- まえがき
- T 新子ども理解の方法
- 一 子どもを理解する3つの方法
- 二 地域が人を育てる―流行から見た地域性
- 三 地域が人を育てる―県民性はどうして生まれるか
- 四 使える異業種からの経験則
- 五 日本ザルの研究成果から人間理解へ
- 六 IT時代の子ども調査研究のあり方
- U 子どもの生活実態ウオッチング
- ──ここを見れば“子どもがわかる”──
- 一 食欲は十分か
- 二 体力は大丈夫か
- 三 小遣いの額は多すぎないか
- 四 テレビ視聴時間は多すぎないか
- 五 お手伝いはしているか
- 六 子どもは「宿題依存症」になっていないか
- V 人間関係の中の子どもウオッチング
- ──集団の中で見れば“子どもがわかる”──
- 一 流行のサイクルは短くなった
- 二 流行の担い手はどんな子どもか
- 三 クラスの人気者が変わった
- 四 「1人ぼっち」の発見
- W 子どもの「ウラ社会」ウオッチング
- ──大人のいないところで“子どもは何をしている?”──
- 一 けんかができない子ども
- 二 落書き文化は生きているか
- 三 すたれた昔の「買い食い」行動
- 四 遊びが非行の早期発見
- X 子どもウオッチングの原則
- ──ウオッチングの対象と方法──
- 一 ウオッチングの対象
- 二 ウオッチングの方法
- Y 子どもウオッチングの具体的技術
- 一 ソシオメトリーで人間関係を測定する
- 二 定点観察法で子どもの遊びを調べる
- 三 簡便なアンケートで子どもの実態を探る
- 四 面接調査で1人ひとりを理解する
- 五 文章完成法、自由ノートからホンネを探る
- 終わりに生きる力を持った子どもの育成を目指して
- あとがき
まえがき
なぜ今回12年ぶりに「子ども理解のウオッチングの技術」を出すことにしたか。
3つの理由がある。
1つは、子どもを全国的な視点から捉え直すことが大切になった。これまで多くの子ども調査が行われてきた。しかし全国的な規模での調査は少ない。
それはなぜか。第1に費用的に金額がかさむ。第2に全国的な調査を可能にする簡便な調査方法がなかった。
ところが、IT時代の調査方法をTOSS子ども調査研究所が開発した。毎月、一度に全国の8000人あまりの子どもたちの調査が可能になった。例えば、全国の子どもたちの間で何が流行っているか、調べることができる。
2つ目は、子どもたちを育てる地域色に注目したかった、からである。
情報化時代は地域のカラーを薄めるといわれた。どこにいっても「金太郎飴」みたいで、特色が消えたという。
それゆえか、地域の特色を探そう、あるいはつくろうという動きがある。例えば、地域の特色をいかした学校づくり、地域の人材バンクづくりというように「地域」がキーワードになっている。
しかし地域をどう捉えればよいかの視点が乏しい。そこで今回は日本の地域色はなぜ生まれたか、を示した。
3つ目は異業種からの経験則に学ぶ、大切さを提起したかったからである。
教育界が生み出した経験則は多い。と同時に異業種の生み出した経験則も多い。しかし教育の世界では他から学ぶという姿勢が乏しかった。
動物行動学やおもちゃメーカー、それから雑誌編集の世界から子ども理解をするとき参考になる、ことが多い。
なかでも日本ザルの研究の成果やテレビCM、漫画雑誌の編集からヒントをえることができる。
子どもは日々に変わる。それに対して、漫然と見つめているだけでは子どもの変化に追いつけない。子どもの動きを理解できない。
子どもの動きの速さに接近するには、見る視点を持たねばならない。それがウオッチング(観察)である。
ウオッチングの技術があれば、心の奥底を覗くことは無理でも、子どもに接近でき息づかいはキャッチできる。子ども理解の基礎基本が身に付くのである。
今回、旧版の視点に新たな視点を付け加えて子ども理解の方法を提示した。T章と「終わりに」が新しくつけ加えたものである。
ウオッチングの技術を身に付けて、新・新人類といわれる子どもたちとパートナーシップをもって歩みたいものである。
2002年月
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明治図書
















