目次
- まえがき
- 第１章 プロ教師の「教員としての心得や服務」とっておき対応術
- ① 「もっと教員らしい服装をしなさい，また，言葉遣いにも気を付けるように。」と教頭から注意を受けてしまいました!!〈高校〉
- ② 同僚の先輩から，「教材研究が不足している。」と注意された〈中学校〉
- ③ 教頭から，「夏季休業中の研修が教材研究ばかりではダメだ。」と言われた〈高校〉
- ④ 年老いた父親の介護のために，家に近い学校に転勤したい〈高校〉
- ⑤ 校長から，日曜日に地域の行事に参加するように強要された!!〈小学校〉
- ⑥ 担任外の子どもの勉強を見てくれとお願いされたけど，どうしたらいいんですか!!〈小学校〉
- ⑦ 担任するクラスの生徒が，「日曜日にクラス全員で遊園地に行きたい。」と言ってきた〈中学校〉
- ⑧ 管理職から，「教科のサークルに入るように。」と言われたが，どうすればよいでしょうか？〈小学校〉
- ⑨ 自分が所属している地域のソフトクラブチームの責任者から，「学校のグランドを借りることができるように働きかけて欲しい。」と言われた〈高校〉
- ⑩ 学校の体育祭で生徒を指導中に，生徒が足を骨折してしまった〈高校〉
- ⑪ 「子どもが体罰を受けた。」との保護者からの電話。担任として，どう対応すればよい？〈中学校〉
- ⑫ 体育主任として大きな声を出しているつもりだが，同僚や上司から「声が小さい。」と言われます〈小学校〉
- ⑬ 泳ぎが苦手なのに，水泳部の顧問を命じられてしまいました。どうすればよいのでしょうか？〈高校〉
- ⑭ 通勤途中に，軽い接触事故を起こしてしまった!!〈小学校〉
- 第２章 プロ教師の「学級経営」とっておき対応術
- ① 学級開きで，児童の座席を決める際の注意事項は？〈小学校〉
- ② 前年度に，学級崩壊だったクラスの担任を任されることになった!!〈小学校〉
- ③ いじめが原因で登校しなくなってしまった生徒に，どう対応していいか分かりません！〈中学校〉
- ④ 学級の役員決めで，生徒が積極的に役員をやろうとしないので困ってしまった〈高校〉
- ⑤ 生徒に変なあだ名を付けられ，指導にも影響して困っている〈高校〉
- ⑥ 『「友達先生」になっており，もっと教員としての威厳を保たないと生徒が指導に従わなくなる。』と先輩教師から注意された!!〈高校〉
- ⑦ 清掃をサボる児童（生徒）がどんどん増えて，学級担任としての指導力が問われている〈小学校〉
- ⑧ 授業中に暴言を吐く生徒。授業がうまくいきません〈中学校〉
- ⑨ 万引きを繰り返す児童・生徒がいて，指導がうまくできない〈小学校〉
- ⑩ 教室から，現金や電子辞書などの貴重品がなくなる事件が頻発している〈高校〉
- ⑪ 遅刻の原因を分析！ 遅刻は生徒の乱れのサインです！〈中学校〉
- ⑫ 学級内の女子にグループが２つあり，何かにつけて対立し，互いに担任が相手側を贔屓すると訴えてくる〈中学校〉
- ⑬ これからの時代に必要な「話し合いの能力」を，生徒にどう付ければよいか〈高校〉
- ⑭ 保護者会で，担任する児童（生徒）の保護者から「先生が嫌いだ。」と言っていると訴えられた〈小学校〉
- 第３章 プロ教師の「授業指導」とっておき対応術
- ① 生徒が始業時に，席に着かず騒いで授業が始められない〈高校〉
- ② 生徒の半数近くがノートを活用していない。どうしたらよいのか。生徒への具体的な指導を教えて欲しい〈中学校〉
- ③ 管理職から「指導と評価の一体化」と言われたが，具体的に何をすればよいのか分からない!!〈小学校〉
- ④ 授業中に児童が興味を失い，騒ぎ出したり，勝手に立ち歩いたりしてどうすればよいのか分からない!!〈小学校〉
- ⑤ 授業中に興味を失って騒ぎ出したり，勝手に立ち歩いたりする子の指導〈中学校〉
- ⑥ 活発なクラスでよく反応して活気のある授業だと思っていたら，隣接クラスから騒がしすぎると文句を言われた〈高校〉
- ⑦ 生徒の思考過程が分かるような指導の手立てを工夫したい〈高校〉
- ⑧ ベテラン教師が，授業グッズを効果的に駆使しているのを観察した。自分もあのようにうまく授業グッズを活用できるようになりたい〈高校〉
- ⑨ 板書が汚い，読みにくいと生徒から指摘がありました。効果的な板書の方法は，どうしたらよいのですか？〈中学校〉
- ⑩ 前年度の修学旅行で，生徒の班行動で目的地に行かない，帰りが極端に遅くなるなど，指導計画に不備があった。今年の計画はどう立てるか〈高校〉
- ⑪ 小学校の体育の授業で，集団行動の指導がうまくいかない!!〈小学校〉
- ⑫ 宿題について，「多すぎる。」「少なすぎる。」「よくできない。」との反応があり，適切な出し方がよく分かりません〈中学校〉
- ⑬ テストのつくり方がよく分からず，市販のテストを参考にしてお茶を濁している〈高校〉
- ⑭ ４つの観点での評価がよく分からず，主観的に成績を付けているような気がする〈中学校〉
- ⑮ 他のクラスと同一のテストをしたら，自分が担当しているクラスのみが極端に平均点が低くなってしまいました〈高校〉
- ⑯ キャリア教育や英語活動など，苦手な分野（教科）の推進担当をすることになったが，正直何から始めていいか分からない!!〈小学校〉
- ⑰ 「通知表の評価・評定に不満がある。」と保護者からクレームが付いた〈中学校〉
- ⑱ 先生方を集めて，お互い研鑚する授業研究会を立ち上げ，継続したい!!〈高校〉
- 第４章 プロ教師の「地域・保護者への対応」とっておき対応術
- ① 進級に当たって，「Ａさんとだけは同じクラスにしないでくれ。」と保護者から要望された〈高校〉
- ② クラスの保護者から，『子どもを下校時に車で送って欲しい。』と言われてしまった！ どうすればいいでしょうか？〈小学校〉
- ③ 保護者会で，「学級通信が面白くなく，情報が伝わってこない。」とクレームがあった〈中学校〉
- ④ 子どもの態度が悪いからとＡ先生から「学校に来なくてもいい。」と暴言を受けたので学級担任として，何とかして欲しいとの電話を受けた〈高校〉
- ⑤ 「修学旅行の費用が，個人旅行に比べると高すぎる。業者と癒着しているのではないか。」と苦情が来た〈高校〉
- ⑥ 友達同士の言い争いと安易に捉えていたところ，片方の生徒の保護者から「子どもがいじめられている。」と訴えがあった（放置していて教育委員会まで～）〈中学校〉
- ⑦ 体育の授業中にマットに着地する際，足を挫いてしまった。「体育の教員の指導が十分でなかった。」とのクレームがあった〈高校〉
- ⑧ 部活動の試合の選手選出で，自分の子どもを選手にするように強要された〈中学校〉
- ⑨ 家庭訪問（保護者面談）に仕事の都合で，どうしても会えないと拒否された〈小学校〉
- ⑩ 児童同士のトラブルで，保護者が相手を非難し合っている。どうすればいいか〈小学校〉
- ⑪ 遅刻が多いので，「家庭での生活を見直して欲しいと連絡したら，学校に言われる筋合いではない。」と逆に怒鳴られた〈高校〉
- ⑫ 初任者で，最初の保護者会でどのように保護者に話せばいいのか，正直よく分かりません!!〈小学校〉
- ⑬ 特別な支援を要する児童（車イスで学校生活を送っている）について，保護者の協力を仰ぐには，どうすればいいのか分からない!!〈中学校〉
- ⑭ 学校応援団の人に，どう接してよいのかが分かりません。どうすればいいでしょうか？〈小学校〉
- 第５章 プロ教師の「その他の事例」とっておき対応術
- ① 「進学について，学力を考えずに，最難関の学校を受験する。」と言って，クラス担任の指導を拒否している!!〈中学校〉
- ② 教材費をいっさい払おうとしない保護者に，どう対応したらよいですか!!〈小学校〉
- ③ 保護者から送られてきたクッキーの取り扱いは？ もらってよいものか，送り返すべきか？〈高校〉
- あとがき
まえがき
学校現場には，児童生徒や保護者，さらに地域の方々から，様々な要求が寄せられる。一教師としてそれらに適切に対応することは簡単ではない。
かつて教員の年齢構成に偏りがなかった時代には，新たに教員になったものや教師としての経験の少ないものも，それぞれの学校のベテランの教員から，時には酒の席も含めて，様々なアドバイスをもらうことができた。放課後のちょっとした時間や学校帰りの赤提灯などで，若い教員がベテラン教員に「保護者から，Ａ君はいたずらが多いので，うちの子が迷惑していますと相談を受けちゃいました。Ａ君をどのように指導したらいいでしょうか。」など，日常的な指導上の悩みを打ち明け，アドバイスをもらうこともできた。しかし，年々，教育に期待される内容が増加するとともに，学校でそのような時間的ゆとりが，少しずつ失われ，さらに，児童生徒の急増期に大量採用された教員が退職となり，教職員の世代間の交流が難しくなっているという声があちらこちらで聞こえるようになった。
本書は，教師であれば誰でも経験するような，学校現場で起こる日常的な課題に，それぞれの執筆者がどのように対応してきたかを記録したものである。学校で起こる様々な課題には，その多くの場合に100％の正解と言うものはないかもしれない。結果的には，ああすればよかった，こうするべきだったということはできても，その時点では，思いあぐね，迷い，逡巡して，対応をしていることが多い。本書は必ずしも正解を提示していないかもしれない。迷い，逡巡した思いがつづられているだけかもしれない。しかし，本来教師というものは，よりよい教育を目指して，悩み続けるものなのではないだろうか。
本書が，教師たらんと努力を続ける若い皆さんへの僅かな支えになれば望外の喜びである。
2012年６月 ／永松 靖典
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明治図書
