- はじめに
- 1章 中学年・書く力が驚くほど伸びる「一〇〇マス作文」指導の基礎基本
- 1 「一〇〇マス作文」一〇のルールについて
- 2 「一〇〇マス作文」で中学年の書く力を高める視点
- 3 中学年の「一〇〇マス作文」―楽しみながら書く力を高める指導のポイント
- 4 本書の使い方について
- 2章 [授業編]どんどん書けるイラスト「一〇〇マス作文」ワーク
- 3年
- ダンボ作文を書く
- 1 さんかん日の後の感想や言葉を書きとめよう
- 2 生活の中から言葉を拾おう
- 3 自ぜんの中の音
- 順序よく書く
- 4 先生がされたことをよく思い出してじゅんじょよく書こう
- 手紙を書く
- 5 病気で休んだ友だちへ手紙を書こう
- 俳句や川柳に挑戦する(俳句や川柳の創作練習)
- 6 お気に入りの場面をぬき出してみよう
- 短歌に挑戦する(短歌の創作練習)
- 7 お気に入りの場面をぬき出してみよう
- 実況中継作文を書く
- 8 水泳大会の様子を実きょう中けいしよ
- スリーキーワード作文を書く
- 9 「サーカスのライオン」の感想を書こう
- 10 遠足の思い出
- 11 うそ(想ぞう)作文を書こう
- なりきり作文を書く
- 12 時計になりきってクラスの様子を書こう
- 4年
- ナンバリングを使って書く
- 1 四年生でがんばりたいことを書こう
- 2 春の遠足
- 3 私の好きなもの
- 見たこと作文を書く
- 4 天ぷらがあがる様子を書こう
- 5 何が出て来るのかな
- 6 そ父母を見つめて書こう
- 言葉を引用して書く(引用作文)
- 7 「さるも木から落ちる」を使って書こう
- 文末を指定して書く(文末指定作文)
- 8 歌声集会の様子を次の文末で書いてみよう
- 比べて書く(対比作文)
- 9 人とペットをくらべて書こう
- 詩に挑戦する(詩の創作)
- 10 美しいと思ったことを書いてみよう
- 手紙を書く
- 11 五年後の「十五さいのわたしへ」手紙を書こう
- 結論なぜから作文を書く
- 12 カレーライスとラーメン、どっちが好き?
- 3章 [行事編]どんどん書けるイラスト「一〇〇マス作文」ワーク
- 3年
- 見る位置を変えて書く
- 1 リンゴ
- 夏を見つけて書く
- 2 プールの音を書こう
- 3 雲の様子を書こう
- 4 冷たいジュースを飲んだことを書こう
- ハラドキ作文を書く
- 5 ぶつかりそうになったこと
- 味や匂いに着目して書く
- 6 きゅう食はどんな味かな?
- 冬の自然、生活や風物を書く
- 7 ふる雪を見つめて書こう
- 8 雪かきがしてあった
- 9 初もうでに行った
- 感謝の気持ちを書く
- 10 たんにんの先生へ感しゃの気持ちを書こう
- 11 お世話になった○○さんへ
- 12 物への感しゃ
- 4年
- 色々な角度から見つめて書く
- 1 サクラ
- 生活を見つめて書く
- 2 新しい出会いの中で考えたことを書こう
- 3 虫歯がなかった
- 4 登校の時に気付いたこと
- 花を見つめて書く
- 5 あじさい
- 労働に視点をあてて書く
- 6野菜作りを手伝った
- 7 ボランティア活動に参加して
- 8 そ父母が働いているすがたを見て
- 秋の行事を通して考えたことを書く
- 9 マラソン大会をよく思い出して書こう
- 10 くりご飯を食べた
- 11 公民館祭りで見たこと
- 春を感じて書く
- 12 チューリップの花
- 巻末資料 中学年用一〇〇マス作文原稿用紙
- おわりに
はじめに
二〇〇七年に刊行しました拙著『書く力を高める小学校「一〇〇マス作文」入門』は十一版を数えるに至りました。またその後、二〇一二年二月に刊行しました『どの子も楽しく書ける! イラスト「一〇〇マス作文」ワーク 1・2年/3・4年/5・6年』も好評のようです。「一〇〇マス作文」が大変多くの先生方や学校に関心を持っていただけたことが分かります。本当にありがとうございます。
実際、私自身、各地で行われている研究会に参加したときに「あっ、これは一〇〇マス作文を応用した取り組みだな」と思うことがあり嬉しくなります。廊下や階段のコーナーに俳句や川柳の作品が掲示されているのを見るとニコニコしながらつい見入ってしまいます。また、インターネット上では、成果をあげた一〇〇マス作文の取り組みがたくさん紹介されており感謝しています。それとともに私自身が更に大きな刺激を受けています。
そういう中で、先生方が児童に与える題材がなく困っていることが耳に入ってきました。何をどうやって与えたらいいのか分からず困っているというのです。『「一〇〇マス作文」入門』を刊行した後に「題材選択能力を自分自身で高めていければよいのだが、全国の先生方が指導したり子どもたちが自分で見つけたりできるヒントとなるようなワークを…」という願いがあってイラスト・ワーク集を出したのですが、少し例示が足りなかったようです。別の見方をすると、児童に書きたい題材を見つけさせることがいかに難しいかというとらえ方もできます。
折りしも、明治図書の木山麻衣子編集長より「より多くの題材選択のヒントを載せてほしい」というワーク集の続編刊行のお誘いがあり、意を決して取り組んできた次第です。
従いまして、本書にはたくさんの題材のヒントを載せました。行事編には、学校や地域の行事、四季の自然や風物、家族やペットとのふれあい等の題材を載せました。授業編には、どういう方法や見方で書いたらいいのかという方法を載せました。それらをミックスして指導に生かしてほしいと願っています。
ただ、私自身が山陰の片田舎に住んでいるために、全国各地の自然や風物等に合わないものやとらえられていないものがあります。そこは行間を読んでいただき各地方の実態に合わせてください。また、私は現在中学校に勤務しています。小学校の現場を離れ五年の月日がたちました。ですから最近の小学校の実情にそぐわない点も多いと思います。その点もどうぞご容赦いただきたいと思います。
本書の中のたくさんのヒントが、先生方の指導に役立つことを願っています。しかし、あくまでも、題材は児童自らが見つけること、つまり題材選択能力の育成こそが大事であることを忘れないでください。そのための一助と考えてください。
さて、私はいくつかの作文コンクールの審査をしています。その審査を通して、最近考えたことを三つ書きます。
一つ目は、ナンバリングのことです。自分の考えをまとめたり説明したりするためにはとてもよい方法です。一〇〇マス作文シリーズでも推奨してきました。ここでも今使っています。けれども、書きやすいためか、このナンバリングを使って書いた説明的な作文をとても多く見るようになってきました。成果でもありますが、実は残念に思うこともあります。例えば、家庭や家族をテーマにした作文コンクールでは「家族で大切にしているルールが三つあります。一つ目はあいさつです。…」、人権作文コンクールでは「ぼくが気を付けていることは二つあります。一つは悪口を言わないことです。…」等のナンバリングスタイルの作文がとても多いからです。ルール作文と名付けていますが、これでは入賞は無理です。コンクール等に出す作文は、一つのテーマで、あるエピソードをもとに自分の考えたことを書いていく生活作文や意見文であってほしいと思います。
二つ目は、オノマトペのことです。オノマトペとは擬声(音)語と擬態語のことですが、これをたくさん使って書かれた作文は情景のよく分かる作文になる、端的に言うとよい作文になると改めて感じました。日本には豊富なオノマトペがあります。本書の中にもオノマトペや副詞等について書いています。「オノマトペを三つ以上使って書け」といったように、児童にどんどん使うように指導してください。きっと楽しく書き進めると考えます。
三つ目は、考えたことです。私たちは以前から「感じたことを書け」と言って指導してきました。それも否定しませんが、大事なのは「考えたことを書くこと」だと最近強く思うようになってきました。ものを見て感じたことではなく考えたことを書く、エピソードを通じて考えたことを書く、そういう考えたことを書かせていく姿勢が大切ではないかと考えています。何を感じたかではなく何を考えたか、この本をお読みになっている先生方にはぜひそういう姿勢で児童を教え導いてほしいと願っています。
私は、この本を、次の世代を担っていかれる若い先生方へ是非とも伝えておきたいという気持ちで書きました。私の教員人生はあとわずかしか残っていません。ですから、この機会を是非とも生かしたいと考えました。この本の本文を、敬体ではなく常体で書いたのも、少し強い調子で書いたところがあるのもその気持ちからです。ですから、読者の皆様に傲慢な感じを与えたかもしれません。それは、年がいった者の戯言とお許しください。
お世話になった教育という世界に少しでも恩返しができればと考えています。
皆様のこれからの教育実践に役立ちそうなことが一つでもあれば幸いです。
二〇一五年四月 /三谷 祐児
-
- 明治図書