- 特集 「体育的コミュニケーション」場作り30選
- 特集の解説
- 「体育的コミュニケーション」場作り30選
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- 実践事例
- (1)言語的活動
- 発問・指示/シンクロ運動を軸に心と体のふれあいを図る
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- 説明・語り/いかなる「説明」も、いかなる「語り」も、子どもが聞いていなければ何の役にも立たない
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- 話し合い/技能を習得した上で話し合い活動
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- (2)非言語的活動
- 笑い/「笑い」を意識して、体育の授業を変える
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- 目線/目線を合わせて動く力を育てる
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- 表情/表情が和む体ほぐしの運動
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- (3)物を使用した活動
- リズム太鼓/説明するよりリズム太鼓
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- 体育ノート/「体育ノート」を使うと、友だちとの関わりが増え、新しい楽しさが生まれ、コミュニケーション能力が育つ
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- 音楽/サンバのリズムで「出会いのダンス」
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- (4)身体的活動 器械運動編
- マット運動/コミュニケーションを取り入れることによって、苦手な子どもも楽しく活動できる
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- 跳び箱運動/技の組み合わせによる演技指導でコミュニケーションを、技の練習には「視点」を与えてコミュニケーションを、団体演技には「相談」でコミュニケーションを
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- 鉄棒運動/ゲーム化とシンクロで友だちと楽しく
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- (5)身体的活動 陸上運動編
- 短距離走・リレー/「チームで相談すれば記録が伸びること」を体感させる
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- ハードル走/見て、関わって、楽しむハードルリレー
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- 走り幅跳び/四つの運動パーツを意識する
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- (6)身体的活動 ボール運動編
- ドッジボール/「少人数」ドッジボールで作戦を立てさせる中で、コミュニケーション能力を育成する
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- サッカー/女子が積極的にプレーできるようにする
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- バスケットボール/身体のコミュニケーションと授業のシステム化でみんなが楽しいバスケットボール(6年生での実践)
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- ミニ特集 2月 すぐに授業ができる!今月の単元計画
- 低学年/ボール投げの技能を確実に身に付けよう
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- 中学年/ゲームにつながるボール操作と動き方を鍛える(ポートボール)
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- 高学年/個々の活動を保障するサッカーの単元計画
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- ライブで体感!TOSS体育講座
- 児童への実証授業あり 新学習指導要領対応模擬授業あり 山口での体育フレッシュセミナー
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- 〜TOSS体育フレッシュセミナー中国in山口〜
- レベルアップ これだけは押さえたい体育授業の基礎・基本
- これだけは押さえたい五つの基礎・基本
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- マンガで見る楽しい体育指導 (第143回)
- TOSS体育直伝マンガ(側転の名人をめざせ!)
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- 図解・単元を貫く学習の場作り (第11回)
- 向山型実践「サッカー・キックゲーム」
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- 〜何度でも子どもが挑戦したくなるような場面を設定する。教師が何もしなくても子どもががんがん運動するようなシステムを作る〜
- 図解・運動量豊富なミニゲーム (第11回)
- フラッグフットボールの基本となるゲーム
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- 私にもできた子どもを熱中させる授業 (第11回)
- 根本氏の「月ロケットリレー」の授業
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- 〜個人差を吸収する教材で、思考させながら熱中させる〜
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- はらぺっこぺこあおむし
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- 体育主任の部屋・仕事チェックリスト (第11回)
- 全校児童の運動能力を伸ばすためには
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- TOSS体育ときめき情報 (第11回)
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- 〜2月開催の日本体育教育技術学会のご案内〜
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- ボール投げ遊び(低学年)
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- バスケットボール(高学年)
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- 授業の腕を高める論文審査 (第238回)
- 個別評定 向山の場合
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- 体育科における学力保障 (第107回)
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- 読者のページ My Opinion
- 編集後記
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- TOSS体育ニュース (第121回)
- 2月号
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- 授業の腕を上げる体育クリニック (第11回)
- 論理的思考力を高める発問
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特集の解説 「体育的コミュニケーション」場作り30選
TOSS体育授業研究会代表/根本 正雄
学習指導要領の重点指導事項として、コミュニケーション能力の育成があげられている。
現在の子どもたちの中に起きている様々な問題の背景に、コミュニケーション能力の欠如があるからである。
学級の中でのいじめ、不登校、暴力行為などは、子ども同士のコミュニケーション能力があれば、十分に解決できる問題である。
では、どのような方法でコミュニケーション能力を育てて行ったらよいのであろうか。
方法としては、言語的活動、非言語的活動、物を使った活動、身体的な活動などが考えられる。
特に体育では、身体的な活動による方法が考えられる。体育の学習ではルールやマナーを通して、集団の規律を作ることができる。
そのような活動によって、コミュニケーション能力を育てることができるのである。
器械運動の例を紹介する。
器械運動の実態を調査すると、器械運動は嫌いであるという結果が出ている。
できる、できないがはっきりしているからである。できない子どもにとっては苦痛なのである。
個人種目で、他との関わりが作りにくく、友だちと楽しく運動ができないからである。
そこで、個人種目である器械運動を仲間との関わりができるように工夫し、子ども同士のコミュニケーション能力を育成するようにした。
跳び箱運動の下位運動にタイヤ跳びがある。1人で跳ぶとぎこちない跳び方をする子ども、連続で跳び越せない子どもがいる。
そういう子どもたちに「シンクロタイヤ跳び」と名づけて集団で跳ばせた。最初は2人からはじめ、3人、4人と増やしていった。
すると、ぎごちない跳び方をしていた子どもが、他の上手に跳べる子どもの動きに合わせて集団で跳ぶことにより、リズミカルに跳べるようになったのである。
上手に跳べない子どもがいた。一番後ろにすると、その子どもだけ遅れるのだ。
そこで、グループで話し合いをさせた。すると、上手に跳べない子どもを一番前にして、その子どもの動きに合わせて他の3人が跳んでいくようにした。すると、見事な集団跳びになったのである。
次は、跳び箱での連続跳びを行った。跳び箱を縦に4台並べる。
6人のグループで連続して跳んでいく。
最初から6人は無理なので、2人、3人、4人と徐々に増やしていく。
人数が少ないときには合わせ易いが、人数が多くなると合わなくなる。
6人で跳ぶと、必ず途中でタイミングが合わない。そこで、「どんな工夫をしたら、調子よく跳べるか工夫しなさい」と発問する。
すると、声をそろえる、着手をそろえる、着地の音をそろえるなどの工夫が出る。
練習を繰り返す中で、呼吸が合い、リズムが合い、テンポが合っていった。
集団で運動することにより、個人では得られない基礎技能が習得できたのである。
また、仲間との関り合いも生まれ、連帯感、一体感ができていったのである。
つまり、コミュニケーション能力が育成できたのである。他と関わりながら、自分の考えを表現したり相手の考えを受け入れたりする中で、集団の中で運動ができるようになったのである。
本特集では、実践例のようにコミュニケーション能力を育成する方法を、お示しくださるようにお願いする。
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- 明治図書