- 発刊に寄せて
- はじめに
- 第1章 子どもの幸せはどこにある?
- 1 PISAショックと学力競争の時代
- 1 教育が岐路に立たされる構造
- 2 学力向上とウェルビーイングの乖離
- 3 二重かつ複雑な排除構造
- 2 子どもの幸せを見誤った大人たち
- 1 子どもの幸せ
- 2 カリキュラムオーバーロードと窮屈な学校生活
- 3 羅針盤としてのウェルビーイング
- 第2章 教室のウェルビーイング
- 〜子どもの幸福感から考える〜
- 1 ウェルビーイングとは
- 1 なぜ,今ウェルビーイングなのか
- 2 教育におけるウェルビーイング
- 3 学級経営とウェルビーイング
- 4 世界から見た日本の子どもの幸福感
- 2 「学級経営」で子どもの幸せを実現する
- 1 共同体感覚と幸福感
- 2 自治的集団と幸福感
- 第3章 ウェルビーイングの教室をつくる
- 1 ウェルビーイングの教室の教師
- 1 子どもと学級の育ちを描く
- 2 子どもは伸びたいと願っている
- 3 笑顔は最大のフィードバック
- 4 子どもの声を聴く
- 5 対等(フラット)な関係
- 6 子どもの何を見るか
- 7 つながりは関わることでしか生まれない
- 8 トラブルはチャンス
- 9 何を願い,どう語るか
- 10 感謝志向
- 11 コネクションを大切にする
- 2 ウェルビーイングの教室のコミュニケーション
- 1 対等なコミュニケーションと幸福感
- 2 顔を見合いながら座る
- 3 結果ではなく,解決(プロセス)にフォーカスを当てる
- 4 すべての子どもが参加者である
- 5 貢献感にスポットライトを
- 6 つながり,教え,育てる
- 7 クラス会議を実践する
- 3 ウェルビーイングの教室の日常生活
- 1 1日の始まり
- 2 朝の会
- 3 5分休憩(業間の隙間時間)
- 4 休み時間
- 5 給食
- 6 清掃
- 7 席替え
- 8 帰りの会
- 4 ウェルビーイングの教室の集団づくり
- 1 つながりの解像度を高める
- 2 つながりのタネ〜「聴く」を育てる−ペアトーク−〜
- 3 つながりのタネ〜聴くを育てる−ボードトーク−〜
- 4 対話の効果
- 5 相手の関心に関心を持つ
- 6 貢献のコミュニティーをつくる
- 7 係活動と当番活動
- 8 トラブルこそチャンス
- 9 学級掲示
- 10 学級通信・学級だより
- 11 フィードバック(教師によるフィードバック)
- 12 ピア・フィードバック(子ども同士のフィードバック)
- 13 スキャフォールディングとブリッジング
- 5 ウェルビーイングな教室と授業づくり
- 1 とにかく「楽しさ」を入り口に
- 2 多様性を包摂する
- 3 協働的問題解決を必要とする課題設定
- 4 共感の発揮を描く
- 5 仲間を知り,関心を持つ
- 6 ウェルビーイングな教室と学校行事
- 1 日常とは異なる関わりへ
- 2 より「大きな」つながり
- 3 新たなつながりの創出
- 4 日常から非日常へ,より大きなつながりへ〜運動会〜
- 5 行事を育ちの場にする
- 第4章 未来への希望を紡ぐ教室へ
- 〜教師の信念と共同体感覚が築く ウェルビーイング醸成のサイクル〜
- 1 ウェルビーイングの教室づくりの考え方
- 1 なぜ,今「実践」を問うのか〜理論から文化への架け橋〜
- 2 本書の核心〜ウェルビーイングを築く3つの柱〜
- 3 理論的総括〜ZPDとアドラー心理学が描く教室の未来〜
- 4 実践的総括〜教師の信念と「対等な場」の設計〜
- 2 コネクション形成のプロセス
- 1 クラス会議,対等性の確保からの挑戦と共感の深化へ
- 2 システムを文化にする教師
- 3 ウェルビーイングの教育が紡ぐ未来へのコネクション
- おわりに
- 「あとがき」に代えて
発刊に寄せて
2024年8月に刊行いたしました『ウェルビーイングの教室』は,幸いなことに多くの方々にご高評をいただき,発刊直後の再版を経て,現在までに4刷を重ねることができました。お手に取ってくださった読者の皆様に,心より感謝申し上げます。
前作では,阿部隆幸,佐橋慶彦,水流卓哉,深見太一,松山康成,一尾茂疋の各氏が,大学,公立学校,オルタナティブスクールといった多岐にわたるフィールドでの専門性を持ち寄り,「一人ひとりの子どもにとって学びやすく,過ごしやすい教室はどうあるべきか」という問いに対して,多角的な視点から「ウェルビーイングの教室」の実現に向けた提言を行いました。明治図書のHPにも,「様々な立場から,それぞれの“『ウェルビーイング』とは?”について語っている作りが秀逸」といったあたたかい書評をいただき,本書が教育現場におけるウェルビーイングへの関心の高まりを映し出す1冊となったことを実感しております。
しかしながら,皆様からいただいた貴重な反響の中には,次なる一歩を求める声もありました。それは,「子どもたちがウェルビーイングを感じるような教室をどうつくっていったらいいか,そのプロセスを知りたい」という,切実な願いでした。理論的な理解や多様な提言が示された後,読者の皆様は具体的な「実践の道筋」を求めていらっしゃる。私たちは,この声に応えることこそが,本書の使命であると確信いたしました。
そこで,満を持して本書『ウェルビーイングの教室 実践編』を世に送り出します。
本書の核となるのは,子どものウェルビーイングに関する研究を深めてきた大学院での知見を持ち,現在は附属小学校において,その理論を実践を通して丁寧に実証し続けている目黒幸士郎氏による,愚直なまでに子どものウェルビーイングを追い求めた具体的な歩みです。
ウェルビーイングの実現は,一朝一夕に成し遂げられるものではありません。それは,年度の始まりから終わりまで,子どもたちの成長と学級の成熟に合わせて,教師が意図的かつ柔軟に環境を整え,関わりを築き上げていく継続的なプロセスによって実現されるものです。目黒氏の実践記録は,抽象的に語られがちなウェルビーイングを高める取り組みを,実に解像度高く,ときには実物資料を示しながら,一貫して取り組んできたことを実に丁寧に開示してくれています。
本書は,単なる成功事例集ではありません。ウェルビーイングを軸とした学級経営の試行錯誤,子どもの反応に応じた修正,そして先行研究,実践といった根拠に基づいた評価の視点を提供します。これにより,読者の皆様は,ご自身の学級経営と照らし合わせ,その時々の季節や学級の状況に応じて,最も効果的なアクションを選ぶことができるでしょう。
本書を1年間の節目節目で開く「実践のお供」として,ぜひご活用いただきたいと願っています。ご自身の日常の実践が,本当に子どもたちのウェルビーイングの向上に寄与しているのかを振り返り,明日への活力を得ていただくための絶好の書となるはずです。
この『実践編』が,読者一人ひとりの先生方,そしてその教室で学ぶ子どもたちにとって,より豊かで実りあるウェルビーイングな学校生活を実現するための一助となれば,これに勝る喜びはありません。
2026年2月 /赤坂 真二
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明治図書

















