授業のオープンエンド化5オープンエンド化による国語科授業の創造

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国語科授業の最大の問題点は学習の閉ざされた構造にあり,子どもたちの力が育たないことにある。定式化された授業課程をどう改革するかの提案。


復刊時予価: 3,410円(税込)

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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-306516-X
ジャンル:
国語
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 280頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

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まえがき
T 国語科授業のオープンエンド化とは
一 国語科授業をなぜオープンエンド化するのか
1 閉ざされている国語科授業の構造
教科書教材に子どもを閉じ込めてしまう授業
指導過程に子どもを閉じ込めてしまう授業
表面的なわかり方に子どもを閉じ込めてしまう授業
2 国語科授業をオープンエンド化する必要性
読書生活と国語科授業のオープンエンド化
情報の生産・発信と国語科授業のオープンエンド化
異学年による学び合いと国語科授業のオープンエンド化
二 国語科授業をどうすればオープンエンド化できるか
1 オープンエンド化するための方法原理
授業のオープンエンド化とは
授業のオープンエンド化の基底
2 オープンエンド化の課題と方向
国語科授業をオープンエンド化するための課題
国語科授業のオープンエンド化の方向と方法
U 国語科授業のオープンエンド化の実際例
一 物語文の場合
―対話読みから対決読みへ、そして比較読みへ
1 この章の道案内
2 小二『お手紙』の授業のオープンエンド化――「対話読み」とその実際――
3 小四『ごんぎつね』の授業のオープンエンド化――「対決読み」とその実際――
4 小五『大造じいさんとガン』の授業のオープンエンド化――「比較読み」とその実際――
二 説明文の場合
―情報の読み取りから情報の生産へ
1 この章の道案内
2 小二『たんぽぽのちえ』の授業のオープンエンド化――文種の違いと情報の伝達を組み込んだ「説明的文章」の授業――
3 小四『カブトガニを守る』の授業のオープンエンド化――リライトの活動を中核とした「説明的文章」の授業――
4 小六『人類はほろびるか』の授業のオープンエンド化――情報生産を促す「説明的文章」の授業――
三 作文の場合
―コミュニケーションと探究(追究)から文章表現の世界へ
1 この章の道案内
2 小一「手紙で知らせよう!」の授業――「モデル」導入による形式と内容の統一をめざして――
3 小三「学校の『ナ・ゾ』をとく一年生のための虎の巻づくり」の授業――文章のフィードバックを組み込んだ新たな活動と意欲の喚起をめざして――
4 小五「見つけよう広島のあれこれ、見つけよう広島のわたし」の授業――情報収集・文章表現・情報発信をめざして――
四 言語事項の場合
―言葉の世界を広げる
1 この章の道案内
2 小二『かたかなで書く言葉』の授業のオープンエンド化――「かたかなの国をつくろう」の授業――
3 小三『あなたはだれ』を活用した「言語事項」の授業のオープンエンド化――「呼び名っておもしろいな、まるで忍者みたいに変身」の授業――
4 小五「言葉づかい『敬語』」の授業のオープンエンド化――@「言語探偵団」A「ぼくもわたしも敬語博士」の二つの授業――
五 詩の場合
―詩の世界で言葉の豊かさと感性を
1 この章の道案内
2 小二「お気に入りの詩集づくり」の授業――詩の世界に親しむ学習とその実際――
3 小三「ぼくも君も野原歌の住人」の授業――詩の世界を広げる学習とその実際――
4 小六「発見、発見こんな見方もあったんだ」の授業――詩の世界を深める学習とその実際――
あとがき

まえがき

 国語科ほど、教科書教材に頼り、しかもその教科書教材を、定式化された指導過程に沿って教えわからせようとする授業は、他にないのではないか。そう思えて仕方がない。

 しかも、一つの教材文を細かく切り刻み、それぞれのパートの理解や表現と称して、いたずらに多くの時間をかけてしまう。

 文学的文章指導の場合がその典型であるが、結局子どもたちは、何を国語科の授業で学べばよいのか不明なままに学習を終えてしまうことになりがちだ。これでは、国語科嫌いの子どもが出てくるのも、やむをえないだろう。

 国語科の授業を、楽しく、しかも実り豊かなものにすることはできないものか。そのためには、国語科授業の、何をどう変えればよいのか。

 本書では、国語科授業の最大の問題点を、学習の閉ざされた構造にある、と捉える。教師の側が力を入れて指導すればするほど逆に子どもの学習は閉ざされてしまう。そのような構造に、国語科の多くの授業が陥っている。したがって、もはや小手先の改善策ではすまされない。問題は、国語科授業のあり方そのものを変えられるか否かだ、というのが本書の立場なのである。子どもたちの国語の学びを開いてやりたい。

 いうまでもなく、国語科の学力形成に向けてであり、彼らの読書生活に向けてである。もちろん、情報の読み取りや情報の生産・発信、さらには、彼らの コミュニケーション活動の展開に向けて、でもある。

 本書では、オープンエンド化をキーワードに、思い切った国語科授業の改善案を、新しく構想し実践した授業の提示という形で提起させていただいた。

 国語科授業をその根本から改善したい、と願って取り組んだつもりではあるが、不十分な点や問題点も多いと思う。ご批判をいただければ幸いである。

 末筆ながら、遅れがちな本書の完成を温かく見守っていただいた、江部満氏と樋口雅子氏に感謝申し上げたい。


  一九九八年七月   編著者 /片上 宗二

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      明治図書
    • 『オープンエンド」で思考力を育てるって大事でしょ。それを学びたい。良書です。でも、この本。中古で買うとめちゃくちゃ高いです。みなさんのお力でなんとか復刊を!
      2021/8/12すずらん

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