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- 「シンプルな図」「説明しない」をめざす
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- どこで混乱するかを考え、解き方を徹底させよ!
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- どんなに辛くとも、子どもたちの前に立ったら、笑顔を作る教師
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- 巻頭論文 算数授業へのこだわり
- 逐一指導では知的な子を育てられない
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巻頭論文
算数授業へのこだわり
逐一指導では知的な子を育てられない
向山洋一
向山型算数は,逐一指導することではない。
いつもいつも,かんで含めるような指導はしない。温室育ちの植物は弱い。
教育とは,いつか自立できることを願って指導をするのである。
自動車学校の目的は,「もはや自動車学校に来なくてもいい人間」に育てることなのだ。
教室には,たくさんの子がいる。中には,特別支援を必要とする子もいる。
正しく理解し,適切に対応しなければならない。不勉強の教師は,自立できる可能性をつみとってしまうのだ。
特別支援を必要とする子への正しい支援は必ずしなくてはならない。
しかしそれは,特別支援を必要としない子まで,支援するということではない。
教室の中では,「特別支援を必要としない子」への指導と「特別支援を必要とする子」への指導とが,調和されなくてはならない。
私はかつて,「教室全体に大きく網をうて,全体がやるべきことを明示せよ。然る後に,個別の対応をせよ」と書いた。
これは,様々な子がいる教室での1つの原則的方法である。
教室全体が何をやるのか分からないという状態は,一瞬たりとも作ってはならない。
逐一指導の例を,3月号の挑戦問題から考えよう。次の問題だ。
「4年のまとめ」とある。
ここから2つのことが言える。
(1)それは,すでに習ったことである。
(2)4年生の学習内容で,重要なことである(だから,まとめ問題に入っている)。
横浜の倉岡先生は,次のように授業をする。
2+8×4と黒板に書く。
1番目にどこを計算しますか。
「8×4です」
その通り。8×4に赤鉛筆で線を引きなさい。
8×4を計算させる。
2番目にどこを計算しますか。
「2+32です」
計算をさせて,次のように書く。
2+8×4
=2+32
=34
「一番目にどこを計算しますか」などという発問は,絶対にしてはいけない。
私は,そんなことを,考えもしない。
この発問によって,学習すべき「重要なことがら」が,紙のようにうすっぺらなものになってしまう。
一度は習っているのだ。
学年の最後にやるべきは,その問題をそのままやらせるべきなのだ。
合っていたら「よく覚えていたね」と力強くほめる。
間違っていたら,バツをつければよい。
バツをもらった子は「あっ」と驚いて,昔学習したことを思い出すだろう。
あわてて,直して持って来る。
「よく思い出したね」と,力強くほめればいい。
これが,学習なのだ。
「一番目にどこを計算しますか」という,ふにゃけた発問が,「ダイナミックな学習の場面」を,コナゴナにしてしまうのだ。
これを逐一指導という。
向山型算数ではない。全く,反対のことである。
倉岡先生は「52+18×4」を「2+8×4」に変型した。
十の位を省略したのだ。
こんなことをしなくてもいい。いつもバナナのようなやわらかいものを食べていたら,たくましい子は育たない。
「小さな親切,大きなお世話」だ。
このような配慮は,「極めて難しい問題」か「特別支援を必要とする場合」に行うことなのである。
千葉の小路先生。
これも同じく逐一指導だ。
もとより「人間は忘れる」動物である。
しかし,「忘れない」ように,「思い出す」ように指導するのが,教師だ。
学年最後の「まとめ」の問題で,このような配慮を必要とするなら,1年間の学習のシステムに問題があったのだ。
奈良の富越先生。
先生問題は,小さな親切,大きなお世話だ。問題は必要ない。丸かバツをつければいい。
丸ならどこからやるのか分かっているということなのだ。
私は,こういう「学習ゴッコ」みたいなことが嫌いだ。研究授業で「よく見られたい」
人間は忘れるものである。
いきなり学年末の復習問題をやらせても,やり方を忘れている子もいる。
まずは,やり方を思い出させる。次に,そのやり方で同じように問題を解く。問題を解きながら,記憶を呼び起こさせる。
指示1 先生問題。3×4+10÷2。
ノートに写します。
発問1 最初に何をしますか?
わかりそうな子を指名する。言葉がぶれるので,3名を指名し答えさせる。最後に,短く教師が答えを示す。
1.先生問題
7+2×3(板書する)
できたら持って来なさい。先着5人見ます。
日付,ミニ定規をチェックする。
問答しながら,テンポよく答え合わせをする。
最初にどこを計算しますか。(2×3です)
次にどこを計算しますか。(7+6です)
答えは。(13です)
と思うような行為で,なじめない。
「まとめ」の問題なのだ。いさぎよく,丸かバツでいいのだ。
新潟の臼井先生。
この事例も同じ。知的欠如を物語る授業だ(念のため。先生が知的欠如と言ってるのではないですよ。授業が知的欠如だと言っているのです)。
長野の頓所先生。
愛知の水野先生。
優しい先生なのはよく分かる。しかし,これでは,子どもは知的に育たないのだ。
千葉の河野先生。
この授業は,かなり筋がいい。
まず,「問題を計算させる」のである。
持って来させて,「丸かバツ」をつけたと推定できる。
8名に板書させている。
正しい答えを確認している。
そして,「隣の子に説明」をさせている。
私も,こうするだろう。
さらに,「すわった子」に「言わせる」「詰め」までもしている。
私の気に入った答え。福島の正木先生。
@いきなり「52+18×4」と板書。「解いたら見せにきなさい」
このぶっきらぼうな答えに,すべてが入っている。
1.1番は先に計算し,間違いを発見させるノートにこの問題を解きなさい。
〈板書〉@52+18×4
A10×6+24÷6
@ができたら持って来なさい。
2問ともできた先着8名に板書させて答え合わせをする。
90ページの1番。「次の計算は……」
@は正しいですか?(間違っています)
正しい答えはいくつですか?(124です)
どこを間違えたのですか?全員起立。お隣の人に説明したら座りなさい。
座った子を指名する。「かけ算を先にしなければいけないのに,普通に左から計算してしまった」等と言えれば良い。
1.先生問題を解かせ,四則計算の順序を思い出させてから,☆1の問題を解かせる。
発問:先生問題@。 8+12×3(板書)
はじめに計算するのは,足し算ですか,
かけ算ですか,(挙手)かけ算ですね。
発問:先生問題A。 6+24÷6(板書)
はじめに計算するのは,足し算ですか,
割り算ですか,(挙手)割り算ですね。
☆1の問題を読む。
☆1 読む。「@ノートに式を書きます」
「52+18×4+と×どちらを先に計算します
か?+の人?×の人?」
「×が先ですね」
「計算しなさい。できたら持って来ます」
確認する。
指示 先生問題です。先@と書きなさい。
2×5+3×4 (問題を言ってから板書)
先@2×5+3×4
@ @
A
指示 最初に何を計算しますか。
(2×5と3×4です)
指示 2×5と3×4の下。赤で線を引いて@と書きなさい。計算もします。
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- 明治図書