向山型算数教え方教室 2006年11月号
「文章題」苦手な子激変! “イラスト図・線分図・面積図”

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向山型算数教え方教室 2006年11月号「文章題」苦手な子激変! “イラスト図・線分図・面積図”

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ジャンル:
算数・数学
刊行:
2006年10月6日
対象:
小学校
仕様:
B5判 92頁
状態:
絶版
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目次

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特集 「文章題」苦手な子激変!“イラスト図・線分図・面積図”
3年生「わり算」は、イラスト図を活用する
川原 奈津子
書くと立式しやすい関係図
石原 卓
いくつ分を理解させるテープ図の解法
大関 貴之
イラスト図活用力を高め知的な授業に!
八巻 修
無防備に『図』を与えていないか
白瀬 嗣大
数直線で計算原理から式を導く
八和田 清秀
できない子をできるようにさせる授業は子どもの経験に立脚して組み立てられている
水野 正司
ミニ特集 子どもに聞く「百玉そろばんのここが好き!」
誰もが喜ぶ「お祭り系」の技
河原木 孝浩
1人でできた!子ども百玉そろばんの力
頓所 陽子
大の大好き!だって便利だもん!
岩本 友子
らくらく分かる すぐ分かる だから大好き!
田中 裕美
はじめの5分で楽しく力をつける
深野 美保
大好き、百玉そろばん
小森 幸子
グラビア
支えていかなければならないのは、勉強が一番できない子である
村田 斎
若葉印教師のための向山型算数基礎基本イラスト事典
思想が違う算数
小倉 郁美
向山型算数キーワード
子どもの心理
木村 重夫
巻頭論文 算数授業へのこだわり
内閣府に行ってきました 政府高官お二人に算数の問題解決学習の実情をお話してきました
向山 洋一
学年別11月教材こう授業する
1年・たしざん
例題指導
本間 尚子
「練習問題・スキル」と教材教具
山本 敏子
2年・かけ算(6〜9の段)
例題指導
河野 健一
「練習問題・スキル」と教材教具
漆山 仁志
3年・大きい数(一万をこえる数)
例題指導
下重 和也
「練習問題・スキル」と教材教具
上木 信弘
4年・わり算の筆算
例題指導
白井 朱美
「練習問題・スキル」と教材教具
中川 貴如
5年・平行四辺形と三角形の面積
例題指導
浅尾 真治
「練習問題・スキル」と教材教具
青木 勝隆
6年・直方体と立方体
例題指導
薄井 健文
「練習問題・スキル」と教材教具
伊藤 壮一
中学難教材こう授業する
2年/図形の性質と合同「星形多角形」
堀田 明代
中学校からの発信!「向山型数学」実践講座 (第80回)
中学校でも「難問・良問1問選択システム」は効果的である
井上 好文
向山型算数に挑戦/論文審査 (第84回)
面積の授業 向山の2つの入り方
向山 洋一
向山型算数実力急増講座 (第86回)
挿絵と問題文を往復する
木村 重夫
向山型算数WEBサロン (第80回)
授業を混乱させる算数的活動に動画コンテンツを活用する
赤石 賢司
“若葉印”教師が向山型算数でダッシュするとき (第20回)
「写すことはとっても大事なお勉強です」を繰り返す効果
平本 久士
“問題解決学習”隣の教室の実態ルポ
子どもは向山型算数のコースを選ぶ
大堀 真
矛盾だらけの校内研修
野原 小百合
〈教室の障害児と向山型算数〉特に気になる『あの子』への向山型アプローチ
模擬授業で「あの子」になってみよう
伊藤 真奈
もう一つの向山型算数 難問良問1問選択システム (第86回)
低学年
桑原 和彦
中学年
山川 直樹
高学年
田村 治男
ビギナー専科=向山型算数ココが授業の勘所
1年/1年生は、予期せぬところでつまずく
夏目 雅子
2年/論文通りに授業ができないのは、授業の腕が未熟な証拠
石富 敦子
3年/大切なのは子どもの事実
杉原 進
4年/自分の「目線」を意識しよう
木村 正章
5年/徹底させる=真の「優しさ」
梅沢 貴史
6年/我流を克服し、壁を乗り越える
小林 節生
向山型算数セミナー
福岡会場の案内・詳細日程のご紹介です
板倉 弘幸
腹の底からの実感!向山型算数を知る前と後
向山型算数に感謝!!
阿部 梢
A君が板書できた
横島 礼子
サークルしかない!
内田 良市
A君を変えた向山型算数
安藤 のぞみ
子どもの事実が物語る
佐藤 久美子
腹の底からの実感!を目指して
岡 城治
2年間学校に来なかった子が
山岸 修
論文ランキング
8月号
木村 重夫
実物ノートと指導のポイント
子どもに自信をつけさせるノート指導
打越 由佳
読者のページ
ぶれない基準は目の前の子ども
編集後記
木村 重夫赤石 賢司
TOSS最新情報
赤石 賢司
向山型算数に挑戦/指定教材 (第86回)
向山 洋一

巻頭論文

算数授業へのこだわり

内閣府に行ってきました

政府高官お二人に算数の問題解決学習の実情をお話してきました

向山洋一


 衆議院会館で,尾身元経済企画庁長官と1時間の対談をした。尾身氏が,中村天風の会の会長に就任したのを記念して,「ジュニア・

ボランティア教育」誌の対談をお願いしたのである。

 「天風先生なら,算数・数学の実力を上げるために,子どもにどんな授業をするでしょうか」との問いに,「寝る前,鏡の前に立って,

鏡の自分を指さして,〈お前は,算数が得意だ〉と言わせる」とのことだった。

 3か月で効果が,あらわれるという。

 天風氏のことを知っている人なら,この話を深く受け止めるだろう。これは,もちろん「潜在意識」の力を働かせることなのだが,「寝

る直前」「鏡の自分を指さす」という,「2つの方法」によって,支えられることなのである。

 とまれ,このことによって,尾身氏も三十代で死病から生還し,大臣にまで登りつめた。

 帰り際に,握手をしながら尾身氏は言った。

 「向山先生。文科省に用があるときは,遠慮せずに話をもってきてください」

 科学技術政策の中心で活躍されている代議士なので,今度は「算数の問題解決学習」について,話を聞いてもらおうと思った。

 その後,大手町ビルの神田先生の事務所をたずねた。京大を退職されても,相変わらずお忙しい。世界中を飛び回っている。その忙しい神田先生が,「ぜひ,向山先生に会わせたい人がいる」ということだった。電力中央研究所の理事の方々と言葉をかわした後,タクシーで内閣府に向かった。

 内閣府に行くのは初めてだ。各省の基本政策,予算をまとめるところだ。内閣の中枢である。エレベーターをおりると,個室がいくつも並んでいた。部屋の前に,それぞれ秘書が机を並べている。「神田先生じゃありませんか」女性の声に振り返ると,テレビでおなじみの木元教子さんだった。神田先生と仲良しさんらしい。私を「日本一の先生だ」と紹介してくれた。

 最初にお会いしたのは,内閣府科学技術政策担当の丸山政策統括官。肩書きで分かる通り,すべての省の「科学技術政策」を統括される方だ。忙しい中,1時間もの時間を割いてくれた。神田先生と3人で,「教育問題」の様々なことを話し合った。最後に私は,「算数学力の低下の本当の原因は,教師が教科書をきちんと教えていないからです。1時間にたった1問を授業する算数の問題解決学習が,日本の子どもの学力をガタガタにしてしまいました」と話した。

 1問を黒板に示し,20分考えさせ,発表させ,教師がまとめる指導法を描写した。

 「教科書の問題は,宿題にされています。校長は,算数の教科書を使うなと強要するのです」と話した。

 本誌の「向山型を知る前と後」の記録を80人分コピーして持参した。熱心に読んでいた。神田先生は,とても興味をもったらしく「向山先生,本当にこんなことやってんのか」と,びっくりしていた。京都大学大学院の神田研

究室には,科学技術庁,経産省,文科省などの科学技術政策のキャリアが何十人も学んでいた。神田研の卒業生は,重要な位置についている。神田先生が,いろいろなところで説明してくださるだろう。

 続いて,内閣府総合科学技術会議の本庶議員の部屋をたずねた。広さは,図書館ぐらい。この会議の議長は小泉総理,議員は十数名。国家の方針の基本を決めるところだという。ここでも,1時間という長い時間をいただいた。教育の様々な面を話し合い,現場のことを報告した。神田先生が,「向山先生,さっきの算数の問題解決学習のことを,ぜひ言いなさい」ということで,ここでも説明した。

 理科教育,算数教育の大もとの人なのだ。本庶議員は,お医者さんでもある。私が,算数の問題解決学習のことを話し出すと,「向山先生,20分も時間をかけるとのことですが,できる子は1分で終わっちゃうでしょう」と質問された。

 「その通りです。塾に行ってる子は,すぐ解きます。一方,ほとんどの子は何も習ってないので苦労します。下位の子は机に突っ伏します」

 ここでも,先生方のレポートは役に立った。ずっと目を通されていた。

 私が主張したのは,次の通り。

 「文科省の一部局のその1つの係であった算数の教科調査官によって,日本の算数・数学教育がガタガタにされています。たった1人か2人の役人(その後,国立大学教授)によって,日本の算数教育はひどいことになりました。教科書を使ってきちんと指導している教師に,教科書を使うな,それでは考える力はつかないと強要します。『仮説』を『真理』の如く押しつけ,“教科書を使うな”と法令違反を強要しています。全国で,算数専門の人々によって引き起こされています。指導方法にまで立ち入って強要するなど,教育基本法の『内的事項への不介入』の原則にも反しています。国語の調査官の先生は,それぞれいろいろなやり方,努力がありますと,多様な方法を理解してくれています。算数は1つの方法だけ,(しかも教科書を使うなと)押しつけるのが異常です」

 1時間たって退室した。神田先生は顔が広い。すれ違う人と声をかわす。

 玄関を出ながら,神田先生が言った。

 「向山先生。向山先生が内閣府に来たことが大きいんだ。統括官,議員という政府高官がそれぞれ1時間も時間をとってくれたことが大きいんだ。これからも,どんどん応援していくよ」

 ドイツの国会,ホワイトハウスなどで講演する神田先生が日本の小学校教師の後ろ盾になってくれている。ただ,ただ,感謝である。

 でも,子どもの現実を素直に見つめ,素直に努力する人は多い。これが,長い間の日本の教育の伝統だ。口先だけではなく,事実を見てくれる人もいる。

 今月の便りである。

〈校長先生が百玉そろばんを理解してくれました〉M県 Y・T

■SNSはすごいです。TOSSランドリニューアルに続き,SNSが始まって,向山先生の日記のページがあるのでとても感激しています。インターネットと言うのは距離を感じさせないすごいものだと今更ながら感心します。

 さて,夏のセミナーの晩,DEEP研で集まったとき話をしたら,「それはぜひ向山先生に知らせたほうがよい」とみんなに言われたので,久しぶりにお手紙を同封することにいたしました。

 それは校長先生のことです。今日も全集の78を読んでいたら,世の中には信じられないひどい校長がいるのだと書いてありました。それに比べたら自分は何と恵まれているのだろう,なんて幸せな環境なのかと気づかされました。本年度,市内の大きい学校から転任されてきたのは女性の校長先生。「厳しい人だ」という前評判でありました。お会いして早々に,自分が校内をお借りしてサークル活動をしていることの報告と今後のお願いに行きました。前校長から話は引き継がれているようで,快く承知していただけました。そのときTOSSデーのちらしも渡しました。

 校長先生は,TOSSのことも向山先生のことも,何もご存知ありませんでした。しかし,TOSSデーのちらしはその後しっかり読んでいただいたことが会話からわかりました。

 1学期の校内研修では,スマートボード,ノートスキル,子ども用百玉そろばんを,それぞれ時間をとって研修しましたが,校長先生も積極的に参加してくださいました。何より驚いたのは,谷和樹先生のセミナーに参加してくださったことです。7月に市内である「谷和樹スーパーライブ講座」のちらしを渡したところ参加するというお返事と,入金もしていただきました。午前中に学校の用事があったにもかかわらず,午後一番にかけつけてくださって,とても嬉しかったです。

 私の模擬授業は午前だったので残念ながら見てもらえませんでしたが,終わってから,「いつもあのようにして勉強しているのね。楽しかったし,あれは勉強になるね」と言っていただきました。そして,1学期最後の職員打ち合わせの場で,このセミナーのことを紹介されました。他にも,校長先生は,「子ども用百玉そろばんのことを本校に来てから初めて知ったけれど,とてもいい」とおっしゃって,学校便りにも百玉そろばんのことを載せてくださいました。

 また,本校の新採の先生をサークルに誘いたいという話をしたら,初任研として行うように言ってくださいました。なんと,近隣校の新採の先生方まで出張で参加できるよう,それぞれの校長先生に電話までしてくださったのです。結局,スマートボードや酒井式などの研修会を勤務時間内に行うことができました。

 このように,私は校長先生をはじめ,周りの多くの人たちに応援してもらっています。

 感謝の気持ちを忘れずに,これからも子どもたちにとってより価値のある教師になれるよう精進したいと思います。

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