教師のためのレジリエンス
―折れない心を育てる、回復力を鍛える―

教師のためのレジリエンス―折れない心を育てる、回復力を鍛える―

インタビュー掲載中

めげない・くじけない・へこたれない!立ち直り力の育て方

見通しの不透明な時代だからこそ、困難に遭遇したときにも折れない・くじけない心を鍛えよう!学級づくり・授業づくり・生活指導・関係づくり等の子どもを鍛える視点と、保護者対応・同僚との関係等の教師を鍛える視点から、具体的な指導と対処の手立てを解説。


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ISBN:
978-4-18-164312-6
ジャンル:
教師力・仕事術
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 152頁
状態:
在庫あり
出荷:
2024年4月1日

CONTENTS

もくじの詳細表示

はじめに
Chapter1 なぜ,レジリエンスが求められるのか
学校現場が抱える課題
「いじめ」「脆弱な友達関係」は,子どもの弱さが原因
立ち直れない,若い教師たち
「否定されない教育」の危険性
回復力が,学校を救う!
Chapter2 くじけない心を育てる! 学級づくりで鍛えるレジリエンス
出会いで心構えをつくる
教師の統率力を行き届かせる
学級目標・クラスのルールづくりで意識を高める
公平・平等を大切に
グループづくりで関わる機会を増やす
責任感を高める当番活動
係活動で自主性を育てる
固定化した関係を取り払う
教師の思いを語る
本音と本気をぶつけ合う活動を
COLUMN 子ども自身の頭と身体が働く指導を
Chapter3 クラス全員が成長する! 授業づくりで鍛えるレジリエンス
全員参加の授業でやらざるを得ない状況づくり
きまりを守る力を育てる
勇気を授業で積み上げる
忍耐力を身に付ける
自分の間違いを受け入れる
自らの考えを主張する力を
周囲に配慮する気持ちを育てる
多様な意見に触れる
「できる・分かる」で自信を持たせる
正直さ・誠実さを育てる
COLUMN 授業では「ねらい」とは別の力も付けることができる
Chapter4 ここぞの場面を見逃さない! 生活指導で鍛えるレジリエンス
あいさつ指導は心構えづくりの基本
元気な返事を返す力を育てる
忘れ物は自分で解決させる
整理整頓で変化の大切さを理解させる
掃除で逃げない気持ちをつくる
時間厳守で当たり前のことができる自信を
ウソ・言い訳の指導で信頼される子に変える
器物破損は責任感を鍛えるチャンス
損得勘定抜きで行動できる子に
固執から解放する
COLUMN 犯罪を未然に防ぐために
Chapter5 つながりが多様な時代だからこそ! 関係づくりで鍛えるレジリエンス
対等・平等の心地よさを実感させる
気持ちの共有で安心感を
前向きに考える習慣を
ケンカでトラブル解決法を学ばせる
誰とでも活動できる力を育てる
いじめと戦う強さを
1人でも好きなことができる雰囲気づくり
正しいことを主張する訓練を
1人ぼっちの子に声をかける優しさ
悪口・陰口に耳を貸さない強さを
COLUMN 教育とは何か,教師とは何か
Chapter6 避けては通れない! 保護者とよりよく付き合うためのレジリエンス
「保護者はパートナー」という認識で
平身低頭が悩みの種をつくる
保護者も「人」であることを忘れない
「教師理解」が心の余裕を生む
家庭訪問は厚かましく頻繁に
参観・懇談をアピールの場にする
愛情を全面に出して苦言を呈する
苦情はチャンスと捉える
来校者は笑顔で迎える
組織対応が心の支えになる
COLUMN その保護者,本当にモンペですか?
Chapter7 チーム学校に変える! 同僚とよりよく働くためのレジリエンス
同僚の助言を素直に受け入れる
すごいことを「すごい」を認める気持ちを持つ
周りの評価に無頓着になる
独りになることは悪いことではない
気になる言動は「流す」力を
人が喜ぶことをする
気まずいときは自分から関わる
非難や陰口から遠ざかる
疎まれることを恐れない
聞き上手・ほめ上手になる

はじめに

 今どきの子どもは打たれ弱いとよく言われますが,学校現場で直接子どもと関わる教師として,私も同じことを感じています。そして,子どもだけではなく,若い先生方もまた打たれ弱いと感じています。特に私が気になるのは,「自分の失敗や過ちを素直に認められない」ということです。大人に比べて,子どもや若者が圧倒的に力を伸ばすのは,素直だからです。真っ白な紙がインクを吸い取るように,素直であればそれだけ,子どもや若者は様々なことを吸収して成長していきます。そうであるから,子ども・若者には,強い気持ちや前向きな心の持ち方を吸収してほしいと思います。誰にでもかわいがられ信頼される人になってほしいと思います。素直な気持ちで様々なことにチャレンジし,隠れた能力を発見し,前向きに努力して充実した人生を送ってほしいと願います。

 そういう人に育てるためには,若いうちに心を鍛えることが必要です。子どもや若者が様々な能力を発揮するための土台となる,前向きで,素直で感謝する気持ちを育てなくてはなりません。どんなに優れた体格で,秀でた運動神経を持って生まれても,汗をかいて身体を鍛えることをバカらしいと思えば,それまでです。どんなに優秀な頭脳に恵まれていても,努力はつまらないことだと思って過ごせば,宝の持ち腐れです。常に前向きに物事を捉えて物事に感動することができ,周りの人に感謝の気持ちを持つことのできる子に育てなくてはなりません。心の力をつくることが,人の様々な力の源となるのです。

 学校には,何をするにもいつもニコニコ笑って学校生活を送っている子がいます。他の子が避けるような仕事を進んで引き受け,「つらいだろうな」と思うことも,平気な顔をしてやり遂げてしまいます。そのような子は,友達からも好かれ,教師からもかわいがられて,毎日を楽しく過ごすことができます。反対に,いつもつまらなそうな顔をして,ダラダラと学校生活を送る子がいます。自分の損になるような仕事からはうまく逃れ,何をするにも「ダルイ。嫌だ」と不平を口にします。そのような子は,どんなに楽しいことに出会っても,心から楽しいと思うことはできないでしょう。

 同じ小学生,同じ人間であるにも関わらず,2人の違いは,一体何が原因なのでしょう。

 人は,心持ち1つで,幸せにもなれば不幸にもなります。例えば,両者に同じ食べ物を与えたとします。前者は,喜々としてそれを受け入れるでしょう。「こんなに美味しいものを,ありがとう」という心構えができています。対して,後者は,さほど喜ぶ気持ちもないでしょう。「あっ,そう。一応食べてはみるけど」といった感じでしょうか。どちらの子が幸せで,将来自分の力を伸ばしていくのかは,言わなくても分かるでしょう。物事に感動し,人の意見を素直に受け入れ,感謝の気持ちを持っている子は,前向きに物事を考えることができる子です。そのような心持ちの子は,様々なことにチャレンジし,苦しくても努力を続けることができるでしょう。少々の困難には打ちひしがれることはなく,自分の力で困難に立ち向かい解決していくことでしょう。そして,自分の能力を伸ばし,夢をかなえていくでしょう。そして,それは,子どもに限らず,私たち大人にも言えることです。

 いじめや不登校,学級崩壊や対教師暴力,精神を病んで休職や離職をする教師の増加……。様々な課題を抱える学校現場にとって,今必要なのは,子どもと教師の心持ちを前向きに戻すことです。挫折をしても回復を果たす,強くしなやかな心を目覚めさせることです。折れない心,回復する心を育てるレジリエンス教育は,今後ますます重要度を増してくるに違いありません。


  2018年6月   /中嶋 郁雄

著者紹介

中嶋 郁雄(なかしま いくお)著書を検索»

1965年,鳥取県生まれ。1989年,奈良教育大学を卒業後,小学校の教壇に立つ。

「子どもを伸ばすためには,叱りが欠かせない」という主張のもとに,「『叱り方』研究会」を立ち上げて活動を始める。

教育関係者主催の講演会,そして専門誌での発表が主な活動だったが,噂が噂を呼び,大学や一般向けにも「心に響く叱り方」といったテーマで,セミナーを行うようになる。

新聞や経済誌などにも「叱り」について意見を求められるようになる。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
    • この商品は皆様からのご感想・ご意見を募集中です

      明治図書
    • 内容が具体的であった。
      2018/9/17小学校教員
    • 教師がくじけない心を育てる、という副題に惹かれて本を購入しました。期待通りの内容で買ってよかったです。
      2018/8/160代中学教師
    • 子供を指導をする上で、保護者とつながる上で、同僚とつながる上で気をつけるべきポイントがわかりやすく書かれていた。
      2018/8/120代・中学校教員
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