- はじめに
- 横浜市小学校国語教育研究会会長 /永池 啓子
- 巻頭言
- 横浜市立港北小学校長 /藤村 幸秀
- 序
- 京都女子大学発達教育学部教授 /井上 一郎
- 第1章 思考力を育成して「書くこと」の能力をアップしよう
- 第2章 思考力育成のしかけが満載!「書くこと」の授業プラン22
- 1 想像したことなどを基に書く
- 物語
- 1 お話をつくって友だちに読んでもらおう
- 2年/順序付ける・つなげる
- 2 作家になって冒険物語を書こう〜お話の組み立てを考えて〜
- 3年/比べる・関係付ける
- 3 ファンタジーブックを作って読み合おう〜物語をつくろう〜
- 5年/分析する・関係付ける
- 詩
- 4 詩で思いを伝えよう
- 3年/組み合わせる・着目する
- 5 野原の仲間,大集合!〜わたしは野原の○○。思いを詩で伝えよう〜
- 4年/選ぶ・着目する
- 6 自分のメッセージが,読者にしっかり伝わる詩集をつくろう!〜表現を工夫して,自分の思いを伝えよう〜
- 6年/関連付ける・広げる
- 随筆
- 7 十二歳の今,わたしは ぼくは〜仲間や家族に自分の成長や感動を伝える卒業エッセイを書こう〜
- 6年/見通す・関連付ける
- 俳句
- 8 修学旅行の思い出を俳句に詠もう
- 6年/整理する・評価する
- 2 経験したり調べたりしたことなどを基に書く
- 観察記録文
- 9 かんさつしたことをきろく文にまとめて家の人につたえよう
- 2年/比べる・つなげる
- 報告文
- 10 はかせになって,家の人に「なるほど,そうだったのか」と言ってもらえる「はてなかいけつほうこく書」を書こう
- 3年/比べる・組み合わせる
- 11 われら四年二組調査隊!クラスの読書生活を調べて,報告書にまとめよう〜グラフや表を使って〜
- 4年/整理する・関係付ける
- 12 ごみについて調べたこと,学んだことを新聞にまとめ,全校に伝えよう
- 4年/選ぶ・整理する
- 13 文の構成を考えたり,書き方を工夫したりして,保護者に分かりやすい報告書を書こう〜四千四百円の活動報告書〜
- 5年/分析する・関連付ける
- 3 事物のよさを伝えたり案内したりする文章を書く
- 紹介文
- 14 学校のすてきなところを文に書いて伝えよう〜すてき・大すき ○○小学校〜
- 1年/集める・つなげる
- 15 もっともっとなかよし二年一組になろう〜友だちのきらりを見つけてクラスのなかまにしょうかいしあおう〜
- 2年/整理する・探す
- 16 見て!読んで!丸わかりリーフレット〜調べたことを写真と文章で伝えよう〜
- 4年/分類する・組み合わせる
- 17 わたしたちの総合を宣伝しよう!〜表現を工夫して動物園クイズラリーの宣伝ポスターを作ろう〜
- 5年/分析する・関連付ける
- 18 五年生に修学旅行の魅力を伝えるガイドブックを作ろう〜集めた情報を選んで書こう〜
- 6年/見通す・区別する
- 4 説明する文章などを書く
- 説明文
- 19 せつ明文でつたえよう,おもちゃの作り方
- 2年/思い出す・つなげる
- 20 こん虫のおどろいたこと・発見したことをせつ明しよう
- 3年/分類する・関係付ける
- 21 集めたしりょうを使って昔の道具の進歩をせつ明しよう
- 3年/整理する・関係付ける
- 5 意見を記述した文章を書く
- 意見文
- 22 意見文で伝えよう,わたしの考え
- 5年/選択する・関連付ける
- 付録 「書くこと」の授業プラン別モデル文
- おわりに
- 横浜市立鳥が丘小学校長 /岩間 和子
はじめに
弛まず歩み続ける実践家に
横浜市立小学校国語教育研究会会長 /永池 啓子
最近『21世紀型スキル』という言葉をよく耳にするようになった。それは,2015年PISA調査から測定予定の能力である。「変化に合わせていろいろなことが必要になったときに学び直す,生涯学び続けることができる力」と三宅なほみ(1)先生は答える。さらに「21世紀の社会は知識も技術の環境もすごい速さで変わっており,想定外の問題が次々と起こる社会,環境問題や経済,国際問題などでも意見の違う人たちが集まって知恵を出し,討論し,その時点で考えられるベストの解を出して,どこまでいけるか確かめつつ,ゴールに近づいたらそのゴールを見直しながら進む,そういう時代になっている。だから,教育も決まった答えを教員が教えていくのではなく,子どもたちが答えを見付けたり,同時に問題点を発見したり,グループ同士でコミュニケーションをしながら解法を共有し,知を再構築していくプロセスが大切になってくる。小中学校段階からそういう力を育むことが大切になっている。」(DISCO.2012.1)と述べている。
前書『「読むこと」の授業プラン&ワークシート』(明治図書,2012)から本書に至るまで継続して横浜市小学校国語教育研究会課題研究部へのご指導を頂いている井上一郎(2)先生から,最初に,これからの時代に求められる「自ら学ぶ力」として,三つの力を明確にするようにご指導を受けた。それは,「学ぶことを学ぶ・考えることを学ぶ・言葉を学ぶ」である。日本の児童の課題は正しく本市の課題でもあり,課題研究部の今後目指す学力が定まった。学習指導要領の提言「思考力・判断力・表現力の育成」と軌を一にする力である。
阿山美香部長を中心とした16名の部員たちが,「目の前の子どもたちに確かな力を付けたい。子ども一人一人が存分にその子のもつ力を発揮する輝きや高まりをみたい。」その一念で,豊かな言語活動の中で「思考力の育成」と結合した「書くこと」の授業創りに挑戦を続けた。前書からかかわり通算すると4年以上所属している部員たちが大半を占める。その謙虚で弛まぬ研究への努力には頭が下がる。心から敬意を表したい。
最後に,井上一郎先生には,課題研究部の指導のみならず文部科学省教科調査官時代から通算すると本市へのお導きは,10年以上にも及ぶ。深謝の限りである。特に京都に移られてからは京都からの横浜への往還によるご指導である。先生のいつも変わらない言葉は「困っている子はいないか,学ぶこと(学校)を楽しんでいるか」,その言葉を耳にするたびに,何よりも教師として大切なことは弛まぬ実践を続けることと意を新たにしている。本書に序文まで寄せてくださったことに心より感謝を申し上げたい。未来を担う子どもたちが生涯を幸せに生き抜く力を付けることに邁進することで,少しでもその恩に報いていきたい。本書が全国の教室に広がり,思考力の育成が絶えず意識されて指導されていくことを願ってやまない。
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1 三宅なほみ先生
東京大学大学院教育学研究科教授,ATC21s(Asseesment and Teaching of 21stCentury Skills 21世紀型スキルを提唱し,内容や評価方法について研究を進めているプロジェクト)の委員
2 井上一郎先生
前文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官・国立教育政策研究所教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官・学力調査官,現京都女子大学発達教育学部・大学院発達教育学研究科表現文化専攻教授,国語教育学者,2008年告示「小学校学習指導要領」作成に従事
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