- 特集 これからの通級指導教室の可能性を探る
- 特集について
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- 提言
- 特別支援教室の実現に向けて
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- 事例
- 通級指導教室と学級をうまく結びつけることが課題だ―「練習」を「試合」で生かせるようにするために―
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- 通常学級での適応を支えるために―中学校における情緒の通級指導教室の取り組み―
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- 通常学級との連携で大切なこと―「『子どもの思い』に寄り添う支援」という視点を共に持つ―
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- 「個別の指導計画」をどのように作成し,どのように活用するか―発達障害のタイプや特性への配慮―
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- 「個別の指導計画」をどのように作成し,どのように活用するか―教科担任制の良さを活かして「Win-Winの関係を築く『個別の指導計画』を!」―
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- 「対話」での気づきを促す指導と身体アプローチ
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- 発達障害の様々なニーズに対応する工夫
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- しき居の低い通級指導教室を目指して
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- 保護者と共に育てる―保護者の気持ちに寄り添って―
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- Essay
- 特別支援教育への期待
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- 子どものページ
- 「だいじなおともだち」
- 親の会ニュース (第20回)
- 親の会の役割とは(2)
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- 医療との連携 (第20回)
- 情報共有を通した教育と医療の連携C
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- 〜包括的な連携のあり方についての提言〜
- 実践の小箱/臨床学校現場から (第19回)
- 人権・同和教育への取り組みを通してのアプローチ
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- 情報最前線/行政や海外の動向は (第20回)
- 学校教育基本法施行規則の一部を改正
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- 〜LD・ADHD通級の開始ほか〜
- 最近のアメリカLD事情 (第4回)
- 大学は障害のある学生をどのように支援するか
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- 教室で使えるやさしい行動分析 (第4回)
- 教えた行動を学校生活で活かすために
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- 巡回相談員から先生へ (第4回)
- 与えられた環境の中で,今,何から始めるか
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- 発達障害の子がいる学級経営のコツ (第4回)
- コツは,どのようにして得られるのか
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- 一度は手にしたい本
- 『保健指導マニュアル』/『教室でできる特別支援教育のアイデア 中学校編』
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- 編集後記
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特集について
これからの通級指導教室の可能性を探る
兵庫教育大学大学院教授/柘植雅義
通常学級で学んで生活している,LD・ADHD・高機能自閉症等の子どもたちの中には,通常学級での指導だけでは不十分で,さらに特別な個別指導や集団指導が必要な子どもがいます。
そのような特別な指導として,小・中学校では「通級による指導」という仕組みがあり,その場は一般に「通級指導教室」と呼ばれています。子どものニーズに応じて,週1時間から3時間程度の「自立活動」の指導,さらに教科の補充指導を含めて8時間までの指導が可能になっています。そして,通級指導教室では,特別な研修を受けた専任の教師が担当しています。
このような「通級による指導」ですが,この4月から,LD,ADHDのための「通級による指導」が新たにスタートしました。実は,3月までは,LDやADHDは,それだけでは「通級による指導」の対象ではありませんでした。彼らが,言語障害あるいは情緒障害を併せ持っていれば,言語障害通級あるいは情緒障害通級で,それぞれ言語的なつまずきあるいは情緒的なつまずきにのみ対応してきました。それが,最近の制度改正により,この4月からは,LD,ADHDそのものに対して通級による指導が行えるようになりました。また,そのために必要な新たな人材も確保され,全国各地の自治体で,この新たな通級が始まりました。
さらに,高機能自閉症やアスペルガー症候群は,情緒障害ということで,すでに情緒障害通級で対応してきましたが,同じくこの制度改正により,自閉症がこれまでの情緒障害から切り分けられて独立しました。
このように,「通級による指導」は,今大きな転換期を迎えました。
そこで,本特集では,これからの特別支援教育で,ますますその重要性が高まることが予想される「通級による指導」に焦点を当て,全国各地の,LD,ADHD,高機能自閉症等への先進的な指導を紹介していくとともに,これからの通級指導教室の可能性について考える機会としたいと思います。
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