- 特集 知っておきたい発達障害のある生徒の高校進路情報
- 特集について
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- 提言
- 「義務教育後」を考えた支援
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- 事例〔中学校から〕自己理解・自尊感情を育む
- 1 僕たち、私たちは高校に行きたい
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- 事例〔中学校から〕中学校から高等学校への引き継ぎ
- 2 地方都市での公立高等学校との連携
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- 事例〈高等学校〉研究開発学校の紹介
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- 事例〔高等学校から〕
- 3 「理解」を深める取り組みを!―「教育の原点」として―
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- 4 東京都立桐ヶ丘高等学校の実践―教育相談部の視点から―
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- 5 多様な支援ニーズのあるチャレンジスクールの実践―大江戸高校の「できること,できないこと」―
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- 6 「高等学校における発達障害支援モデル事業」を通して学んだこと
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- 事例〔支援を要する子どもも学ぶ高等学校〕
- 7 国立釧路工業高等専門学校 情報共通をもとにしたさり毛ない配慮
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- 8 和光高等学校 生徒への信頼を基盤に
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- 9 見晴台学園 ゆっくり、じっくり、しなやかに―NPO法人学習障害児・者と教育の自立の保障をすすめる会―
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- 10 学校法人稲葉学園竹田南高等学校 “障害”を“個性”と読める学校を目指して
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- Essay
- 発達障害と自尊感情
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- 子どものページ
- 明日へ羽ばたく
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- 親の会ニュース (第37回)
- 親の会会員の高校生の状況とこれからの方向性
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- 医療との連携 (第37回)
- LD通級指導教室における視覚支援の実際(1)
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- 〜眼科医やオプトメトリストとの連携〜
- 実践の小箱/臨床学校現場から (第35回)
- 保護者からの相談内容(宿題)について
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- 情報最前線/行政や海外の動向は (第37回)
- 生徒指導と特別支援教育
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- 〜文部科学省「生徒指導提要」刊行に寄せて〜
- ユニバーサルデザインの授業づくり (第1回)
- 国語授業のユニバーサルデザイン
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- 〜全員が楽しく「わかる・できる」ための目標と要件〜
- クラスではじめる応用行動分析の基礎基本 (第1回)
- 相互作用の視点から授業を考える
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- 誤り分析から子どもの読み書きを支援する! (第1回)
- 音韻の誤り分析から
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- 発達障害の子どもを持って (第1回)
- 療育をふりかえって(親の立場から)
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- 一度は手にしたい本
- 『「個別の(教育)支援計画」の作成・活用』(東京学芸大学特別支援プロジェクト編集)/『長所活用型指導で子どもが変わる Part3』(藤田和弘監修)
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- 編集後記
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特集について
東京学芸大学名誉教授/上野 一彦
平成17年に「発達障害者支援法」ができて丸5年がたちます。小・中学校における特別支援教育は全国的に大きく進展しつつあります。通常の学級に在籍したまま支援を受ける「通級による指導」を受ける児童・生徒もここ4年で2.5倍,3万人をはるかに超える急増ぶりです。これからはその教育支援の質がさらに問われていくことでしょう。
ところで,こうした広がりの中でさらなる課題が見えてきています。発達障害のある児童生徒にとって,今,教室の中で適応し,学習の困難をどのように減らしていくかは短期的な課題の解決です。しかし,彼らにとって,いやすべての青年にとって究極のゴールは,やがて成人して家庭からも自立し,社会にどのように参加していくかでしょう。これこそが長期的な課題です。
小学校や中学校における教育相談や進路相談でも,この短期と長期の両方の課題のセッティングが必要です。育ちゆく子どものさまざまな可能性の中で,将来の姿を予想しながら,今,どのようにその基礎を築き,積み上げていくかということです。
問題行動を減らしたい,勉強の遅れを取り戻したい,生徒の自己理解や自尊感情を育てたいといった課題は,将来のゴールに向けてとても重要です。同時に,この子どもの特性や能力のどこを生かしていくことが,自立と社会参加につながりやすいのかという長期的な視野は,教育相談や進路指導においては,最も困難な予測であると同時に,保護者や本人にとって常に頭の中に置いて具体化していかなければならない究極の課題なのではないでしょうか。
今回は「知っておきたい発達障害のある生徒の高校進路情報」と題して,義務教育後の進路情報を特集してみました。
義務教育後,98%の生徒が高等学校に進学し,高等学校での授業料の無償化制度もスタートした今日,中学校,いや小学校段階でも,この長期的な課題を保護者とともに共有したいという先生方も増えているのではないでしょうか。高等学校全入化という動向の中で,発達障害のある生徒に合った教育環境はどこにあるのでしょうか。学力差の広がりも無視できません。それをどのように克服していくかは,不登校生徒などの学び直しとも共通する部分があります。「生徒が入れる高校から,生徒が育つ高校へ」,こんな言葉が強く意識されます。
新しいタイプの高等学校の再編や設置も全国的に進んでいます。そうしたさまざまな動きを公立・私立の高等学校からの幅広い情報をお伝えすると同時に,中学校からはどのような情報を求めているのかという本音をお伝えできればと思います。
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