指導案づくりで国語の授業力を高める

指導案づくりで国語の授業力を高める

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指導案づくり―この地味な作業が教師と生徒を救うのだ!

授業は構造だと著者は主張する。そのためには構造が見える指導案をつくることだと提言する。中心になる発問・指示を用意する。指導案づくりで授業の腕を鍛える構えが必要なのだ。指導案づくりで腕を鍛えようと著者はくり返し呼びかける。授業の腕を上げよう!


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ISBN:
978-4-18-305513-2
ジャンル:
国語
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 136頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

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はじめに
T 授業の腕を上げる指導案とは
一 発問・指示を明示した指導案
1 発問・指示を授業の骨格に置く
2 「枠」の威力
3 教師の活動・児童の活動を二分化して明示
4 「ごんぎつね」二の場面の指導案
5 漢詩授業の指導案
二 技術・原則を明示した指導案をつくる
1 「わたしは見た」の指導案づくり
2 技術・原則を明記した「大造じいさんとガン」の指導案
三 研究授業用指導案をつくる
1 「川とノリオ」の研究授業指導案
2 新出漢字と漢詩授業の指導案
U 指導案の応用の技術
1 「ごんぎつね」の授業に向けて
2 指導案を捨て知覚全開
3 全員が「色」をノート記入
4 「全員起立」を止める
5 指示の変更――「列発表」を止める
6 類比的・対比的展開
7 イメージ喚起のすじ道
8 教科書を見させる
9 「色」を媒介として
10 脱 線
11 「技術・原則」の応用で
12 初歩的ミス
13 重要色
14 ごんの心の検討へと
15 発表は背の順?
16 山 場
17 指導案で見えた「指導の原則」
あとがき

はじめに

 授業は構造である。

 どうしたら構造的な授業をすることができるか。

 構造が見える指導案をつくることである。

 中心になる発問・指示を用意する。それらを、授業のどのあたりで提示するかを考える。

 発問・指示に枠をつけ、指導過程の真ん中に書くのである。こうすることにより、一目見ただけで授業の構造が分かる。

 教師の活動を左側、教師の活動に対する児童の活動予想を右側に書く。これで、すっきりと美しくまとまる。

 これを、


 A 発問・指示明記型指導案


とする。

 ときには、技術・原則を明記した指導案をつくるとよい。Aの「日常型」に加えて、教師が、なぜその手だてや働きかけをしたか、その理由を明記するのである。技法を書いたり、原則を書くことになる。これを、


 B 技術・原則明記型指導案


とする。技法や原則を、時と場の中で、発揮していくかを検討することになる。授業の腕を上げるための教師にとって、最高の「自学」となるであろう。

 研究授業のときにお薦めしたいのは、指導案の冒頭に「授業で見てほしいこと」を明記した指導案である。この指導案では、自分の仮説について、参観者に検討してもらうことになる。これを、


 C 研究授業型指導案


と呼ぶことにする。研究主任をしていた二十数年間、ずっとこの形の指導案を使い、研究を進めてきた。


 二十年前に、授業の腕が上がる指導案を提案した。向山洋一氏は、私の指導案を見て、


  試作品時代を終えて一号機の誕生


と称して下さった。

 齋藤勉氏も、言って下さった。


  この指導案は、指導案研究に新しい一ページを開くものである


 その後、現場の指導案は、大きく改善された。しかし、相変わらず、今でも、授業の様子がまったく分からない指導案を見かける。指導案づくりで、授業の腕を鍛えるという構えが見られないのである。これは、もったいない。


  上達と伝達の機能をもった指導案が必要なのである


 低学力問題が、ますます深刻化している。今こそ、低学力を克服させる強力な指導が求められている。教師の強力な指導を重視した指導案づくりこそ、今の状況の中で、必要であると考える。

 ところが、今、現場では、授業づくり、指導案づくりに熱心であるようには見えない。低学力問題に右往左往し、練習学習に力が注がれたりする。教師の授業の腕を高める方策よりも、ドリル的な練習の量が優先されたりする。

 その結果、「学びからの逃避」「低学力」の問題は、さらに悪化していると思われる。教師も、子どもも「教えがい」、「学びがい」をなくしているように見える。

 今、本当に必要なのは、


  発見的かつ体験的な授業を教室に創る


ことである。そのために必要になってくるのは、授業の腕である。発見的かつ体験的な授業が生まれる教室の子どもたちは、


  「学びへの参加意欲」と同時に、「学力」をものにする


ことになるのである。

 指導案づくりで腕を鍛える。地味な作業である。だが、日本の教育を変えるには、一人一人の教師が、この地味な仕事をやっていくことをするしかない。

 指導案づくりが、教師を救う。子どもを救う。

 なお、本書で紹介した国語指導案は、すべて、実際に、私が授業したものである。指導案通りに授業していただきたい。発問・指示の大切さ、さまざまな技術や原則の発揮の仕方を学ぶことになろう。追試結果を岩下まで報告していただけるとうれしい。


   /岩下 修

著者紹介

岩下 修(いわした おさむ)著書を検索»

愛知教育大学社会学科卒業

立命館小学校教諭

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書
    • 指導案の様式を考える際の参考になる本。ここまで細かい指導案が何年も前に提案されているとは、驚きである。
      2016/4/2550代・小学校管理職

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