楽しい体育の授業 2005年12月号
サッカー上達への道:授業をこうスモールステップする

K194

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楽しい体育の授業 2005年12月号サッカー上達への道:授業をこうスモールステップする

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ジャンル:
保健・体育
刊行:
2005年11月8日
対象:
小学校
仕様:
B5判 80頁
状態:
絶版
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目次

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特集 サッカー上達への道:授業をこうスモールステップする
特集の解説
根本 正雄
実践事例
マネジメント/低学年
1年生はボールを蹴る経験を多くし、ゲームを通して楽しさを味わわせる
宮崎 昌美
マネジメント/中学年
テンポのよい授業運営でやる気を引き出す
西尾 文昭
マネジメント/高学年
多くの活動を取り入れて授業をマネジメントする
平山 勇輔
モノとシステムで子供が動き出す
浜條 信彦
組み立て/低学年
基礎感覚からしっかりと
岩田 貴典
組み立て/中学年
様々な動きをゲーム化して組み立てる
松原 秀樹
組み立て/高学年
少人数ゲームでどの子も試合に参加できる
石田 勝紀
できれば楽しい・楽しいからやる
村上 元
技術/低学年
変化のある繰り返しで、ボールちゃんと仲良くなろう!
両部 桂一
技術/中学年
「パス技術」を伸ばすステップ3
渡辺 睦生
ドリブル上達のための準備運動・ゲーム
小野 剛一
技術/高学年
どの子も上達するための運動量を保証する
新地 比呂志
インサイドキックの技能を高めることが逆転現象を生む
吉原 尚寛
戦術/低学年
「とびばこゴールサッカー」で、みんな楽しく!
伊藤 鉄正
戦術/中学年
団子状態をなくす
鶴田 博史
エリア限定サッカーで場作りの工夫
橋本 直代
戦術/高学年
全員得点ルールにして、最初は待ち伏せから
高橋 恒久
システムによって、戦術を身に付けさせる
林 健広
ミニ特集 体育授業のマニフェスト「表現運動」
万能ステップで楽しく踊ろう
鈴木 恭子
イメージカードで踊れる子に育てる
鈴江 真弓
趣意説明と個別評定でイメージが表現できる
東郷 晃
楽しく身に付ける表現運動の基礎感覚
川西 良治
低学年では基礎感覚を身に付ける
長塚 啓
ライブで体感!TOSS体育講座
小学校全学年・各領域に対応した体育授業のマニフェストA
竹森 正人
レベルアップ こうすれば体育授業が楽しくなる
4種目を汲み合わせた授業
舘野 健三
マンガで見る楽しい体育指導 (第69回)
根本体育直伝マンガ(インサイドキックの巻)
岩野 節男
授業のつかみは最初の1分で決まる (第9回)
「リズム太鼓」で準備運動はばっちり!
土屋 洋之
体を意識させる器械運動の指導 (第9回)
前方支持回転@
中村 賢
〜胸・太腿を意識させる〜
保護者も感動!よさこいソーラン (第9回)
百名の子供たちの夢をのせて
宮野 正樹
常識を疑え!この動き (第9回)
なぜその運動をするのか具体的な指示・説明が必要―短距離走
桑原 和彦
微細技術で子供が燃える (第9回)
水泳でのゴーグル使用は当たり前
渡辺 喜男
全校動かす体育主任の仕事術 (第9回)
体育実技研修をお願いする
並木 孝樹
インターネットの活用で授業が3倍上手になる! (第9回)
短い時間でリレーのルールが確認できる
細川 晃
ビジュアルに学べる保健の学習 (第9回)
ストレスを解消する方法を身に付けておく
戸井 和彦
TOSS体育授業研究会報告
第1回縄跳び&鉄棒セミナー報告
藤澤 芳昭
TOSS体育最前線
フレッシュ!“東北フレッシュセミナー”
TOSS体育中央事務局
効果抜群!ファックスできる体育学習カード
ボール遊び
小原 嘉夫
〜ボールは友達!!〜
サッカー
田中 直行
〜ドリブル・パス・シュートにカードで楽しく取り組ませる〜
子供が楽しみにするライフスキルの実践
「断り方の4ステップ」を疑似体験
熊谷 壽
ライフスキルと健康教育 (第45回)
考えてから行動するスキル(2)
武田 敏
授業の腕を高める論文審査 (第164回)
初めての特A
向山 洋一
体育科における学力保障 (第33回)
桑原和彦氏の長なわ跳びの模擬授業@
根本 正雄
読者のページ My Opinion
編集後記
根本 正雄
TOSS体育ニュース (第48回)
テクニカルポイントはここだ! (第9回)
サッカ
横浜YMCA
〜キープ(ボールを奪われない)〜

特集の解説

サッカー上達への道 授業をこうスモールステップする

TOSS体育授業研究会代表

根本正雄


 ジェフ千葉・市原のサッカー教室の指導者である、池上正氏のサッカー指導を参観した。。

 1・2年生を対象にした指導であったが、サッカーの基礎基本を踏まえた内容で、授業でも役立つ指導であった。

 指導内容がスモールステップ化され、すべての子供が楽しく参加できるシステムになっていた。

 池上氏の授業のスモールステップは優れていた。スモールステップというと普通は技能の内容である。ところが、池上氏は授業の組み立てのスモールステップ化を図っていた。

 すぐにボールを使ったゲームをするのではなく、いくつかのゲームを最初に行った。

 @ 集合ゲーム   A こおり鬼

 B 数字ドリブル  C ゲーム

 最初に集合ゲームを行った。「拍手をしたら集まります。遠くにいる人はどうしますか」と聞いた。

 拍手も大きい音ではなく、パタパタと普通に叩いた。当然、遠くの子供には聞こえない。

 そこで「遠くにいる人にはどうしますか」と質問した。「池上コーチの隣の人に教えてあげてください」と、子供同士で声を掛け合って集合させるシステムを教えた。

 つまり教師がどなって大声をあげて集めるのではなく、子供同士で気づかせ、関わらせていく中で集合させる指導をしたのである。

 「子供同士で気づかせ、関わらせていく」というシステムは、池上コーチが授業の中で一貫して行った方法である。

 次はこおり鬼である。このルールが素晴らしかった。

 「これから鬼ごっこをします。こおり鬼です。ルールはタッチすると固まります。固まったら両手を出してください。1人が触っただけではとけません。2人が持ってフラフープまで行くととけます」

 鬼にタッチされたら固まるというのは、普通のルールである。両手を出して2人の人が凍った人の手をそれぞれ掴む。 掴んだら運動場においてあるフラフープの中に連れて行く。フラフープの中に入ったら氷がとけるのである。

 氷がとければ復活できる。復活ルールが仲間との関わりになっているのである。

 3人との関わりで復活できる。仲間とのコミュニケーションが自然にできるシステムになっている。

 三番目は数字ドリブルである。次のように説明した。

 「次はボールを使います。ボールを足で持って行きます。相手の人は指で数字を示してください。ドリブルをする人は数字を言いながらドリブルをします。向こう側に行ったら交代します。(2人の間隔は約4メートル。ミニコーンが4個置いてある。その間をドリブルしていく)3〜4人のグループで行います」

 この指示と説明は分かりやすい。短い言葉で畳み込んで、一つ一つ具体的なイメージが湧いていくようにしている。

 いよいよボールを使ったゲームである。1人1個ずつボールを持っていく。ドリブルの練習であるが、これも仲間作りを意識された内容になっている。

 最後はゲームである。コートは9個ある。1チームが4人である。コートにはビブスが2枚置いてあり、一組がビブスをつけもう一組が何もなしで行う。

 「ビブス着ているチームと着ていないチームがいないとできません。立っていてはできません。先生は何も言いません。試合ができなくても笛を吹いたら集まってもらいます。すると何もしないで終わりにするチームもでます。自分たちで相手を見つけることもします」

 チームができなければできなくてもいいのである。何度か繰り返すことによって、子供は他に働きかけゲームをしていくようになっていく。

 子供はゲームがしたいので、できるだけ長くゲームをするためには、素早く対戦相手を決め、ゲームを始めなければならない。失敗を重ねながら、子供はどうすればゲームができるか気づいていく。

 このようにゲームを行うまでの組み立てのスモールステップ化を図っていた。そのために、無理なく自然にボールを使い、チームを作り、ゲームをしていくことができた。

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