- 監修のことば
- まえがき
- 第1章 個別の指導計画を生かした授業づくり
- 1 学習指導案のつくり方
- (1) 授業の質や指導力の向上につながる学習指導案づくり
- (2) 学習指導案の書式について
- (3) 子どもの視点に立った授業研究の勧め
- 2 個別の指導計画を生かした授業づくり
- (1) 個別の指導計画と個別の教育支援計画について
- (2) 保護者の願いを反映させた「個別の指導計画」を
- (3) 個別の指導計画と関連づけた「学習指導案」の作成を
- (4) 子どもの育ちを支えるための授業づくり,指導案づくりを
- 第2章 特別支援学校の授業づくりの実際
- 各教科の指導
- 1 【国語/小学部】
- 文を読んで活動しよう〜プレゼントBOXづくり〜
- 2 【国語/中学部】
- 「先生,あのね…」〜言葉でのやりとりを増やしていくために〜
- 3 【国語/高等部】
- 学習発表会を振り返って〜思い出して書こう〜
- 4 【算数/小学部】
- 無人島に伝わる「宝物」をゲットしよう!(一対一対応)
- 5 【算数・数学/中学部】
- 身体を動かし,友達と学ぶ数学(図形編)
- 6 【算数・数学/高等部】
- 時刻を正しく読む
- 7 【音楽/小学部】
- タンバリン(コンガ)を叩こう
- 8 【図画工作/小学部】
- クリスマスの「かざり」をつくろう
- 9 【保健体育/中学部】
- ロングタオルムーブメント
- 10 【福祉/高等部】
- ホームヘルプサービス同行訪問模擬実習
- 領域(別)の指導
- 11 【自立活動/小学部】
- 〈心理的な安定〉順番に課題学習と運動に取り組もう
- 12 【自立活動/中学部】
- 〈人間関係の形成〉〈コミュニケーション〉自分から人にかかわる態度を身につけよう
- 13 【自立活動/高等部】
- 〈人間関係の形成〉〈コミュニケーション〉「障がいとはなんだろう」の授業を通して
- 14 【総合的な学習の時間/中学部】
- 1人1活躍の交流会〜中学生との交流学習〜
- 領域・教科を合わせた指導
- 15 【日常生活の指導/中学部】
- 今日も1日,楽しくすごそう
- 16 【遊びの指導/小学部】
- 「ジャングルランド」で思いきりあそぼう!
- 17 【生活単元学習/小学部】
- 自分の身体の各部位を知り洗えるようになろう
- 18 【作業学習/高等部】
- 一人一人を大切にした授業づくり〜いずよう祭りに向けて〜
- 第3章 多様な子どもに対する授業づくりの実際
- 1 【通常の学級における指導】
- どの子も満足感がもてる国語の授業〜ユニバーサルデザインで授業の工夫を〜
- 2 【通級指導教室/グループ指導】
- 〈自閉症・情緒障害通級:小集団での自立活動〉気持ちを言葉で伝えることで行動の統制を図る〜「感情認知」への指導〜
- 3 【中学校通級指導学級】
- 〈自立活動〉卓球のラリーに挑戦
- 4 【交流及び共同学習】
- 〈特別支援学級と通常の学級〉一緒に育てよう
監修のことば
平成20年に改訂された小学校学習指導要領の解説では,「指導に当たっては,例えば,障害のある児童一人一人について,指導方法の目標や内容,配慮事項などを示した計画(個別の指導計画)を作成し,教職員の共通理解の下にきめ細かな指導を行うことが考えられる。」と個別の指導計画の作成について初めて学習指導要領総則に記述された部分についての解説がされている。また,平成21年に改訂された特別支援学校学習指導要領の総則においては「各教科等の指導に当たっては,個々の児童又は生徒の実態を的確に把握し,個別の指導計画を作成すること。また,個別の指導計画に基づいて行われた学習状況や結果を適切に評価し,指導の改善に努めること。」とされ,その作成と活用が義務付けられた。このように,学習指導要領に規定された個別の指導計画は,障害のある児童生徒一人一人の指導に当たって,各教科等の目標や内容,配慮事項などを具体的に示した計画であり,子どもの実態に応じた支援をするために作成される計画であり,単に作成することが目的ではなく,児童生徒の障害の状態等に応じた適切な指導を,計画的,組織的に行うために作成・活用されるものであることに留意する必要があると言える。
ところで,『よい授業』とは,一言で言えば,子どもが「わかった!」「できた!」という達成感を得られる授業である。「学習内容や学習活動がおもしろい」と感じたり,「学んだことが活かせる喜び」を味わいたいという子どもの思いをかなえることが教師の役目であり授業づくりのポイントと言える。こうした『よい授業』の条件は,@指導のねらいがはっきりしていること,A学習課題が子どものものになっていること,B学習内容や活動の見通しをもたせられること,C子どもへの支援が適切であること,D子どもの学ぶ意欲を高めていること,E学習評価が適切であること,等が挙げられる。よい授業の条件を織り込んだ学習指導案づくりは,教師に求められる極めて大切な能力と考えられる。
こうしたよい授業の条件を考えると,障害をもつ児童生徒の指導においては,個別の指導計画を活用した学習指導案に基づく授業が展開されることにより,前述した子どもの思いをかなえることができる。
本書は,個別の指導計画を生かした学習指導案づくりの具体例を,小学部から高等部に至る各教科,自立活動,領域・教科を合わせた指導(日常生活の指導,遊びの指導,生活単元学習,作業学習),総合的な学習の時間,交流及び共同学習,通級による指導などについて具体的な例を示している。学習指導案づくりに,どのように個別の指導計画を生かせばよいかについて,読者の参考に資すれば誠に幸いである。
平成24年9月 監修者 /宮ア 英憲
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- 明治図書