『向山型算数教え方教室 2010年2月号 授業の言葉―９０％カットで見えてくるプロの指導力』の詳細情報

　「かけ算九九尺」について，２つの便りがあった。

●福島Ｎ先生

■九九表を見てやっているうちに九九を覚えた

　Ｈ君は，九九が言えなかった。どのくらい言えなかったかというと九九表を見ないと計算できないほどだった。１の段はおいといて２の段もあやしかった。

　５の段は言えた。

　ほかは，あやしかった。これが３年当初の力だった。

　ずっと九九表を使わせてきた。今年も使わせていた。

　九九下敷きになり，使いやすさが倍増した。

　自信満々の目で解くようになった。

　さて，では九九の力はどうなのか？

　Ｈ君の計算の様子を見ていてほとんど九九表を見ていないことに気づいた。

　ひょっとして……。

　本日，九九のテストをした。

　やっぱり。満点だった。

　私は一度も九九を覚えさせたことはない。

　九九の練習をしようね，とも言っていない。１年半，ひたすら九九表を見てやった結果だ。■

●長野Ｍ先生

■今年の２年生にも「かけ算九九計算尺」を紹介しました。しかし，学年費で別の教材会社の九九を暗記するカードを購入した後でした。

　私は粘りました。ちょうど参観日があったので，廊下に展示していただき，希望するおうちの方がいらっしゃるかもしれないので，注文用紙を配ってもよいかお願いしたのです。すると，担任の先生方が快く承知してくださいました。

　２年の授業では，「かけ算九九計算尺」と「下敷き」を持ち込んで，Ｔ２として指導をしていたので，「ほしい」という子が何人もいました。参観日の後注文をした子どもは，私の顔を見るたびに「いつ届くの」と楽しみに待ってくれていました。

　３連休明け，早速教室に持っていくと，満面の笑顔で受け取っていました。子どもたちの嬉しそうな顔，向山先生に見ていただきたかったです。

　ある男の子は，下敷きと青いかぎ型のシートを使って，かけ算の答えを確かめていました。下敷きには，答えの数字が大きく書いてあるので，この子にとっては非常にわかりやすいのだと思います。スラスラと九九が言える子の中にも，注文してくれた子が何人もいました。勉強ができる子にとっても，できない子にとってもやさしい教材なんだと実感しました。

　特別支援学級のつながりで親しくなったことばの教室の先生にもご紹介したところ，早速使ってくださり，「量がわかるからすごくわかりやすい」と喜んでくださいました。多くの子どもが楽しく九九を学べるように，これからも多くの先生方に紹介していきたいと思います。■