- はじめに
- 第1章 授業力をアップする! つまずき指導のアイデア
- 1 学習指導要領が目指すものとつまずきの指導
- 2 どの子も,分かる!できる!を目指して
- 第2章 1年の授業とつまずき指導のアイデア
- 4月
- 【かずと すうじ】フラッシュカードで数を唱えよう
- 【かずと すうじ】数を数えて大小を比べよう
- 5月
- 【なんばんめ】動作をしながら理解しよう
- 【いくつと いくつ】10の補数を唱えよう
- 6月
- 【いろいろな かたち】とことん触って言葉にしよう
- 【ふえたり へったり】エレベーターにして考えよう
- 【たしざん(1)】「ふえる」の操作をしよう
- 7月
- 【ひきざん(1)】数図ブロックを操作して考えよう
- 【ひきざん(1)】お話をしながら式をつくろう
- 9月
- 【20までの かず】「デカ数図カード」に変身させよう
- 【おおきさくらべ(1)】ひもを使って比べよう
- 10月
- 【3つの かずの けいさん】3つの数を○図にかき表そう
- 【たしざん(2)】計算の仕方を言葉でまとめよう
- 11月
- 【かたちづくり】パーツに分けて作ってみよう
- 【ひきざん(2)】ひく数を一度にひき去ろう
- 【ひきざん(2)】ひく数に着目して計算しよう
- 12月
- 【たすのかな ひくのかな】言葉と絵と式を結び付けて考えよう
- 【ものと ひとの かず】視覚化して考えよう
- 1月
- 【大きい かず】唱えながら数のきまりをみつけよう
- 【大きい かず】お金を並べて数えよう
- 2月
- 【100までの かずの けいさん】数え棒を意識しよう
- 【おなじ かずずつ】順番に図にかいて考えよう
- 3月
- 【おおい ほう すくない ほう】数図ブロックをおいてみよう
- 【おおきさくらべ(2)とけい】みじかいはりを大切にしよう
- 第3章 2年の授業とつまずき指導のアイデア
- 4月
- 【ひょう・グラフと 時計】午前と午後に分けて考えよう
- 【たし算と ひき算】フラッシュカードと図で考えよう
- 5月
- 【長さ】こぶしを並べて考えよう
- 【たし算と ひき算の ひっ算(1)】ひかれる数とひく数の色をかえよう
- 6月
- 【かくれた 数は いくつ】かくれた数を意識して解こう
- 【1000までの 数】目盛りの大きさに目をつけよう
- 7月
- 【かさ】かさを目で確かめて計算をしよう
- 【かさ】量感をつかみとろう
- 9月
- 【たし算と ひき算の ひっ算(2)】繰り上がる数を意識しよう
- 【たし算と ひき算の ひっ算(2)】声に出して計算しよう
- 【ふえたり へったり】増減の部分を取り出そう
- 10月
- 【計算の じゅんじょ】はじめに言葉をおさえよう
- 【かけ算(1)】ブロック図と言葉と式で考えよう
- 【かけ算(1)】意味理解に迫る九九作りをしよう
- 11月
- 【かけ算(2)】かけ算探しをしよう
- 12月
- 【よみとる算数(2)】数量を取り出し,問題を整理しよう
- 【三角形と 四角形】三角形を直線で分けよう
- 1月
- 【九九の きまり】九九の表を対角線で折り曲げよう
- 【100pを こえる 長さ】テープに置き換えよう
- 2月
- 【10000までの 数】お金にかえて考えよう
- 【はこの 形】スタートマークを付けて,調べよう
- 3月
- 【何番目】図をかいて,問題を解こう
- 【分数】同じように2つに分けよう
- 【分数】1/2はいろいろあることに気付こう
- 第4章 3年の授業とつまずき指導のアイデア
- 4月
- 【九九の表とかけ算】得点を予想してみよう
- 【わり算】穴あき九九を使って考えよう
- 5月
- 【円と球】円が組み合わさった図と比べよう
- 【みんなで話しあいましょう】球の直径がいくつ分あるか考えよう
- 6月
- 【かくれた数はいくつ(1)】絵や線分図をもとにして関係図をつくろう
- 【たし算とひき算の筆算】計算棒の操作から理解しよう
- 7月
- 【一億までの数】数直線の1目盛りの大きさを考えよう
- 【たし算とひき算】繰り上がるかどうか見通しをもとう
- 9月
- 【時間と長さ】時間を数直線で考えよう
- 【あまりのあるわり算】あまりの表と図を使って考えよう
- 10月
- 【何倍でしょう】テープ図を作りながら考えよう
- 【計算のじゅんじょ】数字を色分けして考えよう
- 【三角形】二等辺三角形をイメージしてかこう
- 11月
- 【1けたをかけるかけ算の筆算】繰り上がりを忘れないようにしよう
- 【重さ】大きい目盛りから読もう
- 12月
- 【分数】分数のたし算の意味を考えよう
- 1月
- 【べつべつに,いっしょに】まとまりを考えて解こう
- 【計算のきまり】カードを使って考えよう
- 【表とグラフ】「\」で消して「正」をかこう
- 2月
- 【小数】線分図を数直線に結び付けよう
- 【小数】図で筆算を考えよう
- 【2けたをかけるかけ算の筆算】位に気をつけて計算しよう
- 3月
- 【□を使った式】数当てゲームで式をみつけよう
- 【そろばん】9+1から順に考えよう
- おわりに
- 執筆者一覧
はじめに
どの子にも分かる・できることを保証したい。学習指導要領の言葉で言えば,「確かな学力の定着」ということである。算数科では,子どもが「分かる・できる」ことについて明確になる教科である。教師は,子どもの分かるようになる過程,できるようになる過程をもっとしっかり教材分析して授業に取り組みたい。
子どもの誤答すなわちつまずきを分析するということは,分かる過程の分析に他ならない。算数の概念形成は,もとになる定義を教えることとその定義から生まれる性質の探究においてなされる。
子どもは,定義と性質の蓄積の過程において,知識や考え方ができあがる。ところが,新しい算数の内容を学習するにあたって,既習を使おうとすると,そのままではうまくいかないことがある。その都度,子どもは同化と調節という心理学の機能を使ってつまずきを乗り越えていく。
つまずきは,つまずきとして放置されたら何の意味もなさない。つまずきは当然あるものだとして,子どもを理解していくことである。そう考えると,つまずきは返って成長の糧となる。つまり,つまずきを乗り越える子どもを育成したい。つまずきを生かした指導こそが,真の算数科の指導である。教師はつまずきを怖がってはいけない。
このようにつまずきを分析し,生かす指導をすることはとても大事なことである。ところが,現在,算数科の研究においてつまずきに関する書物はとても少ない状況にある。どんなつまずきが授業で現れるのか,どのような手立てでつまずきを解消できるのか,また,つまずきを生かした指導ができるのか,これらのことを知ろうにも書物が少ない。そこにスポットを当てたのが本書である。
本企画は,『楽しい算数の授業』の2年間にわたる「つまずきを生かした指導」の連載から生まれたものである。この度,当時の連載のとりまとめ役だった鈴木正則校長にお願いして,新教育課程に準拠したものに書き換えてもらった。この作業は,困難を極めた。ご存じのように,新教育課程では,第1に算数的活動の重視,第2に基礎的・基本的な知識及び技能の習得,第3に思考力・判断力・表現力の育成がうたわれている。この方向で教科書の内容が大幅に変更されたからである。本書の「つまずきの指導」もこれらの変更にしたがって,何度も原稿の書き直しをして,会議で審議してできあがってきた。2年間の月日を費やした。そのかいあって,とても充実した内容となっている。
最後になりましたが,編著者の鈴木正則校長,執筆者の皆様に原稿書きでお骨折りいただいたことに感謝申し上げます。また,明治図書の木山麻衣子氏にも長い間お待ちいただき,ありがとうございました。
平成25年4月 監修者 愛知教育大学 /志水 廣
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