- 特集 LD・ADHDの子どもとのつき合い方
- 特集について
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- 提言
- 子どもの問題からわれわれの課題へ―視点の転換を
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- 事例
- 中学生時期のADHD
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- 〜中学生時期のADHD〜
- コメント
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- 学習支援としての概念地図法の適用―LD児とADD児を通して
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- 〜学習支援としての概念地図法の適用―LD児とADD児を通して〜
- コメント
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- 目立たない子どもたちにも目を向けて―得られる支援を対応に生かす
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- 学校全体で取り組む支援―「みんなちがって みんないい」
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- 配慮を必要とする子どもへの協力・支援体制
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- LD児の認知言語能力を高める
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- 学部との連携による支援
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- 漢字の書き取りを誤ってしまう子の指導―書き取りの音声化を工夫して
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- 個別指導計画に基づいた指導
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- 民間指導機関を卒業したA君―自信の回復と意欲を支えるもう一つの居場所
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- 高校生への援助―学習とソーシャルスキルの連携
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- 創刊にあたって
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- 子どものページ
- 友だち
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- 【特別寄稿】パイオニア先生からの提案 LD児の学びを楽しくするために
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- 親の会ニュース (第1回)
- 全国各地のLD親の会と連絡先
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- 医療との連携 (第1回)
- 医者から伝える薬の話(ADHD)
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- 〜歴史と生物学的背景〜
- 実践の小箱/臨床学校現場から (第1回)
- よっちゃんとの半年
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- 情報最前線/行政や海外の動向は (第1回)
- ADHD等に関する調査研究会議が文部科学省で始まる
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- 指導の技法とその理論 (第1回)
- 行動分析の理論とその応用
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- コミュニケーション (第1回)
- 「文脈が読めない」ために生じるコミュニケーションの問題
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- アカデミックスキル (第1回)
- 指導のためにアカデミックスキルを支える認知機能を知る必要性
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- 〜指導方法の基礎〜
- LD,ADHDとソーシャルスキル (第1回)
- ソーシャルスキルとは?
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- 使えるテスト・チェックリスト (第1回)
- 子どもの内側から光をあてる
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- 〜心理アセスメントT〜
- 一度は手にしたい本
- ブレーキをかけよう1『ADHDとうまくつきあうために』/障害を知る本G『LD(学習障害)の子どもたち』
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- 編集後記
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特集について
LD・ADHDの子どもとのつき合い方
明治学院大学助教授/緒方 明子
●子どもとじっくり向き合うことで
学習につまずく子どもたちの問題――努力不足なのではなく,本当に学習が「困難」な状態にあること・小さいときから周りの子どもたちと同じようにできなくて失敗経験をかなり積み重ねていること等――を「理解」し,「了解」し,放っておいてはいけない特別な援助を必要としていることに気づくことはとても難しい。援助の方法についても,練習を重ねるという方法以外にはなかなかアイディアが提案されない。どうしてだろうか。
それは,子どもたちがもっているユニークな困難さを周囲の者が把握することが難しいからであろう。車椅子や白杖といった外から見て障害の状態がわかるような手掛かりがないことも,困難さの把握を難しくしているであろう。その子どもがなぜ漢字を覚えられないのか,あるいはなぜ書くことができないのか,その困難さやつまずきの背景にある問題を把握することは簡単ではない。皆が同じ原因で困難さを示しているわけでもない。子どもたちの困難さを把握するためには,心理検査等も有効な道具であるが,何よりも大切なのは,一人ひとりの子どもとじっくり向き合うことである。子どもの困難さだけではなく,得意なことも,今最も関心をもっていることも,心を痛めていることも,将来の夢も,子どもと向き合っていれば伝わってくるものである。それらも全部その子どもなのである。障害や困難な部分,つまずきだけがその子どもの全てではない。
子どもと向き合うことによって,その子どもが少しでも生き易くなるように,そしてその子どもを取り囲む同級生や教師も楽しく子どもとつき合うことができるようになるためのヒントが得られる特集を目指した。
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