- まえがき
- 第1章 一人ひとりのニーズに応じた指導の充実を願って
- 第2章 [小学校国語・算数] 個に応じた指導に役立つ教材・教具
- *国語*聞く
- [1] ことばの聞き分け―周りの環境音と人の話し声の区別が困難―
- 聴覚認知セット
- [2] 話の聞き分け―聞き漏らしや聞き間違いがある―
- ぶんカード
- [3] ことばの理解―単語を聞いてもイメージがつかめない―
- スリーヒントゲーム
- [4] 話・指示の理解―話や指示の内容を覚えきれない―
- 命令ゲームカード
- [5] 音韻操作―ことばを1つひとつの音に分けられない―
- ひらがなことばカード
- *国語*話す
- [6] 語彙―語彙が乏しい―
- 図鑑カード
- [7] 語彙―語彙が乏しい,ことばに詰まってしまう―
- なぞなぞを作ろう
- [8] 語彙・話の文法的構成―文法表現が分からない―
- 「でも」「それで」「なぜなら」を使ってお話を続けよう
- [9] 会話―テーマに沿った会話ができない―
- 発表のことばを覚えよう
- [10] 会話―会話が単語の羅列になってしまう―
- 1週間のニュース発表
- *国語*読む
- [11] 文字の読み―特殊音節を含むことばの読み書きができない―
- わくわくプリント
- [12] 文字の読み―漢字を正しく読むことができない―
- 漢字イラストカード
- [13] 文章の音読―文章を単語のまとまりで読むことができない―
- 助詞・ことば見つけプリント
- [14] 文章の音読―文字や行をとばして読んでしまう―
- 追従性眼球運動トレーニングソフト
- [15] 文章の読みとり―文章の要点を正しく読みとることができない―
- 4コマまんがプリント
- *国語*書く
- [16] 姿勢保持―姿勢が保持できず,文字をうまく書けない―
- ムービングクッションJr./ どこでも斜面台
- [17] 鉛筆の使い方など―鉛筆のコントロールが難しい―
- プニュグリップ/ ぬりまるくん
- [18] 字形―拗音を正しく表記することができない―
- 音のかくれんぼ/ かたつむりすごろく
- [19] 文の組み立て―文章の組み立てができない―
- おはなし読解ワーク(中級編)
- [20] 文の組み立て―助詞が抜けたり誤ったりする―
- わくわくワーク ことば
- ここで紹介している国語教材のまとめ
- *算数*数と計算
- [21] 足し算・引き算―繰り上がりの足し算ができない―
- ぱたぱた繰り上がりボード
- [22] 足し算・引き算―繰り上がり・繰り下がりの筆算ができない―
- 計数そろばん
- [23] 掛け算―掛けられる数が2桁以上の乗法ができない―
- 掛け算筆算ヒントカード
- [24] 分数―帯分数⇔仮分数の意味や計算手順が理解できない―
- 帯分数⇔仮分数 決まりを見つけてGO!
- *算数*数量関係
- [25] 大小―数量の比較や数の大小の判断ができない―
- 磁石すうじ盤30/ かずカード
- [26] 表とグラフ―表やグラフを読み取れない―
- 学級ですぐに使える表・カード/ ドラえもんの算数おもしろ攻略「式とグラフがわかる」
- [27] 比―比の理解ができない―
- 特別支援の算数教材・上級編
- [28] 割合―割合の理解ができない―
- 特別支援の算数教材・上級編
- *算数*量と測定
- [29] 長さ・重さ―長さを測ることができない―
- パタパタ定規
- [30] 長さ・重さ―定規の目盛りを読むことができない―
- 長さを測る定規
- [31] 時刻・時間―時間の計算ができない―
- 24時間時計
- [32] 角度―角度を測定できない―
- 特製分度器
- *算数*図形
- [33] 平面図形―平面図形が描けない―
- 点画,点図,定規,コンパスを使って
- [34] 垂直と平行―垂直と平行が描けない―
- 三角定規を2つ使って
- [35] 立体図形―立体図形が描けない―
- サイコロの分解・組み立て
- [36] 作図―作図が描けない―
- ○△□シート
- *算数*文章題・推論
- [37] 文章題―数量に関する立式ができない―
- 文章題のヒントカードたし算・ひき算の文章題
- [38] 文章題―加法,減法の立式ができない―
- たしざる,ひきざる
- [39] 文章題―小数の乗法及び除法の立式ができない―
- わりあいとわかりやすいシート
- [40] 文章題―割合に関する立式ができない―
- 文章題のヒントカード高学年の文章題(割合)
- [41] 文章題―公式を使い分けることができない―
- 公式ブック
- ここで紹介している算数教材のまとめ
- 資料*自作教材の作り方
- @ *国語*聞く 命令ゲームカード
- A *国語*話す なぞなぞを作ろう
- B *国語*話す 「でも」「それで」「なぜなら」を使ってお話を続けよう
- C *国語*話す 発表のことばを覚えよう
- D *国語*話す 1週間のニュース発表
- E *国語*読む 助詞・ことば見つけプリント
- F *国語*読む 4コマまんがプリント
- G *国語*書く かたつむりすごろく
- H *算数*数と計算 ぱたぱた繰り上がりボード
- I *算数*数と計算 掛け算筆算ヒントカード
- J *算数*数と計算 帯分数⇔仮分数 決まりを見つけてGO!
- K *算数*量と測定 パタパタ定規
- L *算数*量と測定 長さを測る定規
- M *算数*量と測定 24時間時計
- N *算数*量と測定 特製分度器
- O *算数*図形 点画,点図,定規,コンパスを使って
- P *算数*図形 三角定規を2つ使って
- Q *算数*文章題・推論 文章題のヒントカードたし算・ひき算の文章題
- R *算数*文章題・推論 文章題のヒントカード高学年の文章題(割合)
- S *算数*文章題・推論 公式ブック
- *教材・教具一覧
- あとがき
まえがき
2002年の文部科学省の全国的調査で,LD,ADHD,高機能自閉症等の発達障害の可能性のある児童・生徒が6.3%在籍しているという推計値が示された。この児童・生徒の大半は,通常の学級で学んでおり,通常の学級における特別支援教育体制の整備,特に通常の学級における発達障害のある子ども達に対する指導法の充実・確立が喫緊の課題となっている。発達障害のある児童・生徒が持つ学習上・行動上の困難は多様であり,個々の特性や困難をきちんとアセスメントし,一人ひとりのニーズに応じた適切な指導を行っていくことが必要である。
このように通常の学級においても,指導力の向上や個に応じた指導が求められるようになってきたが,発達障害のある児童・生徒が持つ学習上・行動上の困難は多様である。一方,学校内のチーム支援体制や学校外からの支援体制は現状不十分であり,どのように指導したら良いのか分からない,という現場の教員の方の声を聞くことが多くなってきた。
本書は,そのような教員の方々の声に応え,発達障害のある個々の児童・生徒が示す学習上の困難を体系的に整理し,個々の困難と困難の要因に合わせた指導に役立つ教材・教具をご紹介している。本書では,学習の基本でもある国語と算数に焦点を当て,現場経験が豊富で実績のある名人クラスの先生に執筆をお願いして,実践の中から生まれた自作教材や指導効果が高かった教材・教具を厳選して掲載し,その先生方の秘伝の技も公開していただいた。
教材・教具は,決して「万能薬」ではないので,どのような子どもに,どのように使うかにより,指導効果が違ってくる。まずは,子どもが示す表面的な困難だけでなく,困難の要因を把握し,それに合わせ,教材・教具を選んだり,指導法を工夫したりすることが必要である。また,教材・教具が持つ意図を理解し,指導技術を高め,工夫を加える事により,より高い指導効果が得られるのである。
10年ほど前,当時の文部省の報告書に,「学習障害児に共通した一般的な指導方法は現時点では確立されていない。」と書かれ,悔しい思いをした。子ども達が持つ困難を体系化し,それに合わせた指導法や教材・教具を整備すれば,指導法の確立に繋がるのではないかと考え,2007〜2008年に,親の会の研究事業として取り組み,一定の成果を示す事ができた。それがきっかけとなり,本書の提案をいただいた。「お手伝いはできるかもしれないが,専門家でもない私には無理」と当初固辞したが,出版社の方の熱意に押され,「保護者の願いを込めたものなら」ということで,最終的にお引き受けした。
最後に,本書を出版するにあたり,お忙しい中執筆をして下さった先生方,わがままな注文を受け止めしっかりとまとめて下さった明治図書の佐藤智恵氏に深謝したい。
2010年6月 編著者を代表して /山岡 修
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- 明治図書