- 特集 見直そう!通級指導教室で行う教科の補充指導―通常の学級での「国語」学習への支援―
- 特集について
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- 提言
- 学校は何のために行くのか―教科の補充指導の大切さ―
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- 1 教科の補充指導を考える
- 1 通常の学級の「授業」と「教科の補充指導」との連動の方法
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- 2 高機能自閉症のある児童の国語科補充指導―通常の学級との連続性を探る―
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- 3 ICTを活用した学習の補充―学びのスタートテープをきるために―
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- 2 通級指導教室で行う「教科の補充指導」事例
- 事例@ 通常の学級と連携した説明文の指導
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- 事例A 教科書を利用した国語の補充指導
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- 事例B 読み書きが困難な児童への指導―認知スタイルを重視した「国語」支援―
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- 事例C 国語の教科補充で,大切にしてきたこと
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- 事例D ことばの教室での漢字支援と通常の学級との連携
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- Essay
- 発達障害をスペクトラムと考える
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- 子どものページ
- 国産杉を使った製品
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- 親の会・JDDネットニュース (第45回)
- NPO法人アスペ・エルデの会
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- 医療との連携 (第45回)
- 医療の役割から見た連携
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- 実践の小箱/臨床学校現場から (第43回)
- 学校での支援と卒業後の生活を「つなぐ」進路支援について
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- Newsな視点 (第1回)
- 教育の情報化の推進
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- 〜デジタル教材・教具の活用〜
- あなたの街のサポートセンター! (第1回)
- 北海道発達障害者支援センターあおいそら
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- 親から先生への一言〜保護者のホンネ〜 (第1回)
- 子どもの“困り感”に寄り添う支援を
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- 早く気付いてあげる重要性
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- 休み時間への配慮を
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- 先生方へ―北海道からのメッセージ―
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- 特別支援教育の視点で授業改善・学校改革 (第1回)
- 子どもが第一!どの子も輝く学校を目指して
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- 在籍クラスの授業にいきる!読み書き支援のとっておきアイテム (第1回)
- 音読が苦手な子どもへの支援
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- 〜その子にとっての「できる」を実感し、安心して授業に参加できる手立てを探す〜
- 認知の強みをいかす!算数支援 (第1回)
- 通級に通う子どもたちの学習困難と算数のアセスメント
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- 一度は手にしたい本
- 『トライ式 ひきこもらない生き方』(木村隆広著)/『発達障害の子とハッピーに暮らすヒント―4人のわが子が教えてくれたこと―』(堀内祐子+柴田美恵子著)
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- 編集後記
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特集について 見直そう!通級指導教室で行う教科の補充指導―通常の学級での「国語」学習への支援―
国立特別支援教育総合研究所上席総括研究員/廣瀬 由美子
学校教育法の改正に伴い,平成18年4月1日より,通級による指導(以下,通級指導教室)の対象規定に,学習障害者(以下LD)と注意欠陥多動性障害者(以下ADHD)が加わりました。また,従来の対象者であった情緒障害者は,原因や対応方法も異なるといった理由から自閉症者と情緒障害者に分かれ,通級による指導においては9種類の障害別指導が可能となりました。
上記の法令改正に伴い,通級指導教室では,指導内容に関しても弾力的な運用が可能となっています。具体的には,自立活動の指導と教科の補充指導を合わせて,年間35単位時間から280単位時間以内の範囲が標準とされ,LDとADHDに限っては,月1単位時間程度を下限とした時間が認められています。
このように,通級指導教室の対象の拡大や指導時間の弾力的運用を踏まえると,自立活動の指導と共に,単なる予習や復習とは異なる,障害特性を踏まえた教科の補充指導の事例の蓄積が必要になると考えられます。
今回の特集を組むにあたり,私個人としましては,「教科の補充指導は,障害があることにより十分に学習ができていない量的,かつ質的な学習内容を,その障害特性を踏まえて補うこと」と考えています。
ここでいう量的な補充指導のイメージは,例えばLDの子どもの場合が想定されますが,単元の読めない文字や漢字の読み書きを量的に補充指導することです。質的な補充指導のイメージは,高機能自閉症等の子どもの場合を想定しています。彼らは,その障害特性から文脈における同音異義語の解釈や,文字になっていない行間の背景や意味理解,心情理解や情景描写の意味理解が難しいと考えられるため,解決のための手がかりを探す指導などが必要であり,これらの指導が質的な補充指導と理解しています。
そこで本特集では,通級指導教室を使う子どもの障害特性や認知スタイルを一層重視し,子どもにとって通常の学級での学習の理解がより深まるために,あらためて量的な指導と質的な指導の両面から,通級指導教室における教科の補充指導の在り方を検討し,今後の指導に役立てる一助になれば良いと考えています。
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