- はじめに
- 壱 数学の授業に和算を取り入れよう!
- 吉田光由の『塵劫記』
- 『塵劫記』の発展
- 和算の伝統としての「遺題継承」
- 算聖・関孝和
- 算額奉納
- 和算の教材としての魅力
- 弐 和算でつくるおもしろ数学授業
- 初級編
- 1 絹盗人算のこと
- 2 兄弟年数算のこと
- 3 飛脚算のこと
- 4 『算法助術』からの問題
- 5 東京都渋谷区 金王八幡神社の算額
- 6 岩手県一関市 八幡神社の算額
- 7 虫食い算の問題
- ワークシートの解答例
- 中級編
- 1 亀蛙算のこと
- 2 俵杉算のこと
- 3 入れ子算のこと
- 4 『塵劫記』からの問題
- 5 長野県飯田市 一色神社の算額
- 6 三重県伊賀市 菅原神社の算額
- 7 測量の問題
- ワークシートの解答例
- 上級編
- 1 変形薬師算のこと
- 2 奇偶算のこと
- 3 百五減算のこと
- 4 『算法少女』からの問題
- 5 群馬県高崎市 榛名神社の算額
- 6 京都市中京区 武信稲荷神社の算額
- 7 正五角形の作図の問題
- ワークシートの解答例
- おわりに
はじめに
本書は,中学校の数学授業において,江戸時代の数学―和算にかかわる題材を導入し,江戸の庶民が楽しんだ和算のおもしろさに生徒たちが接することを通して,数学への興味・関心を高め,数学を楽しむ気風が広がることを目的としています。
2012年4月,新教育課程の実施によって,中学校及び高等学校の数学教科書は新しくなりましたが,それらの教科書において和算にかかわる内容が様々に取り上げられています。例えば,ある教科書では,中学1年生用に「数学の歴史 塵劫記」と題して「油分け算」の他,本書でも取り上げた「薬師算」(上級編1),「俵杉算」(中級編2)が解説されていますし,中学2年生用では「数学の歴史 江戸時代の数学」と題して関孝和や『算法点竄指南録』が,中学3年生用では「数学の歴史 算額について知ろう」と題して算額が紹介されています。算額については,本書の第一章で解説するとともに,初級編5,6,中級編5,6,上級編5,6で具体的な問題を取り上げています。
また,高等学校の教科書では,本書でも取り上げた「百五減算」(上級編3),「正五角形の作図」(上級編7),「虫食い算」(初級編7)などを扱っているものもあります。
さらに,2012年4月に実施された全国学力・学習状況調査では,数学Bにおいて,有名な和算書『塵劫記』から,相似を利用して木の高さを測定する問題(たち木の長をつもる事)が出題されるなど,近年,和算は数学教育の場で一層注目されています。
本書では,第一章において和算の概要を解説するとともに,和算の教材としての魅力を紹介しています。そして,第二章においては,和算の問題を初級,中級,上級に分類し,それぞれ7問ずつ合計21問取り上げていますので,教室の実態に応じて活用していただきたいと思います。
また,本書は2006年7月に明治図書から出版された『数学大好きにする“オモシロ数学史”の授業30』の姉妹編であり,その「お話(話材)+授業展開例+ワークシート」という構成を踏襲しています。ワークシートは,そのまま印刷して実際の授業で使用することができます。
最後になりましたが,本書の執筆の機会を与えてくださった明治図書出版と,編集でお世話をおかけしました矢口郁雄さん他皆様に,厚くお礼申し上げます。
2013年8月 /上垣 渉
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- 明治図書
- 和算について一から学ぶことができました。2020/8/1120代・中学校教員
- 非常にいい2019/7/1340代 数学科
- 指導展開例やワークシートも載っていて使いやすい。2017/5/2850代・中学校教諭
- 生徒の興味を引く話題があり、授業で活用させてもらいました。2015/9/1640代・中学校教員