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特集の解説
TOSS体育授業研究会代表 根本正雄
子どもに大人気の体育教師:実力の磨き方
若い教師に、TOSS体育に参加した理由を聞いたことがある。「学級が崩壊して授業がうまく行かなかったときに、TOSS体育を実践したら、学級がうまくいくようになったからです」と答えてくれた。
「TOSS体育のどこが学級を再生させたのですか」とさらに質問した。「子どもを動かす体育指導のシステムがあったからです」と説明してくれた。
子どもを動かす体育指導のシステムは、具体的にどんなことなのか。それが分かれば学級崩壊は防げる。
徳島県の浜井俊洋氏は、基礎学力を保障する体育授業が大切だと話された。
基礎学力が身に付いていれば学級は崩壊しない。きちんと基礎的な動きが習得されていれば、子どもは自己実現し、達成感が得られるからである。
日本体育技術学会で浜井氏は、表現運動でイメージを動きにつなげる授業「ジャングル探検」の模擬授業をされた。表現運動における「基礎学力」とは何か。
浜井氏は、「表したい感じ(イメージ)を体の動きによって表現することができる」と定義された。
授業では「躍る」「創る」「見る」の活動を連続する中で、自然にイメージと動きが結びついた表現ができる指導のシステムがなされていた。
そのシステムは、全員を瞬く間にジャングル探検に引き込んでしまった。子どもを動かすシステム化は次の4点である。
@ 動きのカード 事前に準備されていた。絵が描かれ、短い状況説明がしてある。絵を見て動けるようになっていた。導入のシステム化。
A ストーリーの設定 ジャングル探検の様子を一つのストーリーにして展開し、授業の組み立てを行った。
B 声掛け ジャングルの様子、動き方を状況に応じて言葉掛けをし、イメージ化を図った。
C リズム 始めから終わりまで音楽を流して、ジャングル探検のイメージ作りをした。途中でボリュームを落としたり高めたりして、意欲化を図った。
四つの指導システムは、自然に表現活動をさせ、動きの質を高めていくように仕組まれていた。
個人差に応じた指導がなされ、教師のねらいが必然的に達成されるようにシステム化されていたのである。
動きのカードによって、どんな動きをすればよいのかが理解できた。特に絵が描かれているので、イメージ化がしやすかった。
浜井氏の語りとリズムによって、全員がジャングル探検の主人公になることに成功した。ジャングル探検の主人公になるとは、主体的に授業に参加できたことである。
さらに動きの質を高めるために、ジャングルの様子、動き方を状況に応じて言葉掛けしイメージ作りを行った。
これが効果的であった。声の抑揚、大きい声、小さい声、高い声、低い声と場面に応じて使い分けられていた。
イメージを作る言葉の描写が巧みなのである。「空気も動いている」「動物のにおいがする」「強い風が吹いてきました」と具体的で、動きのイメージ化を図る言葉掛けがなされていた。
数字、高低、斜め、近い・遠いなどの表現によって示されていた。これらはすべて動きを引き出す言葉である。
浜井氏が選びに選んだ言葉で、無駄な言葉を排除し、ぎりぎりに絞った言葉なのである。
子どもが自然に動き出す言葉が、システム化されていた。だから子どもは動けたのである。言葉で絵を描いたのである。
本特集では浜井氏の授業のように、子どもが自然に楽しく動けるようなシステムが、実践を通して紹介してある。実際に確かめてほしい。
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- 明治図書