家庭教育ツーウェイ 2004年12月号
集団に馴染んでいますか、チェックポイント

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家庭教育ツーウェイ 2004年12月号集団に馴染んでいますか、チェックポイント

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ジャンル:
その他教育
刊行:
2004年11月8日
対象:
幼・小
仕様:
B5判 80頁
状態:
絶版
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目次

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特集 集団に馴染んでいますか、チェックポイント
子どもは友だちの中で、集団の中で、成長していく
向山 洋一
子どもは集団の中で生きる術を学ぶ
指導とは、無菌状態をつくることではない。問題を乗り切らせることである
吉永 順一
「学校は楽しい」と思えるように
阿部 惣一
子ども集団の変化 実態調査が語るもの
明石 要一
友だちがいっぱいいる子
心根を見抜く子どもの目
関根 朋子
周りのことを自然と気遣うことができる子は、友だちがいっぱい
木佐貫 あかね
「いい気持ち」が友だちを増やす
小田原 誠一
友だちに嫌われる子
幼い頃にたくさんの経験と語りかけを
小倉 郁美
癒しを求める子どもたち
松藤 司
嫌われやすい三つの理由と、その理由に応じた対処指導事項
伴 佳代
ひとりぼっちの子
いじめでなければ長い目で見ましょう
菅原 光敏
一緒に遊んであげる
迫田 一弘
一人がいい子、一人になってしまう子
小瀬村 雅子
友だちとのトラブル 上手な親の対処
トラブルの対処方法を教えよう
青坂 信司
友だちに怪我をさせてしまい、先生から連絡があった
谷 和樹
一番の薬は親が謝る姿を見せること
宇多 幹子
いじめられていると思ったときの先生へのお手紙
できるだけ早く事実を伝えよう
浅川 清
具体的な情報と冷静な論調で、伝えるコツ
石川 裕美
小さなことまで学校に文句を言う親
山ほどある事例である
舘野 健三
子どもの事実をもとに訴える
松岡 宏之
我が子に友だちができたとき
親が仲良くなれば、子どもも仲良くなる
正木 恵子
たった一人でいいんだよ
松垣 和年
集団に馴染んでいますか私のおすすめチェック!
集団の中の良好な関係をチェック
神谷 祐子
まずは、「三つのチェック」をしてみましょう
赤木 雅美
「日常の観察」が発見のポイント
大島 英明
ミニ特集 食育は知育・徳育・体育と並んで大切
食育は教育の大切な一つです
向山 洋一
「食育」とは何かを意識して実践しましょう
槇田 健
噛まなくなったことが成長に大きな影響を与えている
戸井 和彦
食育は、愛情を伝える教育です愛情があるからこそ、体も心も元気になるのです
岡本 綾子
イラストで見る家庭教育のポイント
はい、どうぞ、と言おう
岩野 節男岩野 紀子
家庭教育のポイント
相手の言うことをうけとめ相手にゆずることができる
向山 洋一
編集前記
師尾 喜代子
つぶやきに見る子どもの成長
働く母への思い
水野 茂一
園長が語る子育ての極意
褒め言葉は子育ての潤滑油
山田 秀子
「輝く未来の子どもたち」感動をありがとう
金城 礼子
校長が語る子育ての極意
子育て、五つの大切
脇田 廣
医師 私の子育て日記
親には親としての教育が必要
香川 宜子
医師 普通の家庭教育の大切さ
TVはよくない?
澤口 俊之
ボランティアの心を育てる
人とのふれあいの中でボランティアの心を育てる
藤井 優作
年少のドラマ、年中のドラマ、年長のドラマ
年少/先生の口はヘの字?
河原 佳奈
年中/広がりゆく言葉
山内 幸美
年長/自然は子どもの力を育む
山内 幸美
子どもがピンチの時のとっておきの親の話
お空の上から見てみたら
中濱 麻美
衝撃のドラマ 算数が大の苦手の子が満点をとった
算数が大の苦手な教師が変わった
藤崎 久美子
本筋の心の教育
本に囲まれた環境をつくる
前田 憲明
小1のドラマ、小2のドラマ、小3のドラマ
小1/家庭訪問のドラマ2
藤崎 久美子
小2/開眼「U男流空書き」
酒井 武男
小3/取り組みがゆっくりの子どもへの対応
奥田 純子
佐藤昌彦の紙工作教室
ぴょこぴょこ右!左!
佐藤 昌彦
子ども調査が示す家庭教育のポイント
簡便にできる子どもの体力検査法
明石 要一
SOS 子ども・親が電話相談をする時
学校へ行きたがらない
波多野 ミキ
親子で覚える名文・詩文
岡 惠子
親子で挑戦ペーパーチャレラン
計算だんごチャレラン
伊藤 亮介
インターネット・TOSSランドの活用
絵本の世界で心温まる時間を共有しませんか?
大牧 丈夫
習い始めの漢字・輪郭漢字
幼児、低学年、障害児、英語圏の子どもが熱中し、あっという間に漢字を覚えてしまった
五十嵐 勝義
1年担任の証言・幼児期に何を教えることが大切か
トイレは和式・洋式両方経験しよう
浦ア なるみ
嘘が平気になる前にきちんと叱る・ほめる
大畑 典恵
一日のスタート 朝の大切さを知る
藤本 貴美子
コンクール入賞続出の酒井式描画法 (第9回)
親と子で造るたのしい絵本
酒井 臣吾
お稽古、習わせる時の心得
送り迎え、月謝……親の負担
森川 敦子
すぐれた教材教具の選び方
二重回しに効果絶大
板倉 弘幸
家庭教育の基本
願いごと(夢)を書かせる
椿原 正和
これからの小学校教育
授業技量検定制度(その1)
吉永 順一
シングルエイジ時代(0〜9歳)教育のポイント
幼児の心の中は作品に表れる(下)
水野 美保
読者のページ
編集部ニュース
親子で学ぶインターネット
冬休みは家族でチャレラン大会!
三澤 雅子

集団に馴染んでいますか、チェックポイント

子どもは友だちの中で、集団の中で、成長していく

向山洋一

本誌編集長/日本教育技術学会会長/千葉大学非常勤講師

無料の世界最大の教育情報サイトインターネットランド主宰

TOSS(会員1万名の教師の研究団体)代表


 一 一年生はケンカが強い子が幅をきかせる

 子どもは、集団の中で育ちます。

 小学校一年生に入学してくる子の中には、「自分勝手」の子もけっこういます。

 給食の順番を、守ることができない。

 遊びのルールを守れない。

 「好き勝手」にやる子もけっこういるのです。

 当然ながら、ケンカになります。

 小学校一年生の頃は、力の強い子、ケンカの強い子の意見が通ります。

 「自分勝手」が通用することも多いのです。

 「負けた子」は、先生に訴えます。

 先生は「ルール違反」を叱って、教えさとします。

 その場はおさまるのですが、すぐにまた同じようなことが生じます。

 休み時間は、子ども達だけの世界。

 先生は、そこにいないのです。

 だから「自分勝手」「トラブル」「先生登場」がくり返されます。

 この流れの中で「ルール」を守るようになっていくのです。

 でも、何人かは「自分勝手」をつらぬき通します。

 小学校の一年生は、体力勝負なのです。

 ですから、身体の大きい子、力の強い子が幅をきかせています。

 二 自分勝手は中学年まで

 でも、好き勝手は、いつまでも続くわけではありません。

 「自分勝手」な子を、敬遠する子どもがふえていくからです。

 中学年は「ギャングエイジ」と言われるぐらい「仲間作り」が活発です。

 ケンカの強い子も、仲間を集めますが、誰でも「我がままな人」は、いやですから離れていくのです。

 そして「自分勝手」な場面で「みんな」が文句を言うようになるのです。

 一人や二人を相手にするのならケンカに自信がある子でも、十人、二十人のクラスのみんなには、たじろぎます。

 「自分勝手」が通用しなくなったのです。

 遊びのルール、スポーツのルールを守らなくてはいけなくなるのです。

 自分勝手な子は、クラス集団によって教育されたのです。

 このように、集団には、教育力があります。

 集団には、力があるのです。

 三 教師もヤンチャ君もみんなを味方にする

 ですから、すぐれた教師は「集団の力」を上手に使います。

 自分勝手なヤンチャ君を教える時も、クラスのみんなを味方につけながら対応します。

先生  今、太郎君は勉強をやりたくないから、教科書を出さないって、叫んだよ。

 みんな、どう思う?

 太郎君の態度は正しいと思う人は手を挙げて!

 太郎君は、間違いだと思う人?


 太郎君、まわりを見てごらん。

 クラスの全員が、太郎君は間違えてるって言ってるよ!


 このように、クラスのみんなを自分に味方させていくのです。

 先生とだけでならケンカをできるヤンチャの太郎君も、クラスのみんなは敵にまわせないのです。

 力のない教師は、自分一人だけがカッカして、ヤンチャ君と対応するのです。

 ヤンチャ君は、ケンカの天才です。

 教師のわずかなミスをついてくるのです。

先生  次郎君、また忘れものをして。

 今日は、算数の宿題を忘れ、お習字の道具を忘れてますよ。

 昨日も、地図帳とふで箱と体操着を忘れたでしょう!


 ヤンチャ君は、すかさず反撃です。

次郎  あっ、俺、昨日体操着持ってきたよ。

 なっ、みんな、そうだろう!

 俺、体操着、着てたよな!

 先生なのに、うそついてる。

 せんせいうそつき、うそつきせんせい、うそつきせんせい。


 こんな小さなところから、クラスは乱れていくのです。

 四 一人でも友だちがいる子は大丈夫

 クラス集団の中で、生活している子は、それだけで、心の成長、人づきあいの成長は大丈夫といえるのです。

 二、三人親しい友だちがいれば十分です。

 一人だけでも、友だちがいれば心配ありません。

 もし「友だちが一人もいない」としたら、何か原因があるはずなのです。

 自分の子に原因があるはずなのです。

 二十年前、私は田園調布地区の小学校の生活指導主任をしていました。

 「ひとりぼっちの子」の調査を、学校全体で行いました。

 担任にアンケートを配り、回収しました。

 二十学級のアンケートの結果「ひとりぼっちの子」は「ゼロ」でした。

 これは変です。

 六百名近い子がいて、ひとりぼっちの子がゼロなんて信じられません。

 しかし、正式のアンケートに対する担任の回答です。尊重するほかありません。

 次の年、アンケートの中味を変えました。「ゼロ」の場合は、その「証拠」「根拠」を示すことにしたのです。

 その結果、担任は全員「ひとりぼっちの子はゼロ」と答えたのです。

 「私は子どもと遊んでいる」「日記を毎日出させている」などの「証拠」が書かれていました。

 私は「そんなはずがない、調査の方法を変えなければ駄目だ」と思いました。

 その次の年の調査は、大きく変更しました。

 二十分休みを一週間(六日間)調査したのです。

 誰たちと遊んでいたか、誰とどうしていたかを「二十分休み」だけ調べました。

 野球、鉄棒、鬼ゴッコ、図書室、ブラブラ歩き、いろんなことをしています。

 そんな中に「一人でいた」という子もいます。

 「一人でいた子」を記録してもらいました。

 六日間のうち「六日間全部一人でいた子」

「六日間のうち五日間一人でいた子」を抽出してもらいました。

 楽しい遊び時間の二十分休みを、ずっと一人でいるのなら「ひとりぼっちの子」です。

 結果は、見事に違いました。

 全体で「三十二名のひとりぼっちの子」が見つかったのです。

 全体で、三十二名。これを、担任は見のがしていたのです。

 「調査方法」をきちんとすることによって初めて、発見できたのです。

 医者のレントゲン検査、血液検査のようなものであったのです。

 私は、次に「三十二名の子はなぜ一人でいたのかの原因」を調べてもらいました。

 そこから先は、さすがに担任です。

 すぐに原因をつきとめました。

 一番多かったのが「自分勝手で、ルールが守れない」という子です。

 「みんなと遊べない子」もいました。

 四年生は、野球で遊んでいたのですが、K君は、ボールを二メートルぐらいしか投げられないということも分かりました。

 この調査の結果、学校全体で対策が考えられました。

 「先生と遊ぼう」という日や「下校時刻までクラス全員で遊ぼう」などのとりくみもされました。

 そして「ひとりぼっちの子は」急速になくなっていったのです。

 五 集団の中で育てる

 子ども集団には、教育力があります。

 その教育力は、とっても大きいのです。

 親や教師には、どうすることもできない教育力もあります。

 ですから「集団の中で育てる」ことに注意を払う必要があります。

 一人でも、友だちがいれば大丈夫です。

 何人かの友だちがいれば、文句ありません。

 子どものケンカは、成長の一里塚です。

 昔から「子どものケンカに大人が出るな」と言われてきましたが、大事なことです。

 最近、子どものケンカに、しゃしゃり出る親がいます。その場はうまくいくように見えますが、けっきょくその子は仲間はずれにされ、しわよせは「我が子」にいくのです。

 友だちが一人もいない時「野球」「サッカー」「ボーイスカウト」等々、大人が、子どもの集まる場所へしむけていくのも大切なことと思います。


 本号は、集団に馴染んでいるかどうかの見分け方を特集しました。

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