- 特集 個に応じた指導計画の作り方
- 特集について
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- 提言
- 特別支援教育と通常教育の連続性
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- 個別の指導計画の考え方と今後の方向
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- 「就学支援シート」を活用した小学校への就学
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- 小学校の取り組み
- 「個別の指導計画」の作成 初めの一歩
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- 子どもの課題を見極め,柔軟な対応で個に応じた指導につなげる
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- みんなで育て見守るための個別の指導計画
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- 中学校の取り組み
- 当たり前のことを見直し,個別の指導計画の作成を
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- 個に応じた指導計画の作り方
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- 【特別寄稿】特別支援教育への取り組み
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- LDとネット社会
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- 子どものページ
- 「しろさい」
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- 親の会ニュース (第25回)
- 秋田LD・AD/HD親の会「アインシュタイン」/佐賀県LDとその周辺児・者の会「元気塾」親の会
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- 医療との連携 (第25回)
- 真の連携を目指して(1)
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- 〜連携の意味,窓口への提言〜
- 実践の小箱/臨床学校現場から (第24回)
- どの子にも光があたる特別支援教育
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- 情報最前線/行政や海外の動向は (第25回)
- 重点施策実施5か年計画
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- 〜障害者基本計画10年間の後期5か年〜
- 特別な教育的ニーズとインクルージョン (第5回)
- 特別支援教育を支える体制の整備を
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- 子ども・親・教師を取り巻く精神衛生 (第1回)
- こころの健康・子どもにおける現状と課題
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- アメリカのIEP事情 (第1回)
- IEPには何が書かれているか
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- 「学習につまずきのある子」を引きつける教科指導のコツ (第1回)
- 算数の授業展開のポイント
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- 一度は手にしたい本
- 『発達障がいを持つ子の「いいところ」応援計画』/『ヒルベルという子がいた』
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- 編集後記
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特集について
個に応じた指導計画の作り方
東京学芸大学教授/上野 一彦
平成19年度は「特別支援教育元年」とも称される歴史的な節目となった。年度初めに文部科学省から「特別支援教育体制の整備と必要な取組」と題する通知が出され,各学校長の責務として以下の6項目が挙げられた。
(1) 特別支援教育に関する校内委員会の設置,(2) 実態把握,(3) 特別支援教育コーディネーターの指名,(4) 関係機関との連携を図った「個別の教育支援計画」の策定と活用,(5) 「個別の指導計画」の作成,(6) 教員の専門性の向上
これらの項目は,毎年9月に実施される推進体制のモニター項目でもあり,さほど目新しくはないが,校長の責務と明示されたところに特徴がある。校内委員会の設置やコーディネーターの指名が,どこでも100%近い結果となっていることは,進展の早さを雄弁に語っている。遅れていた「個別の指導計画」や「個別の教育支援計画」についても,19年度中に100%を目標に掲げている自治体もあり,その加速具合は目を見張るばかりである。しかし,一方で,個別支援計画やら個別移行計画やら,やたら個別ばやりで,それぞれの特徴や相違についてもかなり混乱も見られるようである。
急ぐばかりでなく,本当に子どもを教育し育てる指針となる処方箋として成熟しなければ,机上のペーパーワークとなる危惧も大きい。1975年,いち早く「IEP(個別教育計画)」をスタートさせたアメリカでも,その定着をみるまでに約15年かかったといわれる。わが国はその跡をどのようにたどるのであろうか。
「通級による指導」は通常学級の中での配慮指導ともリンクしなければ効果は薄い。またLDやADHDなどの知的遅れのない発達障害だけでなく,すべての子どもに個別の指導計画が存在すべきだとの声も聞く。
本号では,幼稚園,小・中学校,そして高等学校までその範囲を広げ,先駆的に取り組んでいる実践例を紹介し,今後の特別支援教育の鍵を握るさまざまな個別の指導計画について概念を整理しながら,そのあるべき姿を一緒に考えてみたい。
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