特別支援教育教え方教室 2010年2月号
24号 新学年のスタートの原則 教えてほめよ

T392

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特別支援教育教え方教室 2010年2月号24号 新学年のスタートの原則 教えてほめよ

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ジャンル:
特別支援教育
刊行:
2010年2月4日
対象:
小・中・他
仕様:
B5判 112頁
状態:
絶版
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目次

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特集 新学年スタートの原則 教えてほめよ
低学年のスタート
勉強が苦手な子に何を教え、何をほめたか
「ひとつひとつ」を丁寧に教えてほめる,この繰り返しである
/赤木 雅美
明確な基本型を,効果的に学習する
/手塚 美和
スモールステップでほめる
/楢原 八恵美
友達とのトラブルの多い子に何を教え、何をほめたか
ほめサイクルに移行する〜怒るのではなく,正しい行為を教える。できたらほめる
/桑原 和彦
勉強が苦手な子に何を教え、何をほめたか
かかわり方に必要な言葉のいいまわしを教えてほめる
/大場 寿子
その子を応援し,励まし続ける
/山下 理恵
反抗的な子に何を教え、何をほめたか
心がけている5つのこと。叱らない・認める・説明する・ほめる・(代わりに)謝る
/伴 佳代
行動パターンをつかんで,トラブルを未然に防ぐ・トラブルが起きたら,教師が一緒に謝る
/森川 敦子
全体指導をしっかりし,その後に個人対応
/石川 裕美
中学年のスタート
勉強が苦手な子に何を教え、何をほめたか
直写場面でこうほめる
/椿原 正和
エラーレスラーニングをベースに成功体験をたくさんさせる
/河田 孝文
何が何でも「できた!」「分かった!」場面を
/松尾 清恵
友達とのトラブルの多い子に何を教え、何をほめたか
トラブルの悪循環を脱出させる
/小松 裕明
勉強が苦手な子に何を教え、何をほめたか
「けんか両成敗」で「教えてほめる」
/大関 貴之
友だちとのトラブルが多いA君,B君に効果があった3つのこと
/井戸 砂織
反抗的な子に何を教え、何をほめたか
さまざまな「刺激」による「激励」を意識せよ
/小嶋 悠紀
描き方を教え,描く様子や作品のよさを具体的にほめていく
/上木 信弘
反抗的な子どもをやる気にさせるには,3つのステップがある
/末廣 真弓
高学年のスタート
勉強が苦手な子に何を教え、何をほめたか
「絶対ほめるぞ」という気概で,ほめる授業を組み立てる
/木村 重夫
学習が苦手な子は,ほめて自信をもたせる
/松崎 力
やることがはっきりしていること
/師尾 喜代子
友達とのトラブルの多い子に何を教え、何をほめたか
教師にしかできない仕事「子どもたちのレッテルを外し,望ましい価値を教える」
/小野 隆行
勉強が苦手な子に何を教え、何をほめたか
トラブルを解決する3つのステップ
/新牧 賢三郎
味方であることを実感させる
/村田 斎
反抗的な子に何を教え、何をほめたか
プリントをぐちゃぐちゃにした子をどうやってやる気にさせるか
/甲本 卓司
穏やかにくり返し教えることで反抗的だった子が激変
/神谷 祐子
話をよく聞く反抗的な子に知的な授業で満足させよう!
/千葉 雄二
中学・高校のスタート
向山型学級づくりと向山型国語と
/長谷川 博之
忠実な向山型の追試がドラマを作る
/吉原 尚寛
ルールは説明ではなく,「映像」で確認する
/染谷 幸二
「授業で使うもの」「50分の流れ」を明確にし,見通しをもたせる
/中川 とも子
ミニ特集 発達障害児の余暇活動
「自分から誘えない」「誘ってもらえない」子どもたちのために教師ができる余暇活動支援
/熊田 賢人
余暇活動で情緒的安定とソーシャルスキルを育てる
/大場 龍男
自閉症の子を根底から変化させた「五色百人一首」のもつ魔法の力
/谷 和樹
日本人のDNAが喜ぶ五色百人一首で心が育つ
/小宮 孝之
学校の授業で,児童の興味の幅を広げていく責務が教師にはある!
/近江 利江
お花セラピー,お茶セラピーで心落ち着く時間をつくる
/飯田 清美
放課後も熱中できる教材と仕組みを用意する
/渡辺 喜男
人とかかわる力を伸ばし,情報を得る
/間嶋 祐樹
簡単,きれい,感動の理科実験
/小森 栄治
興味の視野を広げ,何をどのようにすればよいかを体験させる
/雨宮 久
お金の大切さを教える教育が必要だ
/高橋 正和
好きなことを見つけてあげられるかが鍵
/石塚 慶人
生きる力を支える余暇活動
/森田 博文
広汎性発達障害をもつ子どもたちには「こっそり」を教えなくてはならない
/中村 朋彦
グラビア
第2回 発達障害対応力向上支援セミナー ほか
/小野 隆行
イラストで学ぶ特別支援教育のキーワード (第9回)
「激励の原則」に忠実であるか
/小嶋 悠紀・田畑 玲子
向山一門が見た向山先生の特別支援教育の思想 (第9回)
/小松 裕明
教育の新課題と特別支援教育
TOSS教材教具,TOSS指導法に注目されるドクター達!
/向山 洋一
巻頭言
失敗させてはいけない,叱ってはいけない 基本は「教えて,ほめる」である
/五十嵐 勝義
特別支援教育で学校は変わる (第9回)
「今年は何をやるのか」を共有せよ!|
/小嶋 瑞紀
大森修の一刀両断 教育再生にもの申す (第9回)
特別支援教育の盲点が「余暇活動」にある
/大森 修
吉田教頭からみた特別支援教育 (第10回)
学校の教育活動の中心は授業である
/吉田 高志
自閉症圏の子どもたちの対人関係能力を伸ばす試み (第5回)
人や周囲の様子を参照し,自分の行動を調整する
/森 俊夫
教育は格闘技だ―フリースクールの実践 (第14回)
仲間と声を掛け合って居酒屋へ行くという文化
/伊藤 寛晃
コーディネーターのお仕事拝見 (第3回)
児童を支える
/伊藤 雅亮
誌上QAコーナー こんな時どうしますか
翔和学園の研修・本の読み方
/伊藤 寛晃・大場 寿子
特別支援学校・特別支援学級コーナー
コーナー担当
/五十嵐 勝義
特別支援学校の実践
/西村 純一
〜自閉症の子の行為を否定しない 代わりの行為を教え,ほめる〜
特別支援学級の実践
/岡倉 光悦
〜その子に合った教材が子どもを伸ばす〜
論文ランキング
23号/ワーキングメモリーの特集 林氏の論文に大きな反響が
/小野 隆行
読者のページ
/小野 隆行
編集後記
/大場 龍男・大場 寿子
TOSS特別支援教育イベント情報
/五十嵐 勝義
酒井式描画法で授業する!
『Google SketchUp』を使いこなす
/高橋 正和

巻頭言

失敗させてはいけない,叱ってはいけない

基本は「教えて,ほめる」である

富山県立となみ養護学校砺波学園分校 五十嵐勝義


 どんなときに発達障害がある子どもは「問題行動」を起こすのか。

 アメリカの研究者,デムチャック氏とボサート氏は,その要因として次の8つを挙げている。(『問題行動のアセスメント』学苑社)

�@ 予想できないスケジュール,日課の変更

�A 難しい課題

�B その場での強化子がほとんど皆無

�C カリキュラムが無意味

�D 教示のスピードが遅い

�E 子どもに選択の機会がない

�F 課題に変化がない

�G 誤る率が高い

 このようにならないことが発達障害の子どもにとって必要であり,一つ一つが極めて重要な内容を含んでいる。

 この中でも特に問題になるのは,�Gの「誤る率が高い」学習である。これは,発達障害の子どもに挫折体験・失敗体験を与えることを意味する。

 杉山登志郎ドクターは『発達障害の子どもたち』(講談社)の中で,「人生の早期に子どもに挫折体験を与えて良いことは一つもない」と強調している。

 そもそもADHD,LDの子どもたちは全般的な知的発達に遅れはない。しかし,その障害ゆえに,周りと同じ様にできなくて叱られ,自信をなくしたり反発したりしている。 そういった子どもたちに,自分は駄目なんだと思わせるような失敗体験を与えてはいけない。それは自己イメージの低下を招き,情緒的な問題に容易に発展してしまう。

 発達障害の中には,教科書を左から右に写せなかったり,今どこの問題をやっているのか分からなかったりする子どもがいる。そのような子に対して,黒板に1問だけ出して,20分も考えさせるような学習はしてはいけない。

 これは「エラー・ラーニング」,失敗しながら学んでいく学習である。教えてもいない問題に対して挑戦させて失敗させるので,「トライ&エラー」の学習とも呼ばれる。これはまさに「誤る率が高い」学習であり,問題行動に直結する。

 発達障害の子どもには,そのような方法ではなく,失敗をまったくさせない学習「エラーレス・ラーニング」が必要である。日本語では,間違いなし学習,無誤(むご)学習とも呼ばれる。

 エラーレス・ラーニングは医学の世界では昔から言われている指導法であり,発達障害がある子どもには基本中の基本である。特別支援教育では100パーセント取り入れたらよいと主張するドクターも多い。

 発達障害の子どもには,このように「失敗させてはいけない」ことと同時に,「叱ってはいけない」ことも理解しておかなくてはいけない。

 杉山ドクターは前掲書の中で極めて重要な指摘をしている。


 発達障害の適応を決めるものは実は情緒的なこじれである。


 多動のような行動上のことよりも,情緒のことが最終的に問題になるということである。

 情緒的なこじれの主なものは,「反抗挑戦性障害」と呼ばれる。大人のいうことを聞かない,挑発を繰り返す,まわりの人間に対して故意にいらだたせる行動を繰り返すという障害である。こうなってしまうと自立への道はかなり厳しくなる。

 なぜ,このような障害を引き起こすのか。第一の原因は教師の叱責過多である。叱るしか方法を知らないからである。

 その結果,子どもは自己イメージを悪化させ,それが大人に対する反抗という形であらわれる。これは教師がつくった二次障害と言ってもいい。

 発達障害の子どもに叱るというのは基本的に意味がない。特に自閉症の子どもはそうである。

 この障害の子どもたちは行動のレパートリーが狭いのが特徴である。

 健常の子どもは,教師に叱られたとき(何かを禁止されたとき)に,自分がもっているレパートリーの中で正しいと思われる行動を選ぶことができる。

 しかし,発達障害の子どもは,正しい行動と思われる行動が,自分のレパートリーの中にないので,いくら叱られても,できないのである。

 こんなときの指導の基本は,「教えて,教える」である。「教えないで叱る」ではない。行動のレパートリーを増やすのである。

「教えながら,教えなさい」と言ったのは,モンテッソーリである。子どもの間違いを訂正しながら(叱りながら)教えてはいけないという意味である。

 日本のモンテッソーリ教育の第一人者である相良敦子氏は,幼児の教え方のコツとして次のように言っている。

�@ 教えたい内容を一つだけ取り出す。

�A 一連の動作を分析して,一つ一つの動きを切り離す。

�B 一つ一つの動きを正確に,ハッキリと示す。

�C ゆっくり,順序立てて,意識して,やって見せる。

�D その際,言葉を伴わない。

(これは,向山型算数の「割り算の指導」とほとんど同じである。教え方の原則は共通しているのである。)

 相良氏のような方法を使いながら,あくまでも,教えて,教えて,繰り返し教えて,そしてほめることが発達障害の子どもに必要である。

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