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今月のメッセージ
闘いへの参加が生み出す仲間への信頼を
常任委員 宮崎 久雄
今、東京の教育は能力主義を徹底するために猛烈な勢いで変化しつつあります。やり方は、政治が直接介入し、「制度を作りかえる」という方法で動かしています。
まず、高等学校を三段階に再編し、小中学校ではそれまでに選別を完了しておくように「少人数教育」等として能力別教育を押し進めています。「特別支援教育を押し進める」ということで身障学級を廃止しようとしています。全ての子どもに行き届いた教育をとの願いで三十人学級を要求する教職員や父母・都民に対して東京都が背を向けている理由はここにあると、私は考えています。
さて、どのような教育を推進するのも、直接は教師です。ですから、一人ひとりの教師の教育内容を管理するために「週案」の提出を強要し、校長に「教育課程の管理」を徹底してやるようにと都から通知が出されました。はじめは、「とにかく、内容は問いません。提出してくれればいいんです」と管理職も適当に対応していましたが、それに対しても締め付けがあるのでしょう、次のような校長が現れました。
保健指導で一時間とっていたが少々早く終わったので、子どもたちにドッジボールをやらせました。校長はすぐに担任を呼んで、「週案には保健指導とあるがどうなっている?」と追及を始めました。担任が事情を話すと、「週案にはドッジボールは書いてない。体育も『運動会の練習』になっているがドッジボールは運動会の練習にどのように関連しているのか?」さんざん嫌みをいわれたというのです。
また、ある学校では、「校内研究の講師にきていた人が主催している民間の研究会の全国大会を本校でやります。校内研究もそれに合わせてやります。これは先生方の力量アップにも子どもの教育にも役立ちます」と校長が突然言いました。それに対して、本当に本校にとってよいのか、相談してから決めてほしいと多くの先生方が発言しました。
「みなさんで相談して決めるというのは古いやり方で、批判がでているやり方です。校長先生がお決めになったことをどうやったらよいか考えるのがみなさんの仕事です。これが今求められている学校経営のあり方です」
教頭の頑張りにあきれる教職員でした。校長は頑として動かず、挙げ句の果ては発言者をにらみつけたといいます。
こうした教職員管理は、管理職ににらまれないようにと保身に動く人、バカらしいとやる気をなくす人、それでもだからこそ子どもを守り教育を守ろうとする人という分裂を生み出します。管理職に反対意見を言う人を保身に動く人が「そんなこというからますますやりにくくなるのだ」と足を引っ張り、内部分裂を起こしたりしています。
一人ひとりが孤立化を深めている時に、その気持ちに「共感」する仲間の存在が必要です。しかし、注意が必要です。「共感だけ」では、職場のほかの仲間に対する「保身だ」「闘わない」という不信感を生み出しても信頼を生み出すことは困難だということです。
子どもの場合にも同じことが言えると思います。今、班会議に必要なのは孤立化に追いこんでいる学級の現実を明らかにし共有することです。そして、それと闘う運動を起こすことです。その運動に参加する中で生み出される仲間に対する信頼を実感できるようにすることではないでしょうか。
これは、東京の教師に求められている課題そのものでもあると思っています。
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