- シリーズ発刊に寄せて
- シリーズの読み方
- まえがき
- 第1章 高校卒業時のゴール像(卒業時の姿)
- ☆ 「将来の社会を任せたい自立した立派な市民」
- 1 自分の高校時代と違っている目の前の高校生
- 2 学校で人間関係づくりを学べる最後の機会
- 3 もってほしい意識
- 4 社会に出て役に立つ力
- 第2章 1年生 新しい環境に安心させる
- 1 1学期(含む夏休み)
- 1 教室づくり
- 2 仕事づくりで関係づくり
- 3 クラス目標 それぞれの力がみんなの力に
- 4 初めての面談〜いつでもどこでも誰とでも〜
- 5 勉強の仕方の「先輩」になる〜中間考査〜
- 6 初めての体育祭(または文化祭)
- 7 登校できない
- 8 義務教育ではない「高校」という学校
- 9 厳しい現実〜期末考査〜部活動と勉強の両立
- 10 生徒の別の顔を見る〜夏休み〜
- 2 2学期(含む冬休み)
- 1 始業式〜夏休みの成長や変化を見逃さない〜
- 2 教科担任との調整
- 3 他の教師に割り振る
- 4 2年次からのコース,選択科目選択決定時期
- 5 2学期期末考査
- 6 冬休み
- 3 3学期(含む春休み)
- 1 1年生のゴールに向けて,成長を実感させる(勉強,進路,仕事)
- 2 クラス替えの準備 生徒同士の人間関係を見取る
- 3 進級に向けての追い込み さまざまな人と連携して居残り補習
- 4 通知表
- 5 進級式
- 第3章 2年生 中だるみをどう乗り切るか
- 1 1学期
- 1 目標:結果の責任は自分でとる
- 2 仕事づくりで関係づくり
- 3 早期に面談開始〜不登校が一番多くなる時期〜
- 4 問題が起こったら
- 5 学級PTA
- 6 進路を見据えた活動(進路決定まであと約1年)
- 2 2学期
- 1 修学旅行
- 2 進路決定に向けた面談
- 3 文化祭〜仲間との協力でつくり上げる最後の文化祭〜
- 4 中だるみ時期の対策
- 3 3学期
- 1 1年間の成長を実感させる
- 2 3年につなぐ
- 第4章 3年生 最終学年での総仕上げ
- 1 1学期
- 1 クラス開き
- 2 勉強に集中するために,その他をやり切る時期
- 3 体育祭 いろんな仕事のリーダーとなる
- 4 切り替え宣言
- 5 進路決定相談
- 2 2学期
- 1 みんなで進路実現
- 2 生徒による模擬面接
- 3 クラス内のぎくしゃく感
- 4 進路が決まる生徒が出たときのクラス対応
- 5 クラスみんながそろうのはもうあまりない
- 3 3学期
- 1 センター試験に送り出す会
- 2 学校,学年の方針と担任の方針の整合性について
- 3 卒業式 保護者への感謝の機会を設ける
- 4 卒業後 「そこにいる」ということ
- 第5章 私の仕事術 細かいところに目が届く 私のこだわり仕事術
- 1 清掃の仕方の指導
- 2 席替え
- 3 挨拶
- 4 保護者との面談・連絡
- 第6章 学級集団づくり20ポイントチェック
- 〜集団を育てるための定期点検リスト〜
- 1 学級集団づくりにも定期点検を
- 2 学級集団づくりチェックリスト
- 3 いつも自分のあり方を見つめながら学級を見る
- あとがき
まえがき
私は1989年(平成元年)に新潟県高等学校教諭に採用され,2015年度まで27年間高校国語教員として働いてきました。新潟県はとても広いです。新潟県の東端を東京都の中心部に合わせると,西端はなんと,愛知県名古屋市の西までかかってしまいます。東京と愛知の文化はかなり違います。新潟県も地域によって風土,文化が全く違います。そんな新潟県のいろんな地域の高校6校を勤務した中には,山間部の雪深い地域の学校や都市部の学校もありました。普通高校や実業高校でも勤めました。さまざまなタイプの生徒たちの担任をしました。ほとんどの生徒たちが大学進学を目指しているクラスも担任しましたし,どんどん退学して最終的に25人になってしまったクラスも担任しました。生徒指導面で手のかからなかったクラスもありますし,問題行動による指導のために家庭訪問を毎月していたクラスもありました。
それでも,すべての生徒たちに共通していることがあります。どの地域の,どの学校の,どの生徒たちも,「学びたがっている,今よりもよくなりたがっている,今よりも大人になりたがっている」ということです。
小学校や中学校の先生と話をしていると,「高校の生徒は受けもてない」と言う方がいます。もちろん逆に高校の先生で,「小学校では教えられない」と言う人もいます。きっと自分が受けもっている以外の子どもたちの雰囲気が想像つかないから,そのように考えるのだと思いますし,そう考えてしまうのはわかります。しかし,先ほど書いたように,どんな子どもたちも学びたがっているし,今よりよくなりたがっているし,大人になりたがっていると思います。だから,そうなりたがっている気持ちに刺激を与えることで,学びは成立していくのだと思っています。この本は,私の高校教師としての経験をもとに書いたものですが,学級づくりや授業づくりで小学校,中学校の実践をとても参考にしました。小学校,中学校のやり方が高校でもぴったり当てはまるのです。子どもたちを大人にしていくアプローチは小,中,高で共通している部分がとても多いと思います。もし,小学校,中学校の先生がこの本を読んだとしても,十分活用できる部分があると思っています。
2016年に縁あって上越教育大学教職大学院に准教授として勤務することになり,高校現場から離れました。学校現場から離れたからこそ書けることもあります。今まで自分がやってきて「おかしいな」と思った進路指導や生徒指導があります。学校現場にいると「当たり前」としてまかり通ってきた「常識」が,現場から一歩離れると「やっぱりおかしい」ということに気付きます。そんな「非常識」がはびこって,「今までやっていたから」ということで続いている指導がたくさんあります。本当にそれは生徒たちのためになっているのか,ということを考えて,生徒たちのためにならないことでしたらやめていかなければなりません。そんな提案も書いています。
27年間高校教師をやっていて,時代の変化を感じます。初任の頃の私は大量採用に乗じて就職できたようなものなので,ちゃらんぽらんで,教育の理想などもなく,教育を取り巻く環境もおおらかな部分があったので,何とか続けてこられました。しかし現在,教育環境は教師にも子どもたちにもどんどん厳しくなってきています。勤めている若い教師はとても真面目な方が多く,ちょっとでも気を許すと気持ちが折れてしまいそうな人がいます。そんな先生に,「もうちょっと力を抜いて,周りを頼っていいんですよ」ということを伝えたい気持ちでこの本を書きました。「大人になる」というのは,何でもかんでも自分だけでやれるようになることではなく,必要なときに適切な人にお願いして,助けを得られる力を得ることです。それを教師ができなければ,生徒たちに大人になる術を伝えることができません。ですからどんどん周りに頼って下さい。場合によっては生徒に頼って,任せて下さい。ただし,頼れる相手を選ぶ眼力が必要です。誰にでも頼っていいわけではありません。頼られると嬉しくなる種類の人間が皆さんの周りに必ずいます。自分も楽になり,頼られた人も嬉しくなる。WIN-WINの関係です。少し楽になるためには,周りの観察が重要です。そんなことも書きました。
/片桐 史裕
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- 明治図書
- クラスの理念作りのようなものに共感した2024/1/2820代・高校教員
- ポイントが絞ってあり、場面が具体的にイメージできた。2020/6/1430代・高校教員
- 片桐先生の考え方、生徒の見方に共感しました。2020/5/240代・高校教員
- もっと具体的にどんなことをどのようにやったのか、参考になる事例が欲しかった。2019/4/1930代・高校教員
- 高校における学級経営の基本ベースが三年間を見通した形で整理されていて、教職を目指す学生や若手教師にはとても参考になる本だと思った。2019/2/230代・高校教員