の子が、どうして……
3 道を尋ねられたら
4 話し言葉指導の再興を
二 指導の重点をここに
1 チョーク一本、口一つ
2 教師が使う話し言葉の基本
@子どもに向ける言葉を自らの耳で聞け/ A聴衆反応に応じて話し方を変えよ/ B「愛語」ということ
3 子どもが教師に向けて使う話し言葉の基本
@何よりも「自然さ」と「親しみ」を/ A礼を失してはならない/ B「問い」と「反論」を歓迎する
4 子ども同士の話し言葉の基本
@教室のどの子にも聞こえる声で/ A一文、一文を区切って/ B反対を歓迎させる C発言の独占をさせない
V 話し言葉のしつけ
一 まず、気軽に発言させる
1 子どもはもともと話し好き
2 話せる雰囲気づくり
@よい答えばかりを歓迎してはいけない/ A発言をしようとしたことをほめる/ B口数の多い子どもの発言を抑える/ C挙手だけに頼った指名をしない
3 多様な発言形態
@音声発言/ A表情発言/ Bノート発言/ C朗読発言
4 発言の型を教える
二 感想を豊かに持たせる
1 感想を広げる
@感じたことを自由に話させる/ A何人かで、見たり、聞いたりする/ B心に残った場面を指摘させる/ C音読の指導を大切にする
2 さし絵の活用を図る
三 話し合いのしつけ
1 基本的な言葉のしつけ
2 話に集中させる工夫
@余計なものはしまわせる/ A課題を与えて話を聞かせる/ B短い話し合いで区切りをつける/ C多様な反応が出るような問いを出す/ D落差のはっきりする問いを出す/ E学習形態を工夫する
3 個性をつかむ
@一人ひとりは十人十色/ A勝手な振舞をする子の指導/ B話しすぎる子の指導/ C話したがらない子の指導
4 教師話法の反省
@おおらかさ/ A基本と枝葉/ B楽しく話す
W 的確な話し方の指導
一 筋道立てて
1 話し言葉の技術は自然には身につかない
2 ずばりと短く話させる
3 尋ねられていることにだけ答えさせる
4 指を折りながら話させる
5 結論を先に言わせる
6 聞き手の表情を読みながら話させる
7 欠点の指摘だけでなく打開の道を
8 やり直しをさせて納得させる
9 言語人格を形成する
二 上手な「報告」
1 「報告」のいろいろ
2 「報告」の指導のポイント
@自分から報告する――主体性/ A結果の報告をする――完結性/ B直ちに報告する――即時性/ C必要なことを報告する――簡潔性/ D報告に詫びを添える――陳謝
三 集会で話させる
1 高学年の話し方の技能
2 児童集会の事前指導
3 原稿のできばえ
4 発表の実際とその問題点
X 話し言葉のマナーを磨く
一 聞き方の態度と技術
1 結びつきを左右する「聞く・話す」
2 話し手のために聞く
3 聞き方の心構えと態度の指導
@肯定、受容、共感/ A見つめ、頷き、微笑/ Bいたわり、励まし
4 聞き方の技能を鍛える
@心を集中して聞く/ Aひとまず受容――批判には時間の経過を/ B不明な点は問うて確かめる/ C意図を探る/ D人と事柄とを区別する/ E批判的に聞く
二 言葉のエチケット
1 「全校集会」の実情
2 「エチケット教室」の試み
3 「失礼します」
4 「会釈の仕方」
5 「叱られ方のエチケット」
Y 聞き手への配慮
一 聞き手への配慮
1 気になる「マイペース」
2 「普通の声」で話してはいけない
二 聞き手への配慮の指導
1 声の小さい子の指導
2 黙ってしまう子の指導
3 返事が上手にできない子の指導
4 多弁な子どもの指導
5 思いつきを喋る子の指導
6 自分の考えに固執する子の指導
三 公話における配慮
1 全校児童会での発表の指導
2 一年生の歓迎集会での作文発表の指導
Z 話し言葉の教材開発
一 話し言葉指導における教材開発を進める
1 平成元年版指導要領における指導系統
2 指導系統の一覧表
二 話し言葉指導の目標と内容
――五年生を例にして――
1 話し言葉の「技能目標」に関する問題
2 話し言葉の「態度目標」に関する問題
3 言語事項の「発音・発声」に関する問題
4 言語事項の「言葉づかい」に関する問題
5 A「表現」の「話し方」に関する問題
6 話し言葉の指導内容についての小見
三 教師の教材開発の力量形成
1 教科書教材だけに頼らずに
2 新しい指導分野の教材開発も
3 敬語のしつけと指導
@言葉の乱れと崩れ/ A敬語表現の美学/ B敬語表現の受難期/ C子どもは敬語で遇されない/ D家庭の責任、教師の責任
4 インタビューの指導
@「面接取材」が適訳/ A取材の目的を確認する/ B質問内容を目的に合わせて絞る/ Cインタビューの技法のポイント
四 即時、即座の指導を
1 教育における計画性と即興性
2 指導の場の発見
3 具体的な「指導の場」――その実践例
@言葉にこだわる/ A返事の仕方にこだわる/ B発音にこだわる/ C言葉の「表情」にこだわる
[ 話し言葉と人間教育
1 反対耐性を培う
2 いつでも冷静に話し合う
3 感情をコントロールする
4 言語人格を高める
@巧言令色型/ A形質・技術未熟型/ B篤実咄弁型/ C理想型
結びの章 コミュニケーションの基礎・基本
――返事・挨拶・表情――
1 「挨拶」に込められた意味
@「戴きます」/ A「ごちそうさまでした」/ B「すみません」/ C「有難う」/ D「はい」という返事
2 指導要領におけるコミュニケーション
3 国語教育の中の技術
@話す/ A聞く
あとがき

まえがき

 授業の大方は教師と子どもとが話し合ったり、聞き合ったりして進行する。テストや作文や図工作品の制作中ならば無言の時間もあろうけれど、そういう特別の場合を除けば教室での授業は大体「話し合いつつ」進行する。

 授業は、学校教育の中核である。子どもにとっては、それを受けそれによって学力を形成することが最も大きな期待であり、目的である。質の高い授業が提供され、それをしっかり受けとめる態勢が子どもにできていれば必ず学力は確かに形成されていく。そして、授業の質を左右する最も大きな要因は教師と子どもとの間に交される話し言葉のありようにある。無駄のない、明快な話し方を教師が身につけ、子どももそれなりに良い話し方を身につけているならば、授業の効率は大きく高まる。確かな学力も形成されることまず疑う余地はない。

 ところで、話したり、聞いたりするいわゆる「音声言語活動」は、それがあまりに日常的で身近であるために、そこに格別の不自由を感じたり、困難を生じたりするということは普通には生じていない。日常の音声言語活動は何とか「用が足りている」からである。しかし、実はそこにこそ問題があるのだ、と私は考えている。

 全国各地の学校にご縁を戴いて、授業をさせて貰ったり、授業を参観したりすることがかなりの数に上る日々を送っているが、ちょっと注意深く子どもの「話し方、聞き方」に耳を傾けてみると、その実態にはいろいろの問題点を感じざるを得ない。声が小さい。聞き手を見て話さない。話し手に注目しない。話し方が長い。くどい。わかりにくい。話す子が偏っている。ほとんど対話が成立していない、などなど、実は問題が山積している。そして、最も私が残念に思うのは、そういう子どもの話し言葉の現実に対して、指導者である教師が、その不備や不十分さに気づいていないということである。だから、当然それに指導を加えて改善、善導するという働きかけもなされないままだ。

 かくて、子どもの音声言語の質は一向によくならず終いという現実になっている。子どもの話し方の不備や不足や不十分さに気づかないくらいだから、その教師の話し言葉もまた上質とは言い難い。授業における「教師の話し方を鍛える」には本シリーズの別著『授業の話術を鍛える』がきっと役に立つだろう。だから、本書では専ら子どもの話し言葉に問題を絞って提言することにしたい。

 本書は、増補改訂版である。その原著は『話し言葉で鍛える』という本である。新書判で多くの読者諸賢に支持され、版を重ねた。この度版を改めるに当たって、序の章と結びの章を加えたほか、二、三の項目を追加し、いっそうの内容の充実を図ることができた。序の章と結びの章は、子どもの音声言語教育の輪郭をつかむのに格好のヒントとなるだろう。努めて教室という実践現場で具体的に役立つようにと考え、叙述は平易明快を心がけた。抽象的で難解な理屈は本書のどこにもない。但し、人の子の師として子らの前に立つ教師が、手軽で安易なハウツーを身につければ足りるというような安直、軽薄な立場もまた私の最も忌むところである。よって、平易かつ明快を心がけつつも、その背後にはどこに出しても恥じない私なりの実践哲学を踏まえているつもりである。

 教育は、畢竟するに「国家及び社会の形成者としての有為な人格形成」を目指して行われるべきものである。子どもの話し言葉の教育が、目先のコミュニケーションテクニックの形成のみに終わったのでは足りない。本書に述べてあるさまざまな指導上の工夫や技術は、どこをとっても「人間と人間との関係の中で、互いの立場や考えを尊重しながら、言語を通して適切に表現したり正確に理解したりする力」、つまり「伝え合う力」の形成を目指すことに違わない。話し言葉の教育を通じて、教育の本来の目的、目標の具現に資する基本を貫いた本書が、誠実な教育実践者に読まれ、役立つことを心から期待をしている。なお、本書刊行に当たって格別の導きを戴いた明治図書出版の編集長江部満氏に深甚なる感謝を捧げ、まえがきとする。


 平成一八年五月吉日 新緑の眩しい日に記す   /野口 芳宏

著者紹介

野口 芳宏(のぐち よしひろ)著書を検索»

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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