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特集の解説
子供が激変する“示範・指示・発問”
TOSS体育授業研究会代表
根本正雄
2005年6月、第1回TOSS体育よさこいソーラン全国セミナーが札幌市で開催された。
根津盛吾氏の模擬授業は優れていた。一番よかったのは、動きの変わる指示・発問である。
根津氏は最初に基本となる大切な動きを指導した。次のような指導である。
足を肩幅に広げます。おへそを前に出します。白樺のポーズをとり、背中を伸ばします。野球のイチローがやっている動きです。イチローのポーズです。肩を入れて向こうを見ます。重心が落ちてきました。お相撲さんのポーズです。四股の型です。
一瞬に開きます。おしりが下がりません。どうしたら下がりますか。おへその下、10センチを堅くします。堅くなったところを手で触って確かめなさい。
根津氏の指示でよいのは、すべて具体的な言葉になっていることである。
〇 足を肩幅に広げます。
〇 おへそを前に出します。
〇 白樺のポーズをとり、背中を伸ばします。
〇 イチローのポーズです。お相撲さんのポーズです。四股の型です。
〇 おへその下、10センチを堅くします。
指示が抽象的ではなく、肩、おへそ、白樺、お相撲さんというように具体的なので、イメージが明確になる。
「足を大きく広げなさい」といっても子供の動きは変わらない。ところが、肩幅という指示によってどのくらいの広さかが瞬時に伝わる。
白樺のポーズでは実際に示範をされた。言葉と同時に教師の示範によって、視覚と言語によってイメージが鮮明になる。根津氏はその繰り返しで指導していった。
さらに動きが変わったのは、「おへその下、10センチを堅くします」という指示である。
「おへその下を堅くします」と言ってもどこか分からない。根津氏は「10センチ」という数値で示した。へその下のどれくらいかが数値によってイメージできるのである。
「おへその下、10センチ」というのは、臍下丹田を示している。臍下丹田を意識することによって、おしりが下がる。動きを引き出すために必要な中心感覚を意識させたのである。
「臍下丹田を堅くしなさい」と言っても動きは変わらない。イメージが湧かないのである。
ところが、「おへその下、10センチを堅くします」と指示するとイメージが鮮明になる。
根津氏はその指示のあとに、「堅くなったところを手で触って確かめなさい」と指示した。
この指示は、評価の言葉になっている。実際に指示が伝わったのかを子供に確かめる必要がある。
「触る」という行為によって自己評価させたのである。できたかどうかを自己評価させることによって、動きが変わったかを教師は知ることができる。
根津氏は実際に触らせて一人一人の動きを確認していった。堅くなっていれば合格である。堅くなっていない子供には手を当てて場所を示していた。
根津氏の「おへその下、10センチを堅くします」という指示は、子供の動きが変わる魔法の指示になったのである。
このような指示・発問をたくさんもっていれば指導が楽しくなる。
根津氏のように、具体的な物、数値、触覚のほかに、色、音、リズム言葉などもある。
本号では、どのような場面で、どのような指示・発問をしたら子供の動きが変わったのかを具体的な実践事例に基づいて、紹介されている。
実際に試して効果を確かめてほしい。よりよい言葉があればご報告いただければ幸いである。
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- 明治図書