- 特集 サッカー上達への道:授業をこうスモールステップする
- 特集の解説
- /
- 実践事例
- マネジメント/低学年
- 1年生はボールを蹴る経験を多くし、ゲームを通して楽しさを味わわせる
- /
- マネジメント/中学年
- テンポのよい授業運営でやる気を引き出す
- /
- マネジメント/高学年
- 多くの活動を取り入れて授業をマネジメントする
- /
- モノとシステムで子供が動き出す
- /
- 組み立て/低学年
- 基礎感覚からしっかりと
- /
- 組み立て/中学年
- 様々な動きをゲーム化して組み立てる
- /
- 組み立て/高学年
- 少人数ゲームでどの子も試合に参加できる
- /
- できれば楽しい・楽しいからやる
- /
- 技術/低学年
- 変化のある繰り返しで、ボールちゃんと仲良くなろう!
- /
- 技術/中学年
- 「パス技術」を伸ばすステップ3
- /
- ドリブル上達のための準備運動・ゲーム
- /
- 技術/高学年
- どの子も上達するための運動量を保証する
- /
- インサイドキックの技能を高めることが逆転現象を生む
- /
- 戦術/低学年
- 「とびばこゴールサッカー」で、みんな楽しく!
- /
- 戦術/中学年
- 団子状態をなくす
- /
- エリア限定サッカーで場作りの工夫
- /
- 戦術/高学年
- 全員得点ルールにして、最初は待ち伏せから
- /
- システムによって、戦術を身に付けさせる
- /
- ミニ特集 体育授業のマニフェスト「表現運動」
- 万能ステップで楽しく踊ろう
- /
- イメージカードで踊れる子に育てる
- /
- 趣意説明と個別評定でイメージが表現できる
- /
- 楽しく身に付ける表現運動の基礎感覚
- /
- 低学年では基礎感覚を身に付ける
- /
- ライブで体感!TOSS体育講座
- 小学校全学年・各領域に対応した体育授業のマニフェストA
- /
- レベルアップ こうすれば体育授業が楽しくなる
- 4種目を汲み合わせた授業
- /
- マンガで見る楽しい体育指導 (第69回)
- 根本体育直伝マンガ(インサイドキックの巻)
- /
- 授業のつかみは最初の1分で決まる (第9回)
- 「リズム太鼓」で準備運動はばっちり!
- /
- 体を意識させる器械運動の指導 (第9回)
- 前方支持回転@
- /
- 〜胸・太腿を意識させる〜
- 保護者も感動!よさこいソーラン (第9回)
- 百名の子供たちの夢をのせて
- /
- 常識を疑え!この動き (第9回)
- なぜその運動をするのか具体的な指示・説明が必要―短距離走
- /
- 微細技術で子供が燃える (第9回)
- 水泳でのゴーグル使用は当たり前
- /
- 全校動かす体育主任の仕事術 (第9回)
- 体育実技研修をお願いする
- /
- インターネットの活用で授業が3倍上手になる! (第9回)
- 短い時間でリレーのルールが確認できる
- /
- ビジュアルに学べる保健の学習 (第9回)
- ストレスを解消する方法を身に付けておく
- /
- TOSS体育授業研究会報告
- 第1回縄跳び&鉄棒セミナー報告
- /
- TOSS体育最前線
- フレッシュ!“東北フレッシュセミナー”
- /
- 効果抜群!ファックスできる体育学習カード
- ボール遊び
- /
- 〜ボールは友達!!〜
- サッカー
- /
- 〜ドリブル・パス・シュートにカードで楽しく取り組ませる〜
- 子供が楽しみにするライフスキルの実践
- 「断り方の4ステップ」を疑似体験
- /
- ライフスキルと健康教育 (第45回)
- 考えてから行動するスキル(2)
- /
- 授業の腕を高める論文審査 (第164回)
- 初めての特A
- /
- 体育科における学力保障 (第33回)
- 桑原和彦氏の長なわ跳びの模擬授業@
- /
- 読者のページ My Opinion
- 編集後記
- /
- TOSS体育ニュース (第48回)
- テクニカルポイントはここだ! (第9回)
- サッカ
- /
- 〜キープ(ボールを奪われない)〜
特集の解説
サッカー上達への道 授業をこうスモールステップする
TOSS体育授業研究会代表
根本正雄
ジェフ千葉・市原のサッカー教室の指導者である、池上正氏のサッカー指導を参観した。。
1・2年生を対象にした指導であったが、サッカーの基礎基本を踏まえた内容で、授業でも役立つ指導であった。
指導内容がスモールステップ化され、すべての子供が楽しく参加できるシステムになっていた。
池上氏の授業のスモールステップは優れていた。スモールステップというと普通は技能の内容である。ところが、池上氏は授業の組み立てのスモールステップ化を図っていた。
すぐにボールを使ったゲームをするのではなく、いくつかのゲームを最初に行った。
@ 集合ゲーム A こおり鬼
B 数字ドリブル C ゲーム
最初に集合ゲームを行った。「拍手をしたら集まります。遠くにいる人はどうしますか」と聞いた。
拍手も大きい音ではなく、パタパタと普通に叩いた。当然、遠くの子供には聞こえない。
そこで「遠くにいる人にはどうしますか」と質問した。「池上コーチの隣の人に教えてあげてください」と、子供同士で声を掛け合って集合させるシステムを教えた。
つまり教師がどなって大声をあげて集めるのではなく、子供同士で気づかせ、関わらせていく中で集合させる指導をしたのである。
「子供同士で気づかせ、関わらせていく」というシステムは、池上コーチが授業の中で一貫して行った方法である。
次はこおり鬼である。このルールが素晴らしかった。
「これから鬼ごっこをします。こおり鬼です。ルールはタッチすると固まります。固まったら両手を出してください。1人が触っただけではとけません。2人が持ってフラフープまで行くととけます」
鬼にタッチされたら固まるというのは、普通のルールである。両手を出して2人の人が凍った人の手をそれぞれ掴む。 掴んだら運動場においてあるフラフープの中に連れて行く。フラフープの中に入ったら氷がとけるのである。
氷がとければ復活できる。復活ルールが仲間との関わりになっているのである。
3人との関わりで復活できる。仲間とのコミュニケーションが自然にできるシステムになっている。
三番目は数字ドリブルである。次のように説明した。
「次はボールを使います。ボールを足で持って行きます。相手の人は指で数字を示してください。ドリブルをする人は数字を言いながらドリブルをします。向こう側に行ったら交代します。(2人の間隔は約4メートル。ミニコーンが4個置いてある。その間をドリブルしていく)3〜4人のグループで行います」
この指示と説明は分かりやすい。短い言葉で畳み込んで、一つ一つ具体的なイメージが湧いていくようにしている。
いよいよボールを使ったゲームである。1人1個ずつボールを持っていく。ドリブルの練習であるが、これも仲間作りを意識された内容になっている。
最後はゲームである。コートは9個ある。1チームが4人である。コートにはビブスが2枚置いてあり、一組がビブスをつけもう一組が何もなしで行う。
「ビブス着ているチームと着ていないチームがいないとできません。立っていてはできません。先生は何も言いません。試合ができなくても笛を吹いたら集まってもらいます。すると何もしないで終わりにするチームもでます。自分たちで相手を見つけることもします」
チームができなければできなくてもいいのである。何度か繰り返すことによって、子供は他に働きかけゲームをしていくようになっていく。
子供はゲームがしたいので、できるだけ長くゲームをするためには、素早く対戦相手を決め、ゲームを始めなければならない。失敗を重ねながら、子供はどうすればゲームができるか気づいていく。
このようにゲームを行うまでの組み立てのスモールステップ化を図っていた。そのために、無理なく自然にボールを使い、チームを作り、ゲームをしていくことができた。
-
- 明治図書