家庭教育ツーウェイ 2004年11月号
しっかり国語と算数―教科書の勉強こそ最善

イ008

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家庭教育ツーウェイ 2004年11月号しっかり国語と算数―教科書の勉強こそ最善

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ジャンル:
その他教育
刊行:
2004年10月7日
対象:
幼・小
仕様:
B5判 80頁
状態:
絶版
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目次

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特集 しっかり国語と算数―教科書の勉強こそ最善
算数クラス平均90点突破の先生は、教科書をきちんと教える先生だった
向山 洋一
児童全員を目標到達させた熊本県海浦小学校
吉永 順一
算数学級平均90点突破続出の理由
木村 重夫
私のクラスも平均90点突破の奇蹟が生まれた
みんなの笑顔が見たくて、今日も明日も、向山型算数
岡ア 昌美
教師自身が素直に学ぶこと 指導法の違いで達成できる
甲本 卓司
赤鉛筆での指導で90点突破!
和歌 千明
日々、教科書の仕組みを活用した授業をする
田中 聡
勉強のできないあの子が算数90点をとった奇蹟
教科書通りに授業を行えば、90点は「夢」じゃない
吉武 徹也
算数ができないのではない
加藤 延啓
向山型算数がドラマを引き起こす
楠 康司
素直さも実力のうち
浅野 あけみ
なぜほとんどのクラスでは算数嫌いが多いのか
算数の教科書を使わない指導方法が原因である
井上 好文
教科書をきちんと教えれば、子ども達は「算数好き」になります!
河田 孝文
わからない、できない、点がとれないが原因
板倉 弘幸
生活の中での数を分けること、数えることの経験不足
楢原 八恵美
漢字平均90点突破のドラマ
指書きの徹底で、漢字を覚えられるようになった!
山口 收
「できなかった」子を引き上げるから生まれる
浅野 光
「漢字の苦手なAさんが一〇〇点を取った」一人の進歩が、全体の進歩を生む漢字スキル
吉岡 健二
国語テストの基本パターンと劣悪テストの実例
国語の読解テスト問題は問いに対応した言葉の切り取りをさせよ
師尾 喜代子
良質の、基本型の問いと□の解答欄で確実に実力がつく
酒井 武男
考え方の基本は、正しく書き写すこと
遠藤 真理子
方法記憶を身につけさせる教科書指導
TOSSの漢字指導法にみる「方法記憶」の魔法
谷 和樹
学校では教えてくれない「音読」と「漢字」の練習方法
椿原 正和
ミニ特集 教育賞トリプル日本一に輝く小森先生の科学する心の育て方
小森先生は東大工学部大学院を出て中学校教師の道を選びました
向山 洋一
理科はたのしい!
小森 栄治
理科好きな子どもを育てる
新牧 賢三郎
ホンモノに触れる/マイルーペ/飽きるほど何度でも
大堀 真
イラストで見る家庭教育のポイント
ごめんなさいと言おう
岩野 節男岩野 紀子
家庭教育のポイント
「ごめんなさい」と言うのは「悪いことをした事実」を認め「謝罪」し「反省」することです
向山 洋一
編集前記
師尾 喜代子
つぶやきに見る子どもの成長
溢れ出る思いやり
水野 茂一
園長が語る子育ての極意
ほめることで積極性を育てる
青鹿 義和
三つ児のたましいよ、祝福あれ!
村上 光男
校長が語る子育ての極意
感性を大事にしながら、自立心を育てる
廣中 洋子
医師 私の子育て日記
マッチ売りの少女よりつらい人生
香川 宜子
医師 普通の家庭教育の大切さ
社会的成功と関係する「一般的IQ」
澤口 俊之
ボランティアの心を育てる
触れるときに触ろう 黄金の時期は、今しかない
甲本 卓司
年少のドラマ、年中のドラマ、年長のドラマ
年少/共感
齊藤 由香子
年中/大切な物
吉岡 花英
年長/魔法の言葉
関 里彩
子どもがピンチの時のとっておきの親の話
努力のあとに、気持ちよい達成感を感じられるお話
山本 純
衝撃のドラマ 算数が大の苦手の子が満点をとった
赤鉛筆か救ったA君
頓所 陽子
本筋の心の教育
礼状で心を育てる
吉岡 剛
小1のドラマ、小2のドラマ、小3のドラマ
小1/ホームグラウンドでのドラマ
藤崎 久美子
小2/人差し指を握ってごらん
酒井 武男
小3/「できない」を乗り越えた瞬間
奥田 純子
佐藤昌彦の紙工作教室
くるくる大へんしん
佐藤 昌彦
子ども調査が示す家庭教育のポイント
山村留学で子どもは成長する
明石 要一
SOS 子ども・親が電話相談をする時
落ち着きがない子
波多野 ミキ
親子で覚える名文・詩文
論語(2)
岡 惠子
親子で挑戦ペーパーチャレラン
ローマ字ツーウェイチャレラン
伊藤 亮介
インターネット・TOSSランドの活用
親子対抗50音チャレンジャーで我が子の語彙力を知る
川原 雅樹
習い始めの漢字・輪郭漢字
従来の漢字カードより「十倍」もの効果があった輪郭漢字カード
五十嵐 勝義
1年担任の証言・幼児期に何を教えることが大切か
幼児期だからこそ基本的な生活習慣を
新田 智子
片付け上手で伸びる子へ
板倉 美江
自分でできることを少しずつ増やす
磯野 啓子
コンクール入賞続出の酒井式描画法 (第8回)
親と子で造るたのしい絵本
酒井 臣吾
お稽古、習わせる時の心得
音楽的知性を育てたい、親の願い
森川 敦子
すぐれた教材教具の選び方
どの子も大好きになる教材
板倉 弘幸
家庭教育の基本
子どもさんの作品を大切にする
椿原 正和
これからの小学校教育
医療から学ぶ
大森 修
シングルエイジ時代(0〜9歳)教育のポイント
幼児の心の中は作品に表れる(上)
水野 美保
読者のページ
編集部ニュース
親子で学ぶインターネット
秋の夜は、チャレランに挑戦!その2
三澤 雅子

しっかり国語と算数―教科書の勉強こそ最善

算数クラス平均90点突破の先生は、教科書をきちんと教える先生だった(プリント学習のクラスの学力は低い)

向山洋一

本誌編集長/日本教育技術学会会長/千葉大学非常勤講師

無料の世界最大の教育情報サイトインターネットランド主宰

TOSS(会員1万名の教師の研究団体)代表


     一

 小学校・中学校の「算数」「国語」の授業は、教師によって、はっきりとした違いがあります。

 「学力をつける授業」と「才能のある子まで駄目にしてしまう授業」です。

 保護者にとって、最も大切な視点が、「教育論議」からぬけています。

 今までに、テレビでは一回も報じられていません。テレビの教育報道は、最も大切なことをぬかしています。

 大事件、流行の後追いがテレビのスタンスなので、本質からずれるのです。

 新聞でも、報じられることは、ほとんどありません。新聞は、政府・文科省批判が好きで、現場に目がむいていないのです。

 教師も話題にしません。なぜなら、駄目な授業をする教師がほとんどだからです。

 「駄目な授業をする」からといって、性格が悪いわけではありません。

 人柄の良い、立派な人格の教師が、駄目な授業をしている例はいっぱいあります。

 原因は「勉強不足」「修業不足」につきます。身銭を切って勉強してこなかった結果なのです。

     二

 日本教育技術学会は、中学校に入学した時の「算数学力調査」をしました。

 全国三千五百十七名の新入生調査です。

 なぜ「中学入学時」にしたかというと、「担任の不正」を防げるからです。学力テストに、担任の不正はつきものなのです。

 テスト問題は、教科書からとりました。

 出身小学校のクラス別に平均点を出しました。出身小学校が同じなのに、平均点が二十点、三十点と違う結果が出ました。

 同じ小学校なのですから、子どもの素質は似ているはずです。

 しかし、平均点が二十点も、三十点も違うのです。これは、次のような状況です。

 A組は半分近くの子が百点をとり、ほとんどの子が九十点以上。七十点の子が二人。

 B組は百点の子が二人。九十点以上はクラスの二割。ほとんどの子が六十点、七十点台で、五十点以下の子が六名。

 同じ小学校でありながら、このような差が出るのは「授業が違う」からです。

 「駄目な授業」をする教師は、日本中に六割近くいます。

 「良い授業」は、一割以下です。

     三

 「良い授業」と「駄目な授業」の見分け方が大切です。

 保護者は、これまで「逆」に考えていたのです。それは、マスコミの影響です。

 この十年、二十年の間に、「駄目な授業」が、はびこってしまったのです。

 簡単な見分け方を示します。


 教科書は、幾万、幾十万の教師の経験を集めたものです。これを、きちんと教えるのが良い授業なのです。

 「プリント」の授業は、やればやるほど分からなくなっていきます。百マス計算は授業の半分近くを使ってしまいますので、問題外です。百マス計算は、勉強ができない子をスポイルします。


見分け方A

 ノートがていねいに美しく書かれてあり一年間で六、七冊使うのが良い授業。

 ノートは乱雑で、ぎっしりつめ込まれていて、一学期が終わっても一冊も終了していないのが駄目な授業。


 ノートがていねいな子は、必ず伸びていく子です。高校でも「ノートがきちんとしている人が東大に入る」と言われています。

 すぐれた教師は、当然ノート指導をします。

     四


見分け方B

 宿題を出さないで、練習問題、スキル問題まで授業中にやるのが良い授業。

 説明がダラダラと長く、練習問題、ドリル問題を宿題に出すのが駄目な授業。


 教科書の練習問題は、当然授業中にやるべきです。計算スキルなども、授業中にきちんとやるべきです。時間は十分にあります。

 ところが、ダラダラと我流の長い説明、話し合いに時間を使い、練習問題を宿題に出す教師がいます。

 これでは、実力はつきません。

 宿題を出すのは良くない教師なのです。

 授業中に、練習問題、スキルまでやってくれる教師が良い教師なのです。

 これを、保護者は間違えているのです。

 もし、宿題が必要なら「宿題用の五分間スキル」などに限定すべきです。

 新聞・テレビは、教科書を使わずプリントで授業する教師をほめたたえます。

 とんでもないことです。

 医師が、医学界の知識を使わずに、思いつきのやり方で治療しているようなものです。プリント学習の害ははかり知れません。

 何よりも、全体の学力を下げます。できない子は、できないままで、普通の子もできない子になってしまいます。


見分け方C

 線を引くのにミニ定規を使わせ、シャーペンを禁止して鉛筆を使わせているのが良い授業。

 グニャグニャの線を引かせ、シャーペンを使わせているのが駄目な授業。


 ミニ定規を使わせるのは、六十年以上昔からされていたプロのかくし技です。

 イギリスでも中国でも、一流教師は当然ミニ定規を使わせます。日本でもそうです。

 授業中にシャーペンを使わせないのは、教師の常識です。

 指は第二の頭脳ともいわれています。書きながら覚えるのです。

 鉛筆なら筆圧をかけられますが、シャーペンは力を入れられないのです。

 脳までの伝達が異なってくるのです。

 また、シャーペンは、芯がしばしば折れます。つまり、勉強をしている途中で、プツンと流れが途切れるのです。もちろん学習にはマイナス作用です。

 シャーペンで勉強するのは、プツン、プツンと思考を途切れさせながら考えていることになるのです。

 「シャーペン禁止をする」教師は、立派な教師です。良い教師です。

 「シャーペンを認めている教師」は、それだけで「駄目」のレッテルを貼られる教師なのです。

 ところが最近、駄目な教師が増え、低学年中学年でもシャーペンを使わせています。

 高学年担任が「シャーペン禁止」をすると、ブーイングが出て、苦労します。

 その上、駄目な親がいて「シャーペン禁止の教師」に文句をつける人がいるのです。

 せっかく良い教師が、駄目な親につぶされる例は、けっこうあるのです。

     五

 まもなく、日本教育技術学会の第二回全国調査が発表されます。

 今年も、多くの新聞、雑誌にとりあげられるでしょう。

 第一回の算数学力テストの結果は「教科書をきちんと教えているクラスの学力が高い」ということでした。

 第二回は、算数に加えて「漢字テスト」も実施されました。

 結果は、ビックリギョウテンです。同じ小学校の二つのクラスの平均値の違いです。

 算数の調査では、「平均点が三十点も違う」ということでビックリしました。

 漢字なら、せいぜい十点ぐらいの違いかなと予想していたのです。

 ところが、同じ小学校で、漢字テストの平均点が四十点も違うのです。

 A組は、ほとんどの子が満点。

 B組は、八十点以上がチョロチョロで、五十点以下の子が大半でした。

 同じ小学校なのですよ。

 中学校に入学した生徒に、小学校の時の様子を聞きました。そこでビックリです。

 A組の先生は、毎日、国語の時間に五分程度漢字の指導をしていました。

 当然ですが、立派な先生です。

 B組は、授業中、漢字をほとんど教えていませんでした。漢字ドリルは宿題です。

 漢字は「家で覚えるもの」「宿題で覚えるもの」というのがB先生の考えです。その結果、B組の子は、目をおおいたくなるほど、漢字ができなかったのです。

 B組の親は、先生が「宿題を毎日出してくれる熱心な先生」と思っていました。

 ところが、子ども達の学力は、悲惨の一語だったのです。

 漢字は当然、授業で教えるものです。

 毎回、五分程教えれば、クラス平均点九十点はいくのです。

 「良い先生」に当たったら、ぜひ先生を力強く支持してください。

 「駄目な先生」に当たったら、「子どもの事実」をもとに先生に改善してもらうよう言ってください。時には、校長先生に訴えてください。それが子ども達を救うことになります。

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